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トリップ.Bank さんの投稿された作品が29件見つかりました。
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一角聖獣8
目を覚ますと僕はベッドで寝ていた。一体どのくらい寝ていたのだろう。僕は枕に置いた頭を動かし、何処にいるのか確認しようとした。僕がいたのは、殺風景な板張りの部屋で窓際に置かれたベッド以外に何も無かった。 僕は体を起こして、窓を開けた。心地好い冷たい風が僕の顔に当たる。そして、窓の向かいを見つめると、淡いブルーの山々が地平線を歪めるように集まっていた。そこに浮かぶ雲は手に届きそうなくらい低く飛んで
トリップ.Bank さん作 [376] -
一角聖獣7
僕の背筋に寒気がし、汗が流れる。 そうだ、こいつは殺人鬼なんだ。前に女の子を殺しているんだ! 怯える僕を無視して、タナーは馬小屋の戸を開けた。「さぁ、中に入るんだ。さっき説明した仕事の他にコイツの世話もしてもらう」 僕は開けられた馬小屋の中を覗き込んだ。中に何がいるのだろう。テストとは何なのか。 答えは目の前にあった。「これって…一角聖獣」 僕の眼前には、白いたてがみ・白い尾・黒曜石のような瞳
トリップ.Bank さん作 [390] -
ノーカーレッジ
俺には勇気がない。 カチカチカチカチ… 仲間が助けを呼んでいるのに、助けてやれない。 ただプライドが傷付き、後悔と屈辱が俺の心に溜まる。 やるせない気持ちをぶつける相手もなく、八つ当たりもこの歳じゃ出来ない。 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ… 俺の手元で携帯を打つ音がする。 詩 ノーカーレッジ俺はいつも勇気があると見栄張って友の危機には気付かないそんな奴に勇気があるだろうか後から気付
ビスタ さん作 [316] -
一角聖獣6
「お前にやってもらう仕事はこれだけだ。一つでも失敗してみろ。飯を抜くからな」 これだけと言われても、仕事の量は丸一日使ってしまう程多い。それに一人じゃ厳しい程の量だ。これなら孤児院の方がまだマシだ。配給のためだが、協力して仕事を越していた。「はい…え、と」 バフとは言えない。「あぁ…名前教えてなかったな。タナーだ。エデン・タナー。わかったな?」 エデン・タナー、<殺人鬼バフ>の本名だ。「…は、は
トリップ.Bank さん作 [368] -
一角聖獣5
僕が荷馬車から降りたのは、あれから一時間後の事だった。着いたのは、雲がより一層近い高原の丘で、家がいくつもあった。「牧場で働かされたことはあるか?」「え?牧場?」 僕の腰は抜けてしまった。もっと危ない所かと思っていたが、思った以上に安心出来て心地好い場所だ。「…無いか。なら、仕事を覚えてもらうしか無いな。まずは家に入れ」 何が殺人鬼だ。ただの放牧業者じゃないか。今思い返せば、孤児院の子達にから
トリップ.Bank さん作 [385] -
一角聖獣4
孤児院を出ると、そこには荷馬車が停まっていた。立派な馬ではなかったが、手入れのされた良い馬だった。後ろの荷台には、空っぽの木箱が積み上げられていた。 何の仕事をしているのか聞きたかったが、孤児院での噂を思い出し、聞きたくなくなった。 僕はこれから殺されてしまうんだ。何しているかなんて関係無い話だ。「名前は?」 不意にバフが尋ねてきたので、僕は震える声で答えた。「…ヨークだよ。ただのヨークだ」「
トリップ.Bank さん作 [402] -
一角聖獣3
鋭く冷たい蛇の眼がじっと蛙達を見つめていた。 その時、僕と蛇は目が合った。 あぁ…なんで何だろう。イエス様、僕を助けて下さい。「あいつを貰おう」 時が止まった。 バフの声だけが孤児院に響いた。 みんなの息を飲む音する。視線が僕に集まる。 誰もが静まる空気を破ったのは、教区吏だった。「さぁ、ヨーク。引き取り先が決まった。よかったな」 教区吏の言葉が信じられなかった。悪魔に見入られた気分だった。
トリップ.Bank さん作 [387] -
一角聖獣2
<殺人鬼バフ>は教区吏と話し合っていた。言い争っているようにも見えたが、教区吏の悪魔のような笑みとバフの冷めたような笑みは、何やら和解したようだった。 僕が作業の手を止めて、その光景に見入っていると、指導係で僕の面倒を見てくれるベルマンが頭を小突いてきた。「君のせいで配給の量が少なくなるなんて嫌だからな」 指導係だからなのか、本音なのかは知らないが、ベルマンは体を震わせていた。しかし、怒りから
トリップ.Bank さん作 [414] -
一角聖獣
赤ん坊の頃、両親に捨てられた僕は孤児院で長時間労働を強いられ続けられた。それに教区吏が僕を赤ん坊の頃から去年まで雑用として使っていたせいで、孤児の子達とは上手く関係を作れず、いじめられる。 そんなある日、孤児院の子達から<殺人鬼バフ>と呼ばれる年配の男がやってきた。 話によると、バフという名は孤児院の子達が勝手に付けた名で、本当の名前は誰も知らないらしい。殺人鬼というのは、バフに買い取られた少
トリップ.Bank さん作 [546]