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矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?17

    「こうしてわざわざみんなに集まってもらったのには、実は訳があるのだよ。この私の体はすっかり癌におかされていてね。医者が長くてもあと三ヶ月の命だと保証してくれたよ。もっとも、このビデオを見ている諸君達は、その事も、そしてその結果もすでに承知しているはずだがね。体調が悪いので病院に行った時には、もう打つ手がなかったのだよ。よって、今の私の唯一の薬はこれだけだ」そう言ってワイングラスを振ってみせた。孝
    矢口 沙緒 さん作 [364]
  • 欲望という名のゲーム?16

         4「やぁ、諸君。とりあえず久し振りと言っておこう」テレビの中の雅則が、屈託のない笑顔で言った。あの黒い金属の笑顔と同じだった。「雅則兄さん!」孝子が驚きのあまり、思わず声を上げた。それは不思議な映像であった。テーブルを挟んだ向かい側の席に、まるで雅則が本当に座っているような錯覚を起こさせた。テーブルの上に置かれた大画面のブラウン管の中に、現実のテーブルを延長した映像が見事に映っている。
    矢口 沙緒 さん作 [354]
  • 欲望という名のゲーム?15

    鹿島が話を続ける。「雅則様がお亡くなりになりましたのは、今から約三ヶ月前の、今年の一月十六日、死因は癌でした。こちらから連絡したにも関わらず、葬儀に来ていただいたのは、確か孝子様お一人でしたね」孝子はうつ向いたまま、寂しそうに小さくうなづいた。「なんだなんだ、当て付けがましく!」明彦が露骨に嫌な顔をする。「葬式に行こうが行くまいが、勝手じゃないか!それとも何か?葬儀に出席した者しか遺産相続の権利
    矢口 沙緒 さん作 [347]
  • 欲望という名のゲーム?14

    「この屋敷もこの生活も、雷音寺家の財産とは全く関係がありません。雅則様が自らの手で築いたものです。その点に誤解がありませんように」「独自の才能って、いったいなんだったんですか?」喜久雄が聞いた。「皆様方ご兄弟は、お互いに全くの音信不通状態でしたので、知らないのも無理はありませんが、雅則様にはゲームの才能があったのです」「ゲーム?ゲームって将棋やトランプなんかの、あのゲーム?」深雪が不思議そうに鹿
    矢口 沙緒 さん作 [343]
  • 欲望という名のゲーム?13

    1、五人の子供の内、自分の死亡時点で成人に達している者に、財産を均等分配する。2、五人の子供の内、自分の死亡時点で成人に達していない者がある場合、財産を均等分配された者が均等に、その者が最終学業終了まで、学費及び生活面での一切の面倒を見る事。3、五人の子供の内、自分の死亡時点で成人に達していない者は、最終学業終了後、財産均等分配者より五千万円の支給を受ける権利があり、財産均等分配者は均等にこれを
    矢口 沙緒 さん作 [382]
  • 欲望という名のゲーム?12

    食事が全て終わり、テーブルの上がほとんど片付いた頃、再び鹿島が入ってきた。手に分厚いノートのような物とビデオテープを一巻持っている。「まず私の自己紹介を簡単にしてしまいましょう。私は鹿島といい本業は弁護士です。東京に法律事務所があります。主な仕事は雷音寺雅則様の財産管理と、そして個人的な秘書の役目も果たしております。では、そろそろ本題に入りましょう」 彼はテレビの横に立ってビデオテープを置きノー
    矢口 沙緒 さん作 [394]
  • 欲望という名のゲーム?11

         3六時には全員が食堂のテーブルに着いていた。細長い巨大なテーブルが、やはり細長い部屋の中央に重々しくあった。テーブルの長いほうの辺に椅子が八脚づつ、そして短い辺に一脚づつ、合計で十八人が座れるように出来ている。しかし、今はその端に五人分のナプキンとナイフ・フォーク類、それにスープ皿がセットされているだけだ。そして奇妙な事に、もう一方のテーブルの端に、大画面のテレビモニターとビデオ装置が
    矢口 沙緒 さん作 [360]
  • 欲望という名のゲーム?10

    深雪は三号室のホームバーの椅子に腰掛け、ブランデーを傾けながら、ドアに下がっている黒い金属の塊を見ていた。冷たい金属が笑いかけているようで、あまり良い気持ちはしない。そう言えば、確かこれと同じ物を食堂のドアの内側でも見たような気がした。深雪はキャメルを指に取り、火を着けた。カウンターの隅には、彼女の指定銘柄であるキャメルのロングサイズが3カートン、初めから用意されていた。鹿島が自分達の事を事前に
    矢口 沙緒 さん作 [369]
  • 欲望という名のゲーム?9

    明彦は金色の金具で1の付いた部屋に入った。ワンルームを想像していた明彦は、ドアを開けた瞬間やや戸惑った。十ニ畳ほどの広さの部屋で、やはり基調は落ち着いたアイボリー。窓を大きく取ってあるせいか全体に明るい。ドアのすぐ右にホームバーのカウンターがあり、カウンターの奥の棚には、いろいろな銘柄のウイスキー、ブランデー、あるいはジンリキュール類などがびっしりと並べられている。部屋の中央よりやや奥に応接セッ
    矢口 沙緒 さん作 [337]
  • 欲望という名のゲーム?8

    「いくらある」明彦がぶしつけに聞いた。「兄貴の遺した財産は、いったいいくらあるんだ」「動産、不動産もろもろを全て合わせますと、約ニ百八十億円というところです。「ニ百八十…」深雪が言葉を呑んだ。その金額は、誰の想像をも大きく上回っていた。「滞在に異論はございませんね」鹿島が澄まして言う。勿論、異議を唱える者はいない。「何も聞いてなかったから、着替えがないわ」孝子がぽつりと言った。鹿島は大丈夫という
    矢口 沙緒 さん作 [397]
 
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