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チャーリー さんの投稿された作品が186件見つかりました。
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ヤス#73
ヤス#73「母さん、もう少しだからね。頑張るんだよ」「うん…大丈夫ヤスは山の斜面を登っていった。柔らかい土に足をとられそうになりながらも大地をしっかりと踏んだ。ユウキの下に着いた。「母さん、着いたよ。ここで戦うんだ」「ああ…とうとう来たのね」「うん。さあ、着ているものを脱がせるよ」「うん…」純子の体は肉が削げ、痩せこけていた。ユウキの下に寝かせると、塩を木の周りに円を描くようにまいていった。そし
チャーリー さん作 [302] -
ヤス#72
ヤス#72純子はしっかりと首をたてに振った。黒髪が全て剃り落とされ、尼のようになった。ヤスは純子の体を洗い流してやると、塩で清めた。風呂から上がるとネマキを着せて布団に寝かせた。ヤスは再び風呂場に行くと、己の毛を全て剃りおとした。塩を擦り込み、体を清めた。その夜は純子を守る為に竹刀を抱いて眠った。翌日の午後、一目をさけるようにして純子をリヤカーに乗せ、ハヤトと一緒に轢いて島の裏手を目指した。御床
チャーリー さん作 [307] -
ヤス#71
ヤス#71「よし!ここは大丈夫だ。あとは母さんだな…」ヤスは引き返して行った。ユウキの枝にサトリが留まっていた。「ヤス、明日はワシも助けてやれんぞ。踏ん張れよ…」【決戦】ヤスが帰宅したのは、夜の8時を回ったところだ。母はこの数日でみるみる衰えている。息をするのもやっとのようだった。ヤスは純子の着物を脱がすと、抱いて風呂場に運んだ。湯船にゆっくりと浸けて洗ってやる。「ああ…ヤス。数年前まで、私が洗
チャーリー さん作 [293] -
ヤス#70
ヤス#70「そうだったのか…止められないのか?サトリ…母を助けてくれ」「方法は一つ。もし、仕損じたら親子共々、海のモクズとなるぞ」「ああ、構わない。母が死ぬなら俺も同じだ」「ならば、教えてやろう」ヤスは帰路についた。満天の星が煌めいている。あの日もそうだった。龍神が現れた日だ。ヤスはシットと戦う決意を固めた。あと三日。時間がない。ヤスは帰宅した。母が目を覚ました。そして、ヤスはサトリと会ってきた
チャーリー さん作 [291] -
ヤス#69
ヤス#69「ほう…ヤスは果報者よのう」「一体、これは何だろうか?」「アイノツブテじゃ」「アイノツブテ?」「そうじゃ、心の清らかな者からしか生まれないものじゃ」「何の役に立つ?」「ヤスの母様は今、病んでいるじゃろう?」「うん。良く知っているな」「残念だが命は長くない」「サトリ!めったな事は言うなよ!」「まあまあ、落ち着けよ」「落ち着いていられるか!人の話ならともかく、サトリの口から出るものは真実。
チャーリー さん作 [285] -
ヤス#68
ヤス#68ヤスは2つの粒を取り上げると紙に包んでポケットにしまった。母の顔の前に自分の顔を近づけると、母の手を取った。「ああ…ヤス。もうあなたの顔を見られないのがつらいわ…」「見えなくても、分かるだろう?ほら、触って」純子はヤスの顔を確かめるように、長い時間触っていた。ヤスが添い寝をしてやると静かな寝息を立て始めた。ヤスは家を出た。小さな懐中電気を一つだけ持って、夜の山道を御床島に向かった。今夜
チャーリー さん作 [309] -
ヤス#67
ヤス#67親子二人で食べていくのもやっとの報酬だが、贅沢は言ってはいられなかった。遺体の無いまま葬式が挙げられ、初七日も終わった。幾らかの香典が集まったお蔭で、しばらくは食べていけそうだった。貧困には慣れている。母と二人だと言う事が、不思議とエネルギーになった。ヤスにとって気がかりな事は、母が日に日に衰弱していっている事だった。隣の島から医者に来て診てもらったが、原因が分からないと首を傾げるだけ
チャーリー さん作 [297] -
ヤス#66
ヤス#66【アイノツブテ】翌日は、昨夜の嵐が嘘のように晴れ渡った。水平線が鮮明に見える。島の人間は、嵐で壊された家屋の修理や、漁船の手入れで忙しかった。そんな中、島の大人達がてわけして賢三と森一を沿岸に沿って捜してくれたが効果はなかった。ヤスには、それは気休めにしか思えなかった。凄まじい嵐だった。遺体が見つかるはずがないと思った。母は床に臥したままで、全く目が見えなくなっていた。昨日の昼までは幸
チャーリー さん作 [305] -
ヤス#65
ヤス#65「母さん。まだ、爺ちゃんの船が戻らないんだ。男衆が岸から捜してくれているけど、この嵐だ…また出てくるけど、大丈夫?」「ええ。ヤス。私の事は心配いらないから…気をつけていきなさい」ヤスはキビスを返して出て行った。雨足は一向に弱まらない。純子は不安が現実になっていきような気がして怖くなった。罰が当たったのかもしれないと思った。シットの怒りを買ったのだろうか、とも思う。だが、ヤスを愛する気持
チャーリー さん作 [312] -
ヤス#64
ヤス#64目が見えない。純子は手探りで土間まで這っていった。居間に上がると、隅の方で小さくなって震えていた。何やら気配を感じた。純子はひるんだ。シットがやってきたのかもしれない。だが、それは直ぐに安堵に変わった。ハヤトだった。ハヤトが濡れた毛ですりよってきた。純子はハヤトを抱き寄せて、ヤスの無事を祈った。雨音がザーッという音から、ゴーッという音に変わった。遠くでサイレンが鳴っている。島の男達がけ
チャーリー さん作 [303]