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KARASU さんの投稿された作品が5件見つかりました。
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私と僕
私は逃げる。『私』は『僕』であり、『私』は私だ。そして丘の向こうまでの逃避行を続ける。何回も、何回も。丘を越えてもその向こうには丘があって、私はその丘の向こうまで逃避行を続ける。脱力感。そして虚無感が私を襲う。『僕』が『私』に問い掛ける。「ねえ、何で逃げるの?いくら逃げてもいつまでも続くんだよ?意味があるの?」「何で?解らない。ただ逃げなきゃいけないんだよ、私達は」「じゃあ、何から逃げてるの?」
KARASU さん作 [362] -
スケアクロウ 4
「私はイザナミ。アンタの名前は?名前じゃないとしっくり来なくてね」「ハル。別にどう呼んでも構わないけど」「ははっ!ハル坊、よく言うじゃないか。ぶっきらぼうな奴。面白い」「ふん、そう」僕との会話にくすくすと小さく笑っていたイザナミは、急に真面目な顔になり、ピッチの低い声で僕に問い詰める。「で、ハル、あんたはどうして私達の射爆場にいたんだ?なぜあんななにもない場所に突然出て来た?答えろよ、地球種の人
KARASU さん作 [491] -
スケアクロウ 3
真っ黒なヘリコプターみたいな機械は、僕の上で止まった。強い風が吹き付けてくる。やっぱりヘリコプターに似てるようだ。そのうち、細長いボディの真ん中辺りが上へ跳ね上がった。そして、人が出て来た。ゴツイブーツとジャケットを着ている。背中に銃みたいなのを背負ってるところを見ると、どうやら軍人とかそういう種類の人らしかった。「おいガキ。テメェ俺らのシマで何やってやがる?解答しだいじゃ肥料にするぜ?」身を乗
KARASU さん作 [491] -
スケアクロウ 2
太陽が沈み、時間の区分が夜になった。空には太陽光の残滓と、隣の惑星の電気の光りだけが残った。無表情にそれらを眺める僕を、嘲笑するかのように吹き抜ける風。草がはきだした濃い空気が、草原の上を滑ってきてどこかへ去っていく。深呼吸。僕は、とりあえず歩くことにした。小声で、好きなバンドの曲を、ランダムに、入れ替えとっかえで歌っていく。そのうち、歩調は速く、走りになる。歌は、大きく、叫びになる。そのまま僕
KARASU さん作 [581] -
スケアクロウ
空を飛ぶ夢を見た。それは唐突だ。授業中の居眠り。先生の話しと、ノートの中の文字。擦り減った紙やすり程度の価値しかない、擦り減った情報が踊っている教室。そこで、ぼくは、空を飛ぶ夢を見た。時間にすれば短く、でもそれはぼくにだけひどく長く感じた。クラスメイトは授業に集中したり、小声で雑談をしていたりする。それがぼくには非現実的に思えた。平和だった。時間が滑らかに過ぎて、終わりそうな夏の空気は不思議な密
KARASU さん作 [512]
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