トップページ >> 佐奈 さんの一覧
佐奈 さんの投稿された作品が26件見つかりました。
-
神の丘〜歩み〜?
「とても素晴らしいパーティーだわ。あなたの人望と、この会社を3年でここまで成長させた才能に、惚れ惚れしてしまうわ」「私も、このパーティーを開いたことで、あなたのように美しい女性に出会えて、とても、ラッキーだと思っているよ。それも全て、あの”マリア象”のおかげだ」そう言うと、寄り添う女性の腰に手をあて、パーティー会場の外に出た。マーカスは女性の耳元でささやく。「‥君だけに見せてあげよう。私の”幸運
佐奈 さん作 [616] -
神の丘〜歩み〜?
子供達に聞かれた事がある。「信じる神の姿は、どんな形なの?」かつて、私自身、信じる場所があった。形や姿では表現しきれない、全ての場所。生まれてから少しづつ変わっていく見慣れた景色。私を知っている家族や周りの人達。空は時折、色んな表情を見せ、人は、怒ったり、泣いたり、笑ったり。そんな日常を、自分が生きる場所を”幸せ”だと思えた。そんな時、人は初めて”神に感謝したい”と思う。それは曖昧で、姿や形が無
佐奈 さん作 [599] -
神の丘〜二人〜終
「あの、”レメク”とかいう男、一体何者なんです!憂牙の知り合いですか!?」古いアパートの部屋に二人の足音が響く。「知らん」ぶっきらぼうに答える憂牙が、自分の部屋から袋を取り出し、クロムに投げた。「今すぐこの街を出る。荷物をまとめろ」「えっ‥」「まだ死にたくないだろう?‥あいつに関しての情報が少なすぎる。早くしろ!」「・・・・」赤いレンガの街にオレンジの光が降り注ぐ中、クロムは振り返った。「‥行く
佐奈 さん作 [496] -
神の丘〜二人〜?
そして、同じ顔の人間が二人。憂牙とレメクと名のる男は、しばらく互いの顔を見合わせる。憂牙はフッと小さく笑った。「‥悪いが、お前の相手をしている場合では無い」憂牙はゆっくりコートの中に手を入れた。風が変わった。何か無数の気配がする。「‥誰か居る!」「‥囲まれたか」クロムが周りを見渡した。レメクもその状況に気がついた。それは、ジワリ、ジワリ近付いて来た。三人、いや、六人。いや…十人。影はやがて姿を現
佐奈 さん作 [490] -
神の丘〜二人〜?
「・・・変装か?」「フッ‥私は、憂牙というコソ泥と違って、変装は得意ではありませんよ‥」そう言って、両目の中にあった赤いカラーコンタクトを外し、左の頬をぬぐった。ファンデーションか何かで隠していたのか、左目のまぶたの上から口の横まで、一本の傷跡があった。その傷を隠すつもりなのか、銀ぶちの細いフレームのメガネをかけた。クロムは横に立つ男の顔を見た。傷や瞳の色、身長は違うが、とても似ている顔に言葉を
佐奈 さん作 [489] -
神の丘〜二人〜?
憂牙の後をおってクロムはしばらく走った。赤茶け、過密する住宅地を抜けると、そこには、赤い鉄の要塞があった。無数のパイプと鉄骨とレンガで出来た建物。その要塞の息が止まってからどれ位経つのか、サビ付いた鉄と、手入れのされる事の無い雑草が生い茂っていた。「ここは・・・」スラム街の奥にこんな場所が‥そう想いクロムは足を止めた。ひとけも無く、ただ、遠くからカラスの鳴き声だけが聞こえていた。「ここは30年前
佐奈 さん作 [486] -
神の丘〜二人〜?
「一度ばーちゃんに連れてこられたけど、なんか、綺麗っていうか‥ほら、よく歌とか歌ってるでしょ。真ん中にある十字架に向かって、楽しそうに歌ってる奴らを見てると、ここは俺なんか汚れた奴が来る所じゃないんだって、足がすくんで、結局、逃げ出しちまったんですよ。お恥ずかしい話で」そう言って、片手を頭にあて、照れ臭そうに笑った。「とてもいい話ですね」「えっ・・・」「昔の話を笑って話せるあなたは、ここに相応し
佐奈 さん作 [495] -
神の丘〜二人〜?
「えっ、どうしたんだい?」「いいから、早く、早く!」クロムは昨日の子供達に手を引かれ、外を走っていた。着いた場所は昨日の教会だった。”あれを見て”と指をさした場所に、いびつながらもその形らしき、参拝用の机や椅子があった。床に積もっていた、砂や落ち葉、ガラスの破片や木屑が、綺麗に片されていた。聖書台の近くで二つの黒い影が動いていた。「あなたは、昨日の‥」「あっ!クロムの旦那!!昨日はど〜もすいませ
佐奈 さん作 [495] -
神の丘〜二人〜?
軽く頭を下げるゲン婆と、大きく手を振る子供達。夕日が教会の入り口から差し込み、手を振るクロムにあたっていた。「…ありがとう。憂牙」憂牙は何も答えず、クロムの持っている紙袋から林檎を一つ取り出し、教会の出入り口に向かって歩き、そこで止まった。「あまり目立つ行動はするな」表情の無い言葉がクロムに向けられる。「…ごめん。この街に来て、あの子供達と触れ合うことが出来て、この街の現状とあの子達の環境を考え
佐奈 さん作 [522] -
神の丘〜二人〜?
「ま〜た悪さしおって!何度言ったら解るんだ!!」憂牙は、銃をしまった。今度は頭を抱えるゴンザが、大きな涙を浮かべ言った。「痛いよ、ばーちゃん!この状況で俺を殴るのはおかしいじゃないか!?」「教会の外で、あんたの馬鹿友達が血相変えて走ってくのを見たんだよ!教会嫌いのあんたが、悪さする以外こんな所に来るわけないだろう!!」そう言って、また杖で殴った。聖書台の後ろに隠れていた子供達が、驚きながらクロム
佐奈 さん作 [493]