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ティシュー さんの投稿された作品が28件見つかりました。
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十字路とブルースと僕と俺 3
8月13日朝、目覚めたとき、昨日聞こえていた音はすっかり聞こえなくなっていた。歯を磨き、顔を洗い、朝食を食っているそのあいだ中、全神経は両の耳に注がれていた。前の晩、家に帰ってきてから母や姉たちにも音が聞こえるか訊いてみたが、そんな音は聞こえないと言われた。おれはガキながらに、昨夜の奇妙な音や声らしきモノは、幻聴もしくは空耳なんだと自分なりの答えを出し、忘れようとしていた。太陽が高く昇っても音は
ティシュー さん作 [294] -
十字路とブルースと僕と俺 2
林の中は真っ暗だった。ふたりが持ってきた懐中電灯がなければ、右も左もわかったものではないだろう。だが、その暗闇が逆にお互いの視線や表情を隠してくれたお陰で、おれと父は、いつも以上に会話を弾ませていた。その前にやっていた花火の興奮を引きずっていたせいもあっただろう。ふたりは近くにいながらも大きな声でお互いに声をかけ合い、どちらかが虫を見つければ、そこへ駆けつけ、ふたりで必死になって虫と格闘した。結
ティシュー さん作 [270] -
十字路とブルースと僕と俺
暑い暑い毎日だった。夏休みに遊びに行った田舎のおばあちゃんの家。そこには自然が腐るほどあって、空気は澄みすぎていて、そこに住む人たちは底抜けにやさしかった。当時のおれは、10才になったばかりのがきんちょだった。もう20年以上も前のことなのに、この夏のことは今でも鮮明に思い出せる。そして今の自分があるのも、この夏に体験した不思議な出来事のお陰に他ならない。おれの記憶が正しければ、あの時に起こった出
ティシュー さん作 [432] -
風邪 4
クソッ!…俺はイラついていた。消毒クセー病院の待合室…。畜生ォ!…なんでこんな混んでんだよ。病院なんかに来たのはガキの時以来だった。もう十年は来てねーと思う。別に病院が嫌いってワケじゃねー。たまたま病院に来るほどの病気になってなかっただけだ。そりゃーたまには風邪ぐらい引いてたけど、今までは不思議とすぐに治ってた。だけど今回はそうもいかなかった。熱は下がんねーし…下痢は毎日続くし…咳は日に日に酷く
ティシュー さん作 [310] -
風邪 3
午前九時…。とある病院の待合室に、私はいる。一週間前に来た時は、それほど混んではいなかったが、今日は非常に混んでいる。先週の日曜日、突然体中が痛み、それから熱が40度近くまで出た。しかし、単身赴任中の為、誰も傍には居なかった…。こういう時、家族と一緒に暮らしていればと、心から思った。何度も電話のひとつもかけて、妻の声を聞き、家族から慰めてもらいたい…とさえ思った。だが、皆に心配させると思うと、ど
ティシュー さん作 [319] -
風邪 2
うわぁー…スゴい混んでる。土曜日の午前中、私は自分の家から程近い病院に来ていた。待合室は、座る所が見付けられないくらい、人でいっぱいだった。私は、覚束ない足で受付へと向かった。昨日から咳がスゴい出て、ほとんど眠る事も出来なかった。だから、マスクをして、冬物のコートを着て、目は真っ赤っかだった。とはいうのも、その前の日に家族で出掛けた温泉旅行が原因だった。もちろん温泉はスゴい気持ち良くて、サイコー
ティシュー さん作 [407] -
風邪2
とにもかくにもまずは受付だな…。覚束ない足取りで受付へと向かった。昨日の夜から熱もあった。今日になって熱は少しばかり下がってはいたけれど、そのかわりに頭痛と腹痛が余計に酷くなった。此処まで来る間にも何度となく洒落にならない程の腹痛と闘った。マジ大変だった…。それで辿り着いた病院がこの混みようだ。こればっかりはしょうがないけれど…。受付の前まで来ると何人かの人達が用紙に自分達の病状を書いているよう
ティシュー さん作 [309] -
風邪
風邪を引いた…。久しぶりに…。あまりに具合が悪いので病院にも久しぶりに行かざる得なくなった。待合室は人だらけ…。皆マスクをしていたり、やたら厚着をしていたり…。喋り声の代わりに咳やクシャミの音が響く…。気が滅入る…。此処に数分も居れば健康な人だって只じゃ済まなそうだ。早いトコ診てもらって此処から抜け出したい…とマジで思った。でもこの人の量……すぐに帰れないのは一目瞭然だ。他の病院に行くって手もあ
ティシュー さん作 [348]