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チャーリー さんの投稿された作品が186件見つかりました。
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ヤス#23
ヤス#23しかし、最初、サトリを見た時に、既に失禁したのを思い出した。そして、勇気を腹の中から絞り出した。裸足の指は岩を掴み、毅然として立っていた。龍が目の前に迫った。ヤスを眼下に見下ろし、見据えている。いつ、喰われても不思議でない状況だった。「龍よ!…俺を喰うのか!」「…………………」「何故、黙っている……喰うのか!」「小僧…何故島にいる。ここは俺の島だぞ」ヤスは何故自分が御床島に残っているか
チャーリー さん作 [282] -
ヤス#22
ヤス#22「ふおっ、ふお、ところで、龍はお前に気付いておる。さて、どうする?」「に、逃げられないのか?」ああ、無理だな。隠れても無駄じゃ」「俺は…あの龍に喰われるのか…?」「さあ、な…お前次第だ」ヤスは恐怖で、横にいる一見不気味なサトリすら頼りにしたくなった。「サトリ…助けてくれ」「何を言うか…それとも、お前はやはり、単なるハナタレか」サトリはヤスが最も嫌う言葉を口にした。「俺は…ハナタレではな
チャーリー さん作 [316] -
ヤス#23
ヤス#23しかし、最初、サトリを見た時に、既に失禁したのを思い出した。そして、勇気を腹の中から絞り出した。裸足の指は岩を掴み、毅然として立っていた。龍が目の前に迫った。ヤスを眼下に見下ろし、見据えている。いつ、喰われても不思議でない状況だった。「龍よ!…俺を喰うのか!」「…………………」「何故、黙っている……喰うのか!」「小僧…何故島にいる。ここは俺の島だぞ」ヤスは何故自分が御床島に残っているか
チャーリー さん作 [318] -
ヤス#22
ヤス#22「ふおっ、ふお、ところで、龍はお前に気付いておる。さて、どうする?」「に、逃げられないのか?」ああ、無理だな。隠れても無駄じゃ」「俺は…あの龍に喰われるのか…?」「さあ、な…お前次第だ」ヤスは恐怖で、横にいる一見不気味なサトリすら頼りにしたくなった。「サトリ…助けてくれ」「何を言うか…それとも、お前はやはり、単なるハナタレか」サトリはヤスが最も嫌う言葉を口にした。「俺は…ハナタレではな
チャーリー さん作 [312] -
ヤス#21
ヤス#21海峡の真ん中で岩が動いた。岩に見えたのだ。大きな岩が右から左にユラリと動いたように見えたのだ。「な、何?…何かが、動いたぞ!」ヤスは完全に固まった。見間違いかとも思った。だが、それは確信に変わった。龍だ!龍が動いている!岩だと思ったのは、龍の頭だったのだ。金色の目が光っている。そして、そこから右に、背中がコブのように三つ、海面から出たり入ったりしている。百メートルはあるだろう。月光の下
チャーリー さん作 [467] -
ヤス#20
ヤス#20「当たり前だ。申し訳ないと思っていたんだ」「ハナタレ」「何だ」「お前は良い漢になるな」「意味がわからん」「くおっ、くおっ…そうか、まあ良い。だが、今宵はしかとしてかかれよ。油断するでないぞ」「今宵?…油断?」「ああ、では、ワシは消える。また逢おう!」サトリは雑木林に消えて入った。ヤスは呆然としてその姿を見送った。夢を見ているのだろうか…。ヤスは「あっ!」と思った。サザエが黒コゲになって
チャーリー さん作 [488] -
ヤス#19
ヤス#19陽が真っ赤になって水平線に沈んでいった。また、背中で気配を感じた。すぐ後ろは雑木林になっている。その雑木林から、気配を感じたのだ。枝が折れるような音がしている。「ポキッ…ポキン」辺りは薄暗く、焚き火の周辺だけが炎の灯りでユラユラと揺れ動いていた。雑木林が、また鳴った。動物は棲んでいないと聞いている。ヤスは背筋が凍りそうになった。「ポキンッ」「だ、誰かいるのか?」「ポキ」「うわっ!」ヤス
チャーリー さん作 [343] -
ヤス#18
ヤス#18ヤスは腹を決めた。腹が座ると急に腹が減った。幸い獲物は食べ切れないくらい採った。それを焼いて食おうと思った。マッチはある。ビニールの袋に入れて持って来ていた。潮がどんどん押し寄せてくる。ヤスは満潮になった時の海面の位置を予測して火をおこした。慣れたものである。火は次第に大きな炎となった。ヤスは磯カギに一番大きなアワビを刺すと、その焚き火で焼いた。サザエも投げ入れる。しばらくすると、香ば
チャーリー さん作 [350] -
ヤス#17
ヤス#17割れていた海は濁流と化していた。その濁流幅が50メートルはある。とてもヤスに渡れる物ではなかった。「くそっ!おそかったか…」もう崎戸島には戻れない。次に潮が引まで半日はかかる。ヤスは孤立してしまった。島は目の前である。二百メートルも歩けば、自分の島に帰れるのだ。だか、ヤスには手も足も出なかった。水深はまだ1メートルくらいだろう。だが、流れが早過ぎる。流れに飲まれたら、間違いなく溺れるだ
チャーリー さん作 [363] -
ヤス#16
ヤス#16そろそろ帰る時間だという事は分かっている。そして、これで最後だと自分に言い聞かせて潜った時、イセエビを見つけた。ざっと見ただけでも十匹はいるだろう。心臓の鼓動が早くなった。水面に顔を出し、思い切り空気を吸い込むと再び潜った。ヤスは用心深くイセエビの潜む岩陰に近づくと、磯カギを叩きつけた。「ギィ!」とイセエビがないた。三度潜って、三匹のイセエビが採れた。残りは逃げてしまった。ヤスは大満足
チャーリー さん作 [356]