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チャーリー さんの投稿された作品が186件見つかりました。
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ヤス#103
ヤス#103涼を求めてカフェに入った。アイスコーヒーを頼むと、セブンスターに火を点けて深く吸い込んだ。運ばれてきたアイスコーヒーを啜っていると、後ろから声をかけられた。「やっちゃん!やっちゃんでしょう!」ヤスが振り返ると料亭・香月の娘、恭子が友人二人と向かいの席にいた。恭子が笑顔でヤスの下にやってきた。「ああ…お嬢さん、こんにちは」「お嬢さんは止してよ。一人なの?」「はい。もちろんです」「ふふっ
チャーリー さん作 [351] -
ヤス#102
ヤス#102ヤスはふと、ポケットの封筒の事を思いだした。ヤスは封筒を開けてみた。現金が十万円入っていた。そして、手紙が一枚添えてあった。「やっちゃん。お誕生日おめでとう。安いお給料では絵の具も買えないでしょう。これは、毎日頑張ってくれているお礼です。絵の具の足しにして下さい。大将も承知しているお金です。ご心配なく…弘子」ヤスは感激した。今日の誕生会と言い、この十万円と言う大金と言い、大将と女将に
チャーリー さん作 [268] -
ヤス#101
ヤス#101娘の恭子も専門学校に行ってはいるが、何とも…趣味なら分かるんだがなぁ…」「はい、お嬢さんが専門学校で絵を勉強されているのは、女将さんから聞きました」「ヤス。お前、この店にずっといたらどうだ?見込みもあるから、そのうち店くらい持たせてやるぞ」「あ、はい…ありがとうございます」「まあ、まあ。今日はやっちゃんのお誕生日なんだから、そのへんのお話はまた…ね」「わたし、やっちゃんが描いた絵を見
チャーリー さん作 [272] -
ヤス#100
ヤス#100ヤスは下駄を揃えると、居間に向かった。居間のドアをノックすると、ドアが開き、女将が笑顔で迎え入れてくれた。居間に入ると一斉にクラッカーが鳴った。「やっちゃん、お誕生日、おめでとう!今日で十九歳ね!」ヤスは自分の誕生日を忘れていた。見回せばば大将と女将の他に、娘の恭子と健さんが座っていた。恭子は今年で二十歳になると、女将から聞いていた。美術の専門学校に通っている。女将に似て、綺麗な顔立
チャーリー さん作 [291] -
ヤス#99
ヤス#99「女将、この若者は何者だね?板場につくには若過ぎるようだが…」「ほほっ…田中さん…とりあえず、お刺身でも注文してやってくださいよ」「ほう…造れるのかね。じゃあ、刺盛を頼むよ…えーと」「ヤスです。平井康生と言います。宜しくお願いいたします」ヤスはいんぎんに頭を下げると、見事な包丁さばきで刺盛を造りあげた。「お待ちどうさまです」「ハハハ。全然待っていないぞ。見事なものだな、平井君」「恐縮で
チャーリー さん作 [298] -
ヤス#98
ヤス#98「そういうことだ」「調理を教わったのは母からです」「本当にそうなのか?」「はい。健さんに嘘は言いません」健さんに嘘は言わない…と言われ、健は機嫌が良くなった。「そうか、そうか。大したものだよ。じゃあ、後は何が出来る?」「いえ…魚を捌くだけです」「そういうことか。納得したよ。じゃあ、今日から俺が仕込んでやる。有り難く思えよ」「はい!健さん。ご指導お願いします!」ヤスは魚料理ならある程度は
チャーリー さん作 [297] -
ヤス#97
ヤス#97ヤスは刺身包丁の腹を指の腹で確かめると、寸分の狂いもなく見事に切り分け、皿に盛った。「出来ました」「はっはっは!ヤス。何故、魚が扱える事を言わなかったんだ」「そうよ。やっちゃん。見事な包丁さばきよ」「確かに…ヤス。参ったよ」「いえ…聞かれなかったもので…それに、皿洗いから始まるものだと聞いていましたから、余計な事かと…」「健。今日からヤスを板場に入れるぞ。文句は無いな」「ヘイ。有りませ
チャーリー さん作 [268] -
ヤス#96
ヤス#96特にチーフの健さんには手厳しい指導を受けていた。ジャガイモの皮を剥いていたら、大将と女将が顔を覗かせた。「おはようございます!大将、女将さん!」「頑張っているな、ヤス」「はい!」「あなた、やっちゃんに何時まで皿洗いをさせておくつもりなの?」「ハハハ。当分は皿洗いと野菜の皮むきくらいしか出来ないだろう。なあ、ヤス」「はい!でも、魚を捌くくらいなら…」「えっ?やっちゃん、魚を扱えるの?」「
チャーリー さん作 [283] -
ヤス#95
ヤス#95【板前修行】「おい!ヤス、ボヤッとしないで、早くジャガイモの為替を剥いてしまえ!」「はいっ!健さん!」木村健二。料亭・香月のチーフだ。見習いの板前が、ヤスを含めて七人いる。健さんはその板前達をまとめていた。調理服を着ているから堅気に見えるが、街で私服姿の健さんと会うと、ヤクザと見紛う程の風体をしている。怖い存在だった。三八歳と聞いている。ヤスが店に入ってから5ヶ月が過ぎようとしていた。
チャーリー さん作 [335] -
ヤス#94
ヤス#94「アイノツブテさ…母さんが流した涙から出てきたんだ。「そう…そうだったの…純粋さんも特別だったのね…」「おばさん、これ、一つ持ってて…御守りだ」「そんな大切なもの…預かれないわ」「いや…僕の心がそう言ってる…いつも身に着けておくんだよ。これがおばさんを守ってくれるからね。このまま、平和な日が続けばいいのだけど…」「わ、分かったわ…肌身はなさず持ってるわ…やっちゃん、私はどうすれば?」「
チャーリー さん作 [285]