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チャーリー さんの投稿された作品が186件見つかりました。
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ヤス#6
ヤス#6裕福な友人が羨ましいとも、自分が惨めだとも思っていなかった。何故か?ヤスは子どものくせに「漁師」としての自覚がしっかりと身についていたのである。ヤスは物心ついた頃から漁に出ている。もちろん、父親と祖父について行くのだが、しっかり、その役目を果たしていた。小学校に上がってからも、毎朝、四時には海の上で「ろ」を漕いでいるのだ。その辺のハナタレとは違っていた。だか、いかんせん、若干六歳である。
チャーリー さん作 [506] -
ヤス#5
ヤス#5自分の誕生日くらい覚えていても良さそうなものだが、ヤスは無頓着だった。未だに誕生日ケーキなるものを見たことも無い。島民皆貧乏…では無い。島民の半数が、隣の島にある崎戸炭鉱の鉱夫で残りは漁業に従事している。炭鉱勤めは劇務だ。だか、その分給料も良いらしい。幼いヤスにはそう思えた。島には十一人の同級生だいるが、炭鉱夫を父親に持つ友人は洒落た靴も持っているし、着ている服にも穴は開いてなかった。田
チャーリー さん作 [489] -
ヤス#4
ヤス#4その霧のかなたへと立ち去る木船を金色の眼がじっと見つめていた。第2章[サトリ]昭和三八年八月。お盆の賑わいも過ぎ、崎戸島にもようやく静けさが戻ってきた。ヤスの住む崎戸島は、東シナ海に浮かぶ、島民三百程の小さな島だ。学校の地理の教科書程度の日本地図には、その所在すら載っていない。ヤスは残り少ない夏を謳歌すべく、猿股とランニング姿で釣りに出掛けた。釣り竿は乾燥した竹に焼きを入れたもので、エサ
チャーリー さん作 [569] -
ヤス#3
ヤス#3 「し…死んでいるのか?…捨て子か!?」「分からん…賢三さん…確かめろ」「爺さんが確かめてくれ」「ワシは嫌じゃ。こんな幼子…もし死んでいたら悲しくてやりきれん!賢三さん、頼む。その子が息をしているか…早く確かめてくれ」森一にそう言われ、賢三は這うように、恐る恐る木箱を覗き込んだ。船が揺れる為になかなか様子が分からない。「爺さん…この子」「生きているか…それとも…」「生きているぞ!微かに
チャーリー さん作 [537] -
ヤス
「ヤス」2…嵐「見かけない小船だな…どこから流れて来たんだろう…誰も乗っていないようだ」「賢三さんよ、あの船を曳いて帰ろうか」「そうだな。じゃあ、船を廻すぞ」「ほい来た」二人は足を踏ん張り、「ろ」を漕いだ。小船が近づいて来た。賢三は小船とぶつかる寸前で「ろ」を捻った。すると、船はスルスルと小船に横付けした。森一が七十を超えたとは思えない身軽さで小船に飛び乗った。手にはロープを持っている。「よし!
チャーリー さん作 [581] -
ヤス
「ヤス」1…嵐夏には珍しく鉛色の雲が水平線まで降りている。雲の上の遥かなた、稲妻が真横に走っていた。その光の残像はあたかも天空を翔ける龍の姿のようだった。黒く染まった海原は、大きくうねりながら海岸線へ巨大な生き物のように幾筋もの波となって突き進み、岩に当たって砕け散っている。飛び散ったしぶきは海岸から数十メートル先に生い茂るトベラの枝葉を洗っていた。漁師の賢三と義父の森一は、手漕船で刺し網を仕掛
チャーリー さん作 [797]