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矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?57

    カチッとスコップが何かに当たった音がした。明彦はスコップを投げ出すと、今度は両膝をつき、手で掘り出した。四つん這いになり、必死になって穴を掘る明彦のその姿は、何か浅ましいものを感じさせた。そして彼はついに土の中から、箱を掘り出した。ちょうど封筒が収まるくらいの、薄い金属の箱だ。それをゆっくりと開いた。その形と大きさからして、当然中には封筒が入っているものと思っていた明彦は、たった一枚の紙しか入っ
    矢口 沙緒 さん作 [402]
  • 欲望という名のゲーム?56

    明彦はその大きな木をぐるりと回り、根を調べた。あった!一ヵ所だけ根が露出していて、それが二股に分かれていた。しかもそこは林の内側、つまり雅則の言う『O・B』よりも内側になっている。彼は陣地を死守する兵隊のように、その場所にどっかりと胡座をかき、腕組みをした。「鹿島、今度はスコップだ。スコップを持ってきてくれ」鹿島がスコップを取って戻ってきた。明彦はそれを受け取ると、今自分が座り込んでいた所を掘り
    矢口 沙緒 さん作 [389]
  • 欲望という名のゲーム?55

    今度はその穴に手を入れてみる。穴は二股に分かれていて、まっすぐ貫通しているのとは別に、途中から真下に向かっている穴があった。そこに手を突っ込んだ明彦は、ビクッとして手を引っ込めた。何か毛のような物が触れたからだ。しかし、ここでやめるわけにはいかない。彼は意を決してもう一度手を入れた。そして恐々とそれに触る。それが動く気配はない。生き物の温かさもないし、かといって、死んでいるものの冷たさもない。彼
    矢口 沙緒 さん作 [423]
  • 欲望という名のゲーム?54

        3双眼鏡を持った鹿島を先頭に、喜久雄、友子、深雪の順で、ぞろぞろと明彦のいる林に向かった。明彦は腕組みをして、木を見上げている。そして時々振り返り、屋根の上にある風見鶏を見ている。「はい、双眼鏡をお持ちしました」鹿島が言うと、明彦はそれを引ったくるように取り、それで木の上のほうを丹念に見ている。「何を見つけたのよ、兄さん」深雪が言うと、明彦は皆を睨み付けて、「いいか、この発見は俺に権利が
    矢口 沙緒 さん作 [411]
  • 欲望という名のゲーム?53

    「ねぇねぇ、ちょっと起きてよ」友子が寝入ったばかりの喜久雄を起こした。喜久雄は昨夜一晩中見張りをしていて、ついさっき寝たばかりだった。「なんだよ、うるさいなぁ」「ちょっと大変よ!明彦さんが、何か見つけたらしいわよ」「な、なんだって!」喜久雄は飛び起きた。深雪は部屋で見取り図と、にらめっこをしていた。図のあちこちにX印が書き込んである。例の雅則の金属製の笑い顔のある位置だ。彼女はこれにも、何らかの
    矢口 沙緒 さん作 [396]
  • 欲望という名のゲーム?52

        2ノックもなしに、いきなり明彦が飛び込んで来たので、鹿島はびっくりした。しかも明彦の様子がただ事ではない。異様に興奮している。「な、何事です!いきなり!」鹿島はそこまで言うと二、三歩下がった。昨夜の食堂での争いが、すぐに思い浮かんだ。また『ビデオテープを出せ』と、怒鳴り込んで来たのかと思ったからだ。「おい、鹿島!磁石はないか?」明彦は興奮した様子で、ずかずかと鹿島の前まで来ると、突然言っ
    矢口 沙緒 さん作 [396]
  • 欲望という名のゲーム?51

    わざわざ三列にしてあるという事は、一列づつがひとつの区切りになるはずだ。一列でひとつの言葉、あるいはひとつの意味になるはずだ。もしそれが正しいとするなら、そして『東』『南』が想像通りに方角を示すとするなら、これに付随している『一萬』は、最も単純に解釈したらどうだろう?これは『いち』つまり『位置』だ。それなら意味が通る。この一列目は『東南の位置』よし、なかなかいいぞ!なんとなく宝探しらしいじゃない
    矢口 沙緒 さん作 [419]
  • 欲望という名のゲーム?50

    麻雀牌は大きく四種類に分ける事が出来る。まず漢数字の一から九の下に『萬』という字がついた物。これは『マンズ』あるいは『ワンズ』と呼ぶ。次に丸い模様が一つから九つまで描かれている物。これを『ピンズ』と言う。そして同じく、棒状の模様が二本から九本描かれている物。これを『ソウズ』と呼ぶ。ただし、この『ソウズ』の一は、棒状の模様ではなく、例外的に鳥の絵柄になっている。この鳥は中国の霊鳥で、鳳凰である。最
    矢口 沙緒 さん作 [397]
  • 欲望という名のゲーム?49

    第四章翻弄という名の序盤戦四月十七日朝食には全員が顔を揃えたが、口を開く者は誰一人いなかった。明彦はトーストとコーヒーを流し込むように口に入れると、そそくさと食堂を出て行った。少し遅れて、友子が明彦の後を追うかのように食堂を出た。喜久雄は眠そうにあくびばかりしている。そんな喜久雄を、深雪は気に入らなそうに見ていた。しばらくして、友子が帰ってきた。そして喜久雄と何やら小声で相談している。「友子さん
    矢口 沙緒 さん作 [395]
  • 欲望という名のゲーム?48

    孝子が落ち込み気味だったので、鹿島が話しを変える。「そうだ、さっきお話に出た『ビトゥイン・チェス』ですか?あれをひとつやってみませんか?」「あれを?いいわよ。じゃ、この本を衝立にして、経験者の私が黒で、あなたが白ね」「白という事は、私が先手というわけですね」「雅則兄さんが死んじゃったから、このゲームを知っているのは、世界中で私とあなたの二人だけ。つまりこれは『ビトゥイン・チェス』の世界選手権とい
    矢口 沙緒 さん作 [395]
 
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