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朝顔 さんの投稿された作品が42件見つかりました。
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ティシュと商人の街?
それというのも島の自然を守る為だった。この島に季節は夏しかない。年中暑い日差しと青々とした木々が生い茂り、その草花のほとんどがこの島でしかとれない貴重な資源だ。その為、島の約3分の2は保護区域になっている。土地を売ってしまうと後々権利者の間でもめ事が起こるのを予測してこの規律が生まれた。「そんなぁ……」うなだれるティシュを哀れに思うも、どうしてやる事も出来ず黙り込んだ。商いをするには市長の許可が
朝顔 さん作 [345] -
ティシュと商人の街?
予想外の金額にブランディはスコットを再度睨んだ。「お前そんな金どこへやった」「使った」「俺の全財産だぞ!」立ち上がりスコットに殴りかかろうとするティシュをヴェルダは必死に押さえた。「止めておけって。まぁ気持ちはわからなくもないが、お前どっからそんな金手に入れたんだよ?」仕方なく腰を下ろし俯くティシュ。「働いた……」「働いた?よくため込んだもんだ」「早朝に新聞配達、その後牧場の手伝い……昼は工場で
朝顔 さん作 [321] -
ティシュと商人の街?
洒落た丸いテーブルを囲み座った四人。ぶすくれた顔のティシュとスコットの顔は赤く腫れている。事情をヴェルダから聞き、ウェイターの青年はずっとスコットを睨んでいた。「いい加減にしろ、スコット。盗んだ物を早く出すんだ」ティシュと顔を合わせないよう横向きに座っていたスコット。両手を頭の後ろで組み違う方向を見ている。全く反省のない態度に青年は溜息をついた。「本当に申し訳ない。お金はきちんと払うから」「兄さ
朝顔 さん作 [335] -
ティシュと商人の街?
歩いている間に日は暮れ、空は雲の切れ間から紅い光が漏れている。家には明かりが灯り、店の看板には文字が浮かんでいた。「ここだ」ヴェルダが足を止めたのは小さな喫茶店の前。入り口上部にはcoffeeと書かれている。勢いよく扉を開けたヴェルダの後を追い中に入ると、左側にあるカウンターにいた青年が笑顔で出迎えた。「いらっしゃい」黒髪に長身。整った顔つきの割に嫌みを感じない。「いつものですか?」持っていた布
朝顔 さん作 [351] -
ティシュと商人の街?
ヴェルダは顎に手をつけ少しばかり考えると、一人頷きティシュに立つよう促した。「まずいですよ、勝手にそんな事したらまた何言われるか……」「いいからいいから。俺がうまく誤魔化しとく」警備員の肩を叩きティシュを連れ部屋を出たヴェルダ。専用通路を歩いているとすれ違う兵隊が敬礼をした。返すヴェルダにつられティシュも手を額に当てる。出たのは街の端、すぐそこには煌めく海が見えた。生い茂る木々の間にある細い道を
朝顔 さん作 [338] -
ティシュと商人の街?
一歩も引く気のない目に警備員は溜息をつき、懐から財布を出そうとした。「駄目ですよ」入り口の兵隊に言われ懐から手を出した警備員。「まったく、子供には優しいんだから」咳払いをし誤魔化した。解っていてもつい悪い癖が出るのを再認識させられたようだ。とは言えこのままにしておくわけにはいかない。強制的に帰したい所だが場所もわからない。けれど牢に入れるのも気が引けた。警備員を救うかのように勢いよくドアが開いた
朝顔 さん作 [353] -
ティシュと商人の街?
小窓からうっすら日が入り込む個室に入れられたティシュ。今は事務用の机を挟み、パイプイスに腰かけ警備の人間と向かい合っている。一見簡単な作りの建物だが、逃走防止の為入り口は鉄で出来た頑丈なドアになっていた。その横には見張りの兵隊が一人。腰には警棒をさしている。かれこれ一時間あまり対面しているティシュと警備員。盗まれたと主張しても街には入れられないの一点張りで、どうする事も出来ず机につっぷしていた。
朝顔 さん作 [366] -
ティシュと商人の街?
老人を見送った後列に並んだティシュ。ゲートには豪勢に飾られたプレートにラバンティアと書かれていた。前の人も後ろの人も防具服やスーツを身に纏い、この街にそれぞれ違う物を求めて来たのだという事が判った。なかなか列は縮まらない。けれどティシュにとってそれは苦にならず、あのゲートを過ぎた街の風景を勝手に想像しほくそ笑んだ。徐々に近づくにつれゲートで何やら門兵が旅人に話しかけているのが見えた。旅の目的でも
朝顔 さん作 [369] -
ティシュと商人の街?
ティシュの体は震えていた。不安からじゃない。手に汗が湧き出るような興奮。目の前にあるのはずっと憧れ追い続けた街がある。「おっちゃん……スピード上げてくれ」「……無理だ」「は、早く!早くしてくれよ!すげー!あれがラバンティアかぁ……」嬉しさのあまり立ち上がり暴れるティシュのせいで、老人の服は既に海水が浸透してしまっていた。「止めろっていうのがわかんねーのか。ここで降ろすぞ!」「はい……ごめんなさい
朝顔 さん作 [384] -
ティシュと商人の街?
晴れ渡る青空の下、エメラルドに染まる海の上に小舟が一つ。向かう先は商人の街・ラバンティア。各国から偉大な戦士や科学者が集う、世界最大の商いの島だ。今日も一人、ラバンティアに憧れを抱き島を目指す少年がいた。彼の名前はティシュ。夢はラバンティアで店を出す事。若干12歳にして彼が求めたものは壮大で、期待と不安に胸が躍らされていた。「それでさ、そのおばちゃん酷いんだぜ。俺には絶対無理だ、すぐに泣いて帰っ
朝顔 さん作 [442]