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輪廻 さんの投稿された作品が31件見つかりました。

 
  • 海の見える車窓・settled 11

    嘉代は言いたいことや自分の思いに圧し潰された。うつ伏せたまま言ってしまったが、幸一はちゃんと聞き取れたらしく、「おやすみ。」と寂しそうに言い残して戻っていった。嘉代の頭の中で幸一の声が自動的に再生され、流れ続ける。「嘉代……だよ。」―私だって…だけどキミが引っ越すから、諦めて……。いろんな人好きになろうと努力したけど…、ダメで。それなのに……それなのにいまさら、今になって……―\r「嘉代……だよ
    輪廻 さん作 [113]
  • 海の見える車窓・settled 10

    「…………うん。好きな人がいる。」嘉代は胸の奥が締め付けられる痛みに襲われた。なぜか体中冷や汗が流れている。「へぇ……ここの人?」「ううん。」嘉代は目を海の方に向けたまま考えた。ここにくる前に知り合った人の中に幸一の好きな人がいる。嘉代は無意識のうちに考えを巡らせていた。―この町に住んでた人じゃないなら限られてくる。一緒に遊んだリサちゃんとか、チエちゃんともよく遊んだ…。あとは―\r不意に優しい
    輪廻 さん作 [105]
  • 海の見える車窓・settled 09

    「家事を手伝ってくれれば家賃も何も要らないよ。」恐らく嘉代と嘉代の父親との関係を分かっていたから言ってくれたのだろう。嘉代は言い尽くせないほど礼を言い、直ぐに父親に仕送りを止めるよう手紙を送った。「もう返事も来ない。でもすっきりした。」ある夜、幸一の部屋でふたりでいた時、父親の話になった。嘉代が何より嬉しかったのは、幸一の家族が実の娘のように自分に接してくれることだった。幸一の父親はとくに優しか
    輪廻 さん作 [116]
  • 海の見える車窓・settled 08

    嘉代は一応の保護者である父親に手紙を書くと、「幸一くんの御家族にくれぐれも迷惑をかけないように」と書かれたメモ程度の返事が、仕送りに同封され送られてきた。嘉代は詳しくは知らされていなくとも分かっていたことがあった。父親は既に再婚し、子供もいること。どこかの会社でとてもやり手であり、金銭的に充分過ぎるほど余裕があること。母の危篤の報せにも電話一本でしか反応しなかったこと。―そして結局、最期の最期ま
    輪廻 さん作 [108]
  • 海の見える車窓・settled 07

    「実代ちゃんとは中学の頃から親友だったんだよ。嘉代ちゃんみてると実代ちゃんを思い出しちゃってね…。」嘉代ははっとした。幸一の母親も、嘉代の母親が無くなったことにショックを受けていることに気づかされた。「ダメです…。そんな事。」「そうかい?……幸一も、嘉代ちゃんが住んでくれれば喜ぶと思うんだけど…」―こーちゃんが…?こーちゃんが喜んでくれる?―\r「小学校の頃からあの子、嘉代ちゃんにベッタリだから
    輪廻 さん作 [131]
  • 海の見える車窓・settled 06

    数時間眠ったのは、日の傾き方で分かった。もうすぐ海に日が落ちようかという頃合いだった。「どうしよ…いくらこーちゃんの家とはいっても…。」嘉代は何故だかゆっくりと部屋のドアを開けた。ちょうど階段下にいた、幸一の母親に気づかれた。今更、眠ってしまったのを隠して帰る意味も無いと観念し、階下に下り、幸一の母親に謝った。嘉代は謝りながらも幸一の母親とは仲が良かったので、再会できて嬉しい気持ちになった。「そ
    輪廻 さん作 [131]
  • 海の見える車窓・settled 05

    「あー、あのホラ…私のアパートからも見れるかなぁ。こんな景色。」嘉代の言葉でふたりは目線を逸らした。幸一は「麦茶」をとってくると言い、部屋を出て行った。幸一の部屋には小学校の卒業式の日に撮った、嘉代と幸一のふたりの写真があった。嘉代は大泣きしたまま写真に写っており、幸一は笑いながら嘉代を撫でている。それを見て嘉代はひとりで顔を赤らめてしまった。麦茶を飲みながら、幸一が引っ越した経緯や、嘉代が引っ
    輪廻 さん作 [119]
  • 海の見える車窓・settled 04

    嘉代は自分の中の幸一とのギャップに戸惑っていた。「引っ越す理由も詳しく言わず終いだったからなーあの時は。」嘉代は幸一一家の引っ越しを聞かされ大泣きした自分を思い出した。「大泣きしたよな、嘉代ちゃん。」今になって恥ずかしさがこみ上げてきた。「急に引っ越すとか言うから。…?私たちどこに向かってるの?」幸一は笑いながら答えた。「そっか、言ってなかったな。とりあえずお袋たちに会わせたいから、ウチに来なよ
    輪廻 さん作 [165]
  • 海の見える車窓・settled 03

    男の笑い声がした。嘉代が顔を上げると、茶髪の男声が振り返って笑っていた。少し日に焼けた肌をしている。「相変わらずトロイなぁ、嘉代ちゃんは。」成長した幼なじみの幸一(コウイチ)だった。小学校の頃、幸一の家族の都合で田舎町に引っ越したきり、ろくに連絡をとれずにいた。「こ、こーちゃん!?」幸一は笑いながら嘉代の倒れた荷物を立て直した。その笑顔には幼なじみの面影が確かにあった。「なんでこーちゃんが!?」
    輪廻 さん作 [125]
  • 海の見える車窓・settled 02

    嘉代は両手で荷物を持ち上げ、汽車とホームの段差を超えようとした。が、巧くバランスがとれない。足下に目をやりながらゆっくり片方ずつ下ろそうとしていると、不意に手の重量感が無くなった。誰かが荷物を引き取ってくれたのだった。礼を言おうと頭を上げようとすると、大きな麦わら帽子を上から被せられた。「嘉代ちゃんだろ。今日は特に暑い日だから被っといた方が良い。」とても親しい間柄のように話しかけてくる男声に、微
    輪廻 さん作 [131]
 

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