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矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?86

    「かなり急だな。それに乾燥した土埃が溜まっていて、靴では滑りそうだ。裸足になった方がよさそうだな」「ここしばらくは、雨が降りませんでしたから」鹿島が説明的に言う。喜久雄は一度ベランダまで降りてきて、上着を脱ぎ、靴と靴下も脱いだ。「私は何をしたらいい?」友子はなんとか喜久雄の役にたとうと必死だった。しかし、彼女に出来る事は何もない。「そうだな…じゃあ、おまえはここで祈っていてくれ」喜久雄は笑いなが
    矢口 沙緒 さん作 [466]
  • 欲望という名のゲーム?85

        5鹿島の部屋にノックの音が響く。鹿島が立ち上がりドアを開けると、喜久雄と友子が立っていた。「どうしました、お揃いで」「屋根に登りたい。方法はないか?」喜久雄が言った。その目には、強い決意が伺われる。「屋根に?しかし、ここの屋根は危険ですよ。もし、落ちでもしたら…」「危険は分かっている。方法が分からないだけだ。どうしたら、この屋根の上に出られる?」鹿島はしばらく考えていたが、「そういえば、
    矢口 沙緒 さん作 [460]
  • 欲望という名のゲーム?84

    「ちょっと、今、思い出した。子供の頃、お母さんに聞いた事があるの。猫が天気予報をするのは知ってる?」「あの、猫がよくやってる、手で顔をこするやつか?」「そうそう、あれは猫が顔を洗っているらしいんだけど。朝起きてすぐ、猫が手で自分の顔をこすると、その日は雨が降るって…でもね、あれは普通の猫じゃダメなのよ。お母さんがそう言ってた。あれは、とっても珍しい猫にだけ、その能力が備わっているんですって。ほか
    矢口 沙緒 さん作 [514]
  • 欲望という名のゲーム?83

    「このゲームさ。もう五日もたつのに、何も分からないまんまだもんな。三毛猫、ピカソ、それからスマイル君か、あれも分からんし」「そうね。それからレモンパイに書いてあった暗号も分かんないわね」「結局、全然分からないってことだよな。だいたい向いてないんだよな、こういうのにさ」「じゃ、諦めるの?」「ホームランを諦めて、確実なヒットっていうのはどうだ。つまりさ、明彦か深雪が財産相続の権利書を見付けたら、僕達
    矢口 沙緒 さん作 [455]
  • 欲望という名のゲーム?82

         4四月十九日\r朝食を終えた喜久雄と友子は、庭に出てみる事にした。昨夜のうちに屋敷中にあるスマイル君を調べて回ったが、何の成果も得られない。初日のビデオテープを何回も再生してみたが、これも無駄だった。そして友子は、三毛猫が三色の暗示であり、その三色という言葉から連想される三色スミレに、まだこだわっていた。外はよく晴れていて、日差しが眩しいほどだった。二人は花畑を横切る車寄せの道の、真ん
    矢口 沙緒 さん作 [447]
  • 欲望という名のゲーム?81

    そうだ、あの不自然な言動は、その結果なのだ。明彦は地下のワイン倉庫へと降りて行った。ここにこそ、最も重要な手掛かりがあるはずだ。明彦はこの屋敷とほぼ同じだけの広さを持つ倉庫の中を、必死で歩き回った。棚から棚へと目を移し、何かを探し求めた。目的がはっきりしていれば、まだ探しようもあるのだ。だが、今はその目的もなく、ただあてもなくワインの迷宮をさ迷っていた。「これだ!」明彦は思わず声を上げた。彼が立
    矢口 沙緒 さん作 [459]
  • 欲望という名のゲーム?80

    彼女はそこに並んだ猫の絵柄のラベルのワインを、歩きながら見ていった。どうやらそこに並んでいるのは、ラベルは多少違うが、同じ『シュバァルツェ・カッツェ』という銘柄のワインのようだ。どのラベルにも猫が描かれてある。きっと、この銘柄のワインのトレードマークが猫なのだ。深雪はそれを一本づつ点検する作業を始めた。ボトルは全部透き通ったタイプのものなので、中に何か不審物があれば、すぐに分かる。だが、結局は何
    矢口 沙緒 さん作 [444]
  • 欲望という名のゲーム?79

    まず深雪は三階から見た。この階の七つの部屋は、全て行き止まりだ。これに早く気がついていれば、あのジャンヌ・ダルクの鎧を分解する必要はなかった。二階は当然除外という事になる。では、答は一階か?いや、一階の各部屋にも、あのスマイル君はあった。そして、外もダメ。では、いったいどこか?残った場所が一つあった。地下室へのドアだ。あのワインの貯蔵庫に続く地下室へのドアだ。深雪はそっと部屋のドアを開け、廊下の
    矢口 沙緒 さん作 [428]
  • 欲望という名のゲーム?78

    そうだ。もしこの笑顔が行き止まりを意味しているなら、こう言っているのではないのか?『残念だったね。ここは行き止まりなんだよ』そう笑いながら言っているのだ。では、それは誰に?もちろん、この笑顔と対面している人間にだ。ではその人間は、いつ笑顔と対面するのか?そう!それは部屋を出る時だ。部屋のドアの内側に掛かっている以上、そう解釈するしかない。謎はもうひとつある。どうしてあたしの部屋に、この笑顔がある
    矢口 沙緒 さん作 [439]
  • 欲望という名のゲーム?77

    深雪は図書室で孝子といる間に、ある事に気がついた。迷路とは、結局三つの要素で成り立っているのではないか?入り口と出口、そして行き止まりだ。では、このスマイル君とやらは、それのどれに当たるのか?まず出口だが、これは違うだろう。雅則兄さんは、これが正しい入り口へ案内すると言っていた。では、入り口なのか?しかし、自分が罠に落ちた入り口はトランプだった。明彦の奴が、庭の木の根元に穴を掘ったきっかけも、ど
    矢口 沙緒 さん作 [429]
 
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