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カルロス伊藤 さんの投稿された作品が46件見つかりました。

 
  • 僕と和子と敬太郎 第十三話

    改めて自己紹介しよう。僕の名前は石原翔太、17歳の高校生だ。秋の気配が感じられるようになってきた9月のある日、僕は『敬老の日』のプレゼントを買う為、祖母と一緒に繁華街を歩いていた。僕は新聞配達で貯めたお金で祖母にストールを買ってあげた。ストールを買ったデパートのレストランで食事をし、店を出て広い交差点に差し掛かった時、一台の軽トラックが猛スピードでこちらに近付いて来るのが分かった。(危ない!)と
    カルロス伊藤 さん作 [413]
  • 僕と和子と敬太郎 第十二話2

    この次元で感じる『時間』の感覚というものは実に不思議で(と言うより、恐らく時間という概念は無いんだろうが)そんな一連の流れがまるでビデオの倍速モードの様に見えたり、スローモーションの様に見えたりした。また、時には僕が全く知らない過去の歴史事象などが飛び込んできたりもした。数ヶ月後、二人は仲を戻し男女の付き合いを始めた。そして二年後、和子と敬太郎は結婚し夫婦になった。その一年半後、二人の間に女の子
    カルロス伊藤 さん作 [327]
  • 僕と和子と敬太郎 第十二話1

    そんないきさつを僕は何処かから見ていた。いや、目という物が無いんだから、見ていたという表現はおかしいかもしれないが、不思議な事に、今まで居た次元の世界の事象の流れ、成り行きが手に取る様に分かるのだ。あの後二人はお互い気まずくなり、暫くの間会わなかった。僕が行方不明になった事も、一時は騒然となり色んな噂が流れたりしたが、元々身元が判らないよそ者だった僕は、次第に周囲の人々の記憶から消されていった。
    カルロス伊藤 さん作 [321]
  • 僕と和子と敬太郎 第十一話

    (この野郎!いいとこばかり持って行きよって。和も何顔赤くしとんじゃ、アホが!)「あれ?」「あっ?」二人は互いに顔を見合わせた。「健ちゃん何処行ったん?」「消えた…」「そんなアホな」辺りを見回しても健二の姿は無かった。「健ちゃん!健ちゃん!」(健の奴、うまい事消えよったな、それにしても一瞬やったな…ん?でもちょっと変じゃ…)「ねえ、健ちゃん何処行きよったん!ねえ、ねえ!」「あ、ああ…何か用事でも思
    カルロス伊藤 さん作 [271]
  • 僕と和子と敬太郎 第十話

    とにかくこの状況から脱しないと、と思った僕は「お賽銭入れてお参りしようぜ」と、二人を促し社へと向かった。敬太郎と和ちゃんを並ばせて、僕は体半分後ろに下がり、和ちゃんの隣を歩いていた。社に繋がる短い階段に足を掛けた時、和ちゃんが段差に躓き前方に転びそうになった。咄嗟に僕は彼女の体を斜め後ろから抱きかかえる様に受け止めた。反射的に敬太郎に目が行ってしまったが、案の定(この野郎!)という目で僕を睨みつ
    カルロス伊藤 さん作 [313]
  • 僕と和子と敬太郎 第九話

    夏の名残の中にも秋の気配が感じとれる様になった9月の末のある日、僕等三人は近くの鎮守様のお祭りに出掛けた。祭りと言っても、町の小さな鎮守様に秋の豊作を祈願するもので、屋台が数軒出てる程度のこじんまりしたものだ。敬太郎は家を出る前から、そわそわして落ち着かない様子だった。和ちゃんも、そんな敬太郎の様子に気付いたらしく、「敬ちゃん、さっきからなんか落ち着かんなあ」「そ、そうか?わし昔からお祭り好きじ
    カルロス伊藤 さん作 [290]
  • 僕と和子と敬太郎 第八話

    敬太郎に「ちょっと話がある」と呼び出されたのは、僕がこの時代に来てちょうど一年が経つ頃だった。「今月末にある鎮守様のお祭り、三人で行く約束しとったやろ」「ああ、秋祭りね」「健を男と見込んで、ひとつお願いがある」と彼は神妙な顔つきになった。「その日、和ちゃんの両親が法事で家におらんのは知っとるな」「うん」「わしはその日男になろうと思っとる…」「え?」「つまりや、…和をわしの女にしようと思っとるんや
    カルロス伊藤 さん作 [366]
  • 僕と和子と敬太郎 第七話

    時が過ぎるのを早く感じるのは、僕が居た時代もこの時代も変わりは無い様で、もうすぐこの時代に来てから一年という歳月が経とうとしていた。店や家事の手伝いをしながら、昔からこの家に住んでるかの様に毎日を過ごした。何よりおじさんおばさんが僕の事を何の疑いもなく我が息子の様に可愛がってくれた。考えてみれば僕のひいお祖父ちゃんひいお祖母ちゃんに当たる人だ、血が繋がってるのだからそう感じられるのも当たり前と言
    カルロス伊藤 さん作 [256]
  • 僕と和子と敬太郎 第六話

    和ちゃんが帰り、敬太郎の部屋で彼と二人きりになった。少し気まずい雰囲気だったので何か話さなきゃと思い、「敬太郎君は彼女と付き合ってるの?」と、いきなり核心を突いた質問を投げ掛けてしまった。敬太郎は(何でそんな事聞くんだよ)という様な表情を一瞬浮かべたが、「彼女とは幼なじみじゃ。でもわしは奴の事好いちょる」と、ちょっと照れながらも男らしく毅然と答えた。「それよりずっと言おうと思うとったんじゃが、ズ
    カルロス伊藤 さん作 [252]
  • 僕と和子と敬太郎 第五話

    敬太郎の家は町の商店街にある小さな金物屋だった。店先から中に入り、小上がりになってる障子戸を開けるとすぐ居間になっていた。そこにはいかにも頑固そうなおやじと、気立ての良さそうなおばさんが座ってお茶を飲んでいた。「お帰りなさい、あら和ちゃんも一緒?」「おばさん、今晩は。ちょっとお邪魔していいですか?」「どうぞどうぞ、あら、そっちの子…見慣れない顔だけどお友達?」「はい。健二君って言うんですけど、彼
    カルロス伊藤 さん作 [249]
 
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