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戒音 さんの投稿された作品が21件見つかりました。
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My Dust Memory 4
一閃と同時に、化け物の胴体が切り離される。その先にいるのは、青銀の髪を振り乱した花音。彼の表情は険しい。背後で貪っていた化け物に剣を突き立て、頭上を仰ぎ見る。恍惚の瞳で校舎の屋上から見下す真紅の双眸。「戒音」もう知っている彼女でなくなってしまった。最も濃い始祖の血を口にした純血種がどうなるか、花音には痛い程わかっていた。「また過ちを繰り返すのか、戒音」戒音は覚えていない。あの箱庭の楽園のような、
戒音 さん作 [422] -
My Dust Memory 3
無惨にも埋められた鋭い牙に、戒音の鼓動が躍動する。「月が・・」戒音の視界が、真紅に染まってゆく。力なく垂れ下がった腕。赤と黒が交わってゆく。戒音の瞳が、真紅に染まる。その口元から、牙が覗く。人であった思考が失われてゆく。垂れ下がった腕が、闇色の髪に埋められる。凄い力で髪を引かれ、喉をのけ反らせたクレイの唇に笑みが浮かぶ。その喉元に、鋭い牙が喰らいつく。頭上の月が真紅に染まっていく光景を、冷めた瞳
戒音 さん作 [384] -
My Dust Memory 2
「神輿の件で、文化祭延期だなんて信じられない」口々に女子がぼやくのも無理は無い。戒音はあの騒動で駄目になった書類の後始末に自習の時間を費やす羽目になり、深い溜め息を漏らす。何故、神輿が崩れたのか原因はわからない。「失礼しました」臨時職員室から出た戒音は、もう夕暮れを過ぎて暗くなった校舎に取り残され、慌ててクラスへ戻る為に階段を駆け上がった。もう随分外は薄暗い。帰る頃には真っ暗だなと覚悟してクラス
戒音 さん作 [368] -
My Dust Memory 1
「瀬条花音、17歳か。彼にしては大胆な行動に出たものだね」投げ渡された書類の写真を一瞥して、男は口の端を吊り上げる。「これが伝説の闘神か」校門を潜ると、文化祭が目前に迫った生徒達がメインの神輿の骨組みを作っている。今日は委員会や部活の打ち合わせが予定されている戒音は、慌ただしく校舎の方に駆け込んだ。校舎に入るなり、黄色い悲鳴が飛び交う女子に遭遇した戒音は、眉をひそめた。最近、二学年に転入して来た
戒音 さん作 [416] -
麗しの茨姫(NOAH)4
「木月海斗、十七歳。ほぉ。なかなか現実の彼も魅力的だ」書類に目を通した出雲は、フレーム無しの眼鏡を机の上に置いた。「先輩知らないんですか?如月海斗って名前で彼、一番人気のモデルですよ!それにしても、大財閥の木月家の跡取りが、余裕ですねぇ。先週はあの一件もありますし」「饒舌ですねぇ。木下君。でも饒舌が命取りになる場合も、ありますよ」先週からNOAHコーポレーション本部は騒がしい。「よりにもよって、
戒音 さん作 [357] -
麗しの茨姫(NOAH)3
華奢な身体に纏うのは甲冑ではなく、白いレースのドレス。白い肌と同化しそうな程美しい銀色の髪。とっさに受け止めた海斗は、次の瞬間、その目を奪われた。見開かれたエメラルドの双眸に。初めて見た瞬間、紅蓮の魔剣士だと思ったのも無理は無い。しかし彼女の気丈さも瞳の色も、よく見れば顔の造りも似ていた。「海斗」甘い声が海斗の名を呼ぶ。「どうして俺の名前を知っているんだ」海斗は冷静だ。もっともな質問だった。「貴
戒音 さん作 [320] -
麗しの茨姫(NOAH)2
「被験者か」装備ですぐにわかった。最初の六人の実験体の一人、ジュダ。「レベル1にしては、ちょっと詳し過ぎないかな?」殺気を放つジュダに、僕は笑みを浮かべた。「大人しくしているつもりだったけど、まぁいいや」足元に紅い魔法陣が浮かぶと、僕の設定が大幅に変更されてゆく。見る間に変貌した魔剣士の、それもオリジナルの姿に。「何物だ、お前!」「箱舟に招かざる者。デュオ」名前を聞いた途端、相手は恐怖にその顔を
戒音 さん作 [376] -
DEEP☆RED 4
「何故、この地にカルディア女王自らがいるのだ」大国フィーリアの国王としての問い掛けに、カルディア王国女王の立場であるアルファリアは、毅然として立ち上がった。「意図的にこの場所にいたのではありません。フィーリア国王陛下」服に付いた若草を手で払いのけて、アルファリアは一礼する。「我が守護者、フォルネウスが、私をこの地に招いたのです」選定者。神に選ばれし地上代行者。守護者とは、その選定者と魂を共有せし
戒音 さん作 [332] -
覇王◆華伝 0
それは、歴史に残る大戦であった。反創造主派の精鋭が揃って、神の都に奇襲を掛けたのだ。都は紅蓮の炎に焼かれ、その煙りが夜空の星々を覆い隠した。やがて「聖戦」と語り継がれるこの大戦の幕開けは、悲惨なものだった。彼が目覚めたが故に。「お前達に俺の衝動が止められるかッ!」返答は無意味だった。次から次へと敵を殺しては、返り血を浴びてゆく。真っ赤に染まる夜空を見上げて内震えた。血だ。鮮烈で甘美で濃厚な、この
加藤聖子 さん作 [355] -
霊能者は語る
私が能力に覚醒したのは、幼少期ではない。中学二年の頃、突然開花したのだ。初めは声が聞こえたり、髪をひっばられる程度だったが、高校一年の夏、木更○の花火大会に行った時、三つの人魂を見た。その帰りに、自衛隊の駐屯地の通りを車の助手席に乗っていた時だ。逆さまの巨大な胎児がサイドガラスに映り、私は寒気と激しい頭痛に襲われた。八月の花火大会が終わって、あの出来事を忘れ掛けていた九月十五日。私は初めて金縛り
戒音 さん作 [401]