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水無月密さんの投稿された作品が35件見つかりました。

 
  • 流狼−時の彷徨い人−No.69

     半次郎への関心が薄れていた段蔵が、彼の言動に興をしめして注目していた。 その段蔵に視線をむけ、半次郎は粛々と持論を語り続ける。「貴方は組織に身をおきながら、いつも孤独の中にいた。 誰からも理解されず、理解されようともしなかった貴方は、ただ闘いの場だけを求めて一人彷徨い続けていた。 その生き方に流狼を感じたからこそ、あの頃の私は貴方に惹かれたのでしょう」 流狼、それは敬愛する後藤半次郎が教えてくれ
    水無月密さん作 [571]
  • ベースボール・ラプソディ No.54

     八雲を見る大澤は、あらため考えていた。 真壁八雲という男の本質を。 相手を深く理解し、まっすぐに接するからこそ、あの男は人を引き付けるのではないかと。 数ヶ月前までは孤独の中にいた大澤が今この場にいるのも、八雲だけがその孤独を理解し、正面からぶつかってきたからこそなのだから。「自分は急ぎすぎているのかもしれません。 ブランクがある大澤さんや八雲の事を考えるなら、無理に勝ち進むよりも来年の事を考
    水無月密 さん作 [814]
  • ベースボール・ラプソディ No.53

    「どうだった?」 戻ってきた哲哉に、大澤が問いかけた。「駄目でした、話を切り出すことすらできませんでしたよ」 哲哉がかぶりを振ると、大澤は残念そうに息をついた。「…そうか、あの運動神経ならば、野球の経験がなくても戦力として期待できそうだったんだがな」 大澤はそういって須藤に視線をむけた。 哲哉が八雲達のところへ足をはこんだのは、須藤の勧誘が目的であった。 初戦を無難に終えたものの、控えの選手が一
    水無月密 さん作 [792]
  • ベースボール・ラプソディ No.52

    「とりあえず野球ができりゃ、今は満足だしなぁ。 強いていうなら、引退間近な先輩達と一試合でも多くやっていたいってのが夢…、というよりも希望か」 そういって八雲は、敬愛する三年生達に視線をむけた。 野球の知識はあまりない須藤だが、それでも八雲が非凡な存在であることは理解していた。 その才能豊かな男がプロを目指さず、甲子園すら望まないとは何とも惜しい話だと、彼は感じていた。 だが、八雲を諭すだけの言
    水無月密 さん作 [724]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.68

     半次郎を刮目する段蔵は考えていた。 この若者がもつ水晶眼には、どれだけの洞察力が秘められているのだろうかと。 半次郎の危惧するとおり、実力の拮抗した者同士の死闘では、雌雄が決しても勝者が深刻な痛手を負うことは珍しくない。 それは段蔵自身も知るところだが、自分とノアの相討ちがハクの闊歩につながるとまでは、思慮がおよばなかった。 そう、段蔵は知っている。 ハクという名の男を、その存在自体がいかに脅
    水無月密 さん作 [622]
  • ベースボール・ラプソディ No.51

     ケタケタ笑いながら八雲達のやり取りを聞いていた小早川は、再び須藤のサポーターに視線をうつした。「そういやこの前見た地方プロレスの試合で、それと同じサポーターつけたマスクマンが出てたなぁ。 背格好もちょうど竜之介ぐらいだったけど、まさかお前じゃないだろうな?」 冗談で口にした小早川だったが、途端に須藤は無口になり、視線をそらした。「………」「お前かぁっ!!」 声を揃えて荒げる小早川と八雲。「頼む
    水無月密 さん作 [721]
  • ベースボール・ラプソディ No.50

     うるさいギャラリー達を駆逐した八雲は、グランドの一隅で談笑する小早川と須藤に気づき、歩み寄っていた。「モテモテだな、八雲」 茶化す小早川に、八雲は渋い顔をした。「練習に集中できんっ、迷惑なだけだっ!」 八雲らしい反応に、小早川と須藤は微笑んだ。「昨日の試合じゃ大活躍だったからな、お前は。 騒がれても仕方ないだろうよ」 笑顔で語る須藤。「あいつらの中で試合を見に来た奴が何人いる? 試合結果だけ見
    水無月密 さん作 [749]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.67

    「私さえ長尾家に逃げ込まなければ、貴方も居場所を失わずにすんだのでしょう」 奥歯を強く噛み締めた半次郎は更におもう。 そして、後藤半次郎も死なずにすんだのだろうと。 半次郎の言を聞き終えた段蔵は、ただ憮然としていた。 彼にしてみれば、半次郎によって緩んでゆく家風に嫌気がさし、自らの判断で出奔したのである。 さらにいえば、彼にその気さえあれば刺客を返り討ちにして景虎を弑逆するくらい、造作なきことだ
    水無月密 さん作 [569]
  • ベースボール・ラプソディ No.49

    「それでも一人だけ、八雲に近づいてくる女がいたんですけどね……」 淡々と話す哲哉は、そこまでで話をやめてしまった。「真壁はその女と付き合っていたのか?」 続きが気になる大澤が抑え切れずにきくと、哲哉は小さく頭をふった。「あの頃の八雲は、異性に限らず全ての事に無関心でしたからね。 ……だけど、小次郎がが死んだ時だけはさすがに一人が辛かったみたいで、その女に寄り掛かかろうとしたんですけど、そいつは落
    水無月密 さん作 [734]
  • ベースボール・ラプソディ No.48

     初戦を華々しくかざった橘華高校野球部。 その翌日の練習風景はこれまでとは違い、疎らではあったがギャラリーをあつめる盛況ぶりであった。 そのギャラリー達から一際注目をあびていたのが、八雲だった。 一年生でありながらマウンドにたち、一安打完封に抑えこんだその実力は高く評価され、特にミーハーな女生徒達の関心を集めていた。 なれないギャラリーに三年生達は浮足立っていたが、八雲は一切気にせず練習前のスト
    水無月密 さん作 [723]
 
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