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ハルカ さんの投稿された作品が17件見つかりました。
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じぃちゃん 完
「で、清香の恋人だった日吉君を担当につけてもらったんだ」「御隠居、彼は混乱しているようだ。僕は仕事が残っているので、そろそろ」ムッ。つまり、何か。衝撃を受けている暇人につきあってる時間はない、と言いたいのか。…反論できないのが痛い。「はいはい。それじゃ、これ、テープと相手の電話番号ね」じぃちゃんはポケットからそれらを取り出して、日吉さんに渡す。「確かに受け取りました。ご協力、ありがとうございます
ハルカ さん作 [302] -
じぃちゃん 8
「うん、ぶっちゃけ。まぁまぁ、そんなに落ち込みなさんな」…思い切り肯定してんじゃねぇか。しかも、「ぶっちゃけ」って。なんだか怒りを通り越した脱力感がドッときた。「私のとこには昔から詐欺やら勧誘やらが多くてね。ま、有名税みたいに思ってたんだが」…思ってただけで、実際に被害にはあってないんすね。今更ながらに、じぃちゃんが、海千山千の元実業家、ということを思い出す。「全部シャットアウトすることもできた
ハルカ さん作 [313] -
じぃちゃん 7
「じ、じぃちゃんの息子さんは、確か五十代じゃなかったっけ?たまに経済紙とかに顔出すよな?」「そうだっけ?まぁ、清香はガールフレンドに産んでもらった子だからね。彼女はまだ若かったし」それが何か、と平然と俺を見返すじぃちゃんが憎い。つか、自分の子供を産ませるガールフレンド=女友達って、それは友達の域なのか?「大人はいろいろあるんだよ」俺の心の声を見透かしたような日吉さんの声。「大人の定義が、日吉さん
ハルカ さん作 [297] -
じぃちゃん 6
「正確に言うと、刑事ではありませんが」日吉さんは片手をあげて、じぃちゃんに苦笑してみせる。…が。「はい…?」「理解の遅い者にも、救いの手は差し伸べられるべきだ。よって、丁寧に説明してあげよう」いちいち嫌味なヤツだな。善意の押しつけは対人関係不調和音の第一歩だぞ。「警察庁に置かれている法務省の内部部局のひとつで、警察庁刑事局捜査第二課。そこが僕の職場であり、大型詐欺などの知能犯の捜査をする所でもあ
ハルカ さん作 [313] -
じぃちゃん 5
「あ、じゃあ俺、帰るよ」日吉さんは世間話をしにスーツ姿でここに来ているわけではない。それくらい、俺にだってわかってる。実際に職業が何なのか聞いたことはないけれど、じぃちゃんの会社の関係者だろう。隠居した元総裁にアドバイスを求めるには、少々年若い気はするが。「そうですね、それじゃ」「いやいや、ちょっと待ってくれ」日吉さんがにこやかに(喜びが表情から伺える)別れの挨拶をしようとすると、それをじぃちゃ
ハルカ さん作 [310] -
じぃちゃん 4
「へぇ。宗一君が説教を」顔はにこやかだか、内心バカにしてることが容易に予測できる日吉さん。言いたいことがあるなら、ハッキリ言えよ、この野郎。「何か文句でも?」「まさかまさか。御隠居に説教するなんて僕にはとても無理なことですから、感心していたんですよ」「どーも。ま、俺は人の顔色を見てうろたえるとか、ダサいと思ってますから」「若いっていいですよね。何事にも無謀になれて」「年を食うと保守的になるのは仕
ハルカ さん作 [311] -
じぃちゃん 3
正直、俺は日吉さんが苦手だ。職業は知らないけど、じぃちゃんの家にたまに来る、エリート然とした、いけすかないヤツ。「いらっしゃい。二ヵ月ぶりかね」「はい。こんにちは。宗一君も、久しぶりだね」家政婦さんに案内された日吉さんはいつも通り、隙ってもんがみあたらない。「あー、どーも」「相変わらず、今時の若者は、と言われそうな返事だね」「今時の若者をひとくくりにする人ほど、頭が固いっすよね。つまらない小物が
ハルカ さん作 [345] -
じぃちゃん 2
「人が善いなんて、そんなそんな」滅相もない、と顔の前で手を振るじぃちゃん。だけどさ。「今のは、誉めたつもりじゃないんだけど」照れ笑いを浮かべてくれるな。「おや、そうかい?」不思議そうに首を傾げる白髪頭のじぃちゃんは、現役時代、グループ企業のトップだったようにはとても見えない。せいぜいが年金暮しの御隠居だ。もっともその年金が莫大。おまけに相談役とかなんとかで、座っていても金が転がりこんでくるし。「
ハルカ さん作 [305] -
じぃちゃん
「ええっ!二百万、銀行に振込んだ?!」頷く相手の正気を疑うのはこんな時だ。おいおい、勘弁してくれよ。「それ、ホントに娘さんだった?ちゃんと本人だって確認した?」「だって」八十を越した老人が使っても可愛くない。「あれは清香の声だったんだよ。警察の人も横にいたし」「だ〜から、それが怪しいって…ああもう、それ、オレオレ詐欺だって言ってんの!」「清香はオレオレ、なんて言わないよ」「…俺の言い方が悪かった
ハルカ さん作 [378] -
さとちゃん 完
「どうも佳菜子さん。美里のおもり、ありがとうございました」ひょろりにこにこ、いつ見ても人畜無害そうな人だ。「いいえ。それより、首尾は?」「おかげさまで」照れ笑いの、その幸せそうな表情がすべてを語っている。よかったよかった。「にぃ」「ああ、美里。それじゃ、佳菜子さんの家でパパもママも待ってるから、戻ろうか」「うん」小さな手で兄の人差し指をにぎって、さとちゃんは嬉しそうに頷く。まるで私と一緒にいた時
ハルカ さん作 [300]
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