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downpour さんの投稿された作品が8件見つかりました。
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「交代」続
やはり今では公衆電話はあまりり使う人がいなくて、数日がたった。ようやく一人の若者が「恵美」を使いに来た。「携帯充電きれちゃって〜」若者はたわいもなく話している。恵美は念じた、しかし何も起こらない。恵美は「そうだ!」と思い出し「交代」と言おうとしためらった。自分が言えばこの人が犠牲になる。…でも私だってこのままでは…恵美は決心した。「…交代」 恵美の視点は変わっていた。動く、視点は動いていた。しか
downpour さん作 [658] -
「交代」
深夜、不穏な空気が漂うTバス停前が一層気持ち悪く感じられ、恵美は少し急ぎ足になった。空気を感じるのはバス停の前にある公衆電話からだった。今では稀少な「それ」は通り過ぎようとすると、陰湿な空気が通行人をたぐりよせる。心では嫌悪感を抱くが、恵美はふらふらと「それ」にすいよせられていってしまった。恵美は恐くて呆然と立ち尽くしていると、けたたましい電子音が辺りに響き渡った。受話器をとるとしばらく無言だっ
downpour さん作 [844] -
不幸な男達
道端靖はたじろいでいた、左頬を撫でながら、まるで無関心に「汚い男だな…」とボソッと言われた瞬間、頭でプチッという音がし、ウワァ!と思いきり押し倒してしまった。監督はグッタリしている、打ち所が悪かったのか、よくわからなかったが、ともかく取り返しのつかない事をしてしまったのは混乱し続けている頭でも十分に理解していた。将来有望な注目のルーキー、道端靖の人生はまさにこれからであった。しかしその夢見た道、
downpour さん作 [663] -
果てに…
「どうも…明人君はまだ…?」「あぁ寺井さん、やはり今日も無理でした。…そりゃ母親が殺されるところを目撃しちゃったんだから…やはり迫田ですかね?」「…行方がわからないとなるとなぁ…そりゃ…」電話が切れると寺井雅夫は目の前が真っ暗になった。今回の事件の容疑者、迫田準一の次の行動は先程の電話で伝えられ、それが最悪の事態であることは十分わかっていた。「くそ…由美子、電話に出てくれ…頼む…」寺井の額からは
downpour さん作 [641] -
会見
A「なぁ…今の会見VTRおかしくないか?」B「何が?普通の会見じゃない。いかにも最愛の夫を亡くした悲劇の女優って感じで。」A「…しかしなぁ…火事で負ったとか言ってたあの右手の傷あったじゃないか?あれは嘘だな。」B「…なんで?確かにあの包帯は大げさだったかもしれないし……あぁ、あの会見の途中に右手で水を取ろうとして止めたやつのこと?」A「まぁそれは利き手だからとっさにでたんだろうし…それよりもあの
downpour さん作 [583] -
フェイク
夜となれば風も冷たく、僕は少し早足で先輩の家へと向かった。突然僕が行ったら驚くかな?…そんなことを考えながら先輩のマンションへと着いた。チャイムを押そうとした刹那、直ぐ様異変に気付いた。中から叫び声が聞こえる?「先輩大丈夫ですか!どうしたんですか?」ドアを叩きながら僕は叫んだ。 「!その声…田之上か!」「何かあったんですか?入りますよ」「まて、そこで止まれ!」鍵のかかっていないドアを開け、玄関を
downpour さん作 [1,196] -
平日戦記
友達の芝山と昼過ぎのY町の路地裏を歩いていると、突然芝山が腹痛を訴えはじめた。トイレを探して歩いていると「ラムダヤット」という名の喫茶店らしき店があったので、すぐに駆け込んだ。店内に入り「あの…トイレを借りたいんですけど」と芝山が声を発すると店内から、緑色のタンクトップを着た七十くらいのおじいさんが現れ、「なんじゃ貴様らは!」と歯茎を剥き出しにして大声で叫んできた。僕達は驚いたが、芝山がもう一度
アカウント さん作 [602] -
「手」
手……暗い一本道の先にぼんやりと手が見えた…。僕は吸い寄せられるようにその手に近づいていった…それは、見覚えのある親友Kの手である。優しいその手は僕を道の先へと誘う…。しかしその手は途中でふっと消えた…するとまた道の先に手が見えた…近づくと、今度は懐かしい祖父の手であった。なんだか温かいその手に誘われ僕はどんどん進んでいった…消えては現れる母や父、親しかった先輩の手等に僕はふわふわと誘われ進んで
downpour さん作 [1,361]
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