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矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。
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欲望という名のゲーム?106
「なんだ喜久雄。お前、将棋が出来るのか?」「ええ、あまり強くはありませんが…実戦よりも、主に詰将棋なんかをやってるほうが多くて…」そこへ友子が息を切らせて戻って来た。「はい、駒と盤」「よし、さっそく並べてみよう。孝子、やってみてくれ」孝子はメモを見ながら、駒をひとつひとつ並べだした。「そして、最後に白のクイーンを『gの3』と。はい、出来た」「確か雅則は、クイーンを正しき位置に導けって言ってたよな
矢口 沙緒 さん作 [553] -
欲望という名のゲーム?105
2「兄さん、そろそろ八時ですよ。あと四時間しかありません」「残念ね。せっかくクイーンは見付けたのに…」そう言って、友子がポケットから水晶のクイーンを出し、コルクの横に並べた。その動作を見ていた明彦が、いきなり立ち上がり、コルクとクイーンを交互に見始めた。「おい、みんな。このコルクに書かれている『WQg3』だが、このニ文字目の『Q』はクイーンの『Q』じゃないのか?」「クイーンの『Q』?」
矢口 沙緒 さん作 [538] -
欲望という名のゲーム?104
「うーん、最初のアルファベット三文字は、何かの略称かもしれないな。例えば『JRA』が『日本中央競馬会』というような…」「でも、こんな略称って、ひとつも聞いた事ないわよ」友子が呆れて言った。今度は孝子が手をあげた。「ねぇ、これってさ、最初の一文字は『W』か『B』よね。そのふたつだけだわ。何か意味があるのかしら?」確かに孝子の言う通りなのだが、その意味は?と尋ねられると、答えられる者はなかった。「暗
矢口 沙緒 さん作 [528] -
欲望という名のゲーム?103
第七章別れという名の ゲームセット 1シャトー・ムートンから抜いたコルク栓を手に持っていた友子が、急に大きな声を上げた。「見て!コルクに何か書いてある。新しい手掛かりよ!」友子が差し出したコルク栓の横の部分に、確かに文字が書かれている。しかし、これは行き止まりを告げるメッセージではない。ただ一行、次のように書かれていた。『WQg3』「これはあのレモンパイに書かれていたものと同種のもの
矢口 沙緒 さん作 [532] -
欲望という名のゲーム?102
五人はワイン貯蔵庫の中を歩き回った。こうして特定の一本を探すのは、それほど手間のかかる作業ではなかった。ワインはその産地別に、見事に分類されていたからだ。そして、ついに問題のワインを見つけた。シャトー・ムートン1982年。ラベルには得体の知れない絵が書いてある。「ねぇ、これ封を切ったあとがあるわよ。ほら、ここのところがこんなになってる」孝子がボトルの首の周りについている封を示す。「このままじゃ中
矢口 沙緒 さん作 [550] -
欲望という名のゲーム?101
「なぜ気付かなかったんだろう」「そうなんだよ、深雪。あれはワインの三色だったんだ。白ワイン、ロゼワイン、赤ワイン。僕達はその中にいたんだ。みんながワインを目にしながら、これに気付かなかった。ロゼは茶色、白はそのまま白。だからこの場合の黒は、赤ワインを指しているんだ」「そう言えば、特に色の濃い赤ワインを、黒ワインと呼ぶ国もあるって聞いた事があるわ」孝子が思い出したように言った。「じゃ、こういうこと
矢口 沙緒 さん作 [521] -
欲望という名のゲーム?100
4パスタを口に運びながら、喜久雄は考えていた。さっき友子が、『黒猫と三毛猫の関係』と言った時、何か答がすぐそこにあるような気がした。だが、それが形にならないのだ。とても簡単な事のように思える。すぐ目の前でヒラヒラしているみたいだ。でも、うまくつかむ事が出来ない。最初から順序立てて考えなくてはいけないらしい。彼はフォークを置き、腕組みをした。まず『三毛猫』だ。友子は三色の毛の猫だと言った
矢口 沙緒 さん作 [534] -
欲望という名のゲーム?99
「じゃ、孝子。おまえはこの黒猫が手掛かりだというのか?」「そうね、手掛かりというよりも、道しるべじゃないかしら」そう言って、彼女もシュバルツェ・カッツェを一本手に取った。「では、仮に道しるべとして、その示す先はどこだ?」「多分『ピカソ』だと思うわよ。ただ問題は、この黒猫のワインとピカソの関係よね。この黒猫に意味があるのかしら?」「兄さん、ひとつ図書室に行って、このワインの事を調べてみたらどうでし
矢口 沙緒 さん作 [533] -
欲望という名のゲーム?98
「実は俺もあそこには行ってみた。というのも、ちょっと気になる事があってな。ほら、雅則が初日のテープをよく見ろと言っていただろ。それで何回か再生してるうちに、ある事に気が付いた。雅則が猫を抱き上げて、これがヒントだと言った時、あいつは猫を抱いている手に、ワインを満たしたワイングラスを持っていたんだ。俺は猫と同時にワインもヒントだとほのめかしているように思えた」「あっ、そう言えば確かに持っていた」喜
矢口 沙緒 さん作 [543] -
欲望という名のゲーム?97
「なんだ、孝子?」「ピカソに関する物が、まったくなかったわけじゃないわ。トランプの箱にピカソの絵があったもん。ただ深雪姉さんはそれを追いかけて、行き止まりにぶつかっちゃったけど」「じゃ、孝子に聞くが、深雪がトランプからたどった道の途中で、どこかで間違えたという事はないか?途中で脇道にそれたとか」「それはないと思う。あのトランプは最初から罠だったのよ」「じゃ、俺のときと同じだな」明彦は麻雀牌からた
矢口 沙緒 さん作 [506]