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岬 登夜 さんの投稿された作品が54件見つかりました。
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夜に咲く華〜その30〜
紅の叫びが響く。紅はあやめの血で染まったまま健吾に近づく。その頃には憲兵に取り押さえられていた。紅は何かの時にと忍ばせていた懐刀に手をかける。それを見た連二郎は紅の前に立ち静止する。「行かせて。あやめ姉さんの仇討ちにいかせて」連二郎は紅をぎゅっと抱きしめた。「今、お前があいつを刺した所であやめは還ってこない。今、お前があいつを刺したら紅華楼はどうする?あやめの頼所だった紅華楼の明かりを点すのがお
岬 登夜 さん作 [252] -
夜に咲く華〜その29〜
帰り際、親分は言いにくそうに話した。「実は嬢ちゃんの元旦那なんだが、あれから探しているんだが全く姿が見えなくてな。短銃なんて物騒な物持っているから気をつけてな。うちの方でも探して見るが吉原から出ていってりゃあいいんだが」紅は一抹の不安をおぼえた。どこからか健吾が現れ連二郎を再び襲ったらどうしようと。「なに、それだけ探していないとすればとっくに吉原の外でしょう。中にいたって心配いらないよ、俺が守っ
岬 登夜 さん作 [245] -
夜に咲く華〜その28〜
1番奥の部屋、布団の上に連二郎は上半身を起こしていた。「起きてて大丈夫なの?」「まぁ、丈夫なのが取り柄だからな。傷は痛むが上手く着いたようだ。医者も驚いていたよ」連二郎は手招きして紅を側に呼んだ。紅は連二郎の隣に寄り添う様に座る。「あの…ね。健吾とは離縁したの」紅は健吾の署名入りの書類を見せた。「あー、抱きてぇ。怪我さえしてなかったら今すぐ抱くんだけどよ」連二郎は紅の肩を抱き、ぐっと自分に抱き寄
岬 登夜 さん作 [240] -
夜に咲く華〜その27〜
男達はせせら笑う。「うちの店?ここはお前さんの店でなく、今からうちの組のもんだ」「権利書だってある。ここは私の店だ」男達はそれを聞いてゲラゲラ笑う。一人の男が健吾に紙束を投げ付ける。「お前の借金の形に取られたんだよ」健吾は束の借用証を広げる。「紅が…、紅が何とかしたって話だったのに…?」「何ともなっちゃいない。少しづつ返済していたんだがもう無理だと昼間来ていったのでうちで引き取る事にしたんだ。さ
岬 登夜 さん作 [313] -
夜に咲く華〜その26〜
昼近くになり健吾は帰って来た。かなり疲れたのか帰るなり眠ってしまった。紅はその隙にとある場所に出向いた。健吾は夕方まで眠っていた。その頃には紅も戻っており普段通り過ごしていた。「お話があるの」紅の言葉に健吾は余裕の顔で「なんだい?」と答えた。「私と離縁してください」一枚の紙を取り出して申し出た紅を健吾は笑う。「いいよ。僕と別れて連二郎君と一緒になるつもりかい?ただしここは渡さないよ。身一つで出て
岬 登夜 さん作 [278] -
夜に咲く華〜その25〜
紅の顔はひきつる。この男は全て判っていたんだ。判って騙されたふりをして心の中で笑っていたのだ。「もう、この身体に彼は触れたのかい?」健吾の手が乱れた襦袢の胸元に入り込む。冷たい健吾の手は襦袢の胸元を大きく広げ紅の形の良い二つの乳房が剥き出しになる。「そういえば今日、おもしろい話を耳にしたよ。なんでもどぶ板の女郎が血まみれの包丁持っているのが見つかったらしい。その女郎ってのが鶴…お義母さんだって」
岬 登夜 さん作 [345] -
夜に咲く華〜その24〜
「私はこれくらいなんともありません。それより紅お嬢さん、お嬢さんこそ…。せっかく連二郎さんと…」紅は辺りを見回した。健吾の姿は無い。「け…旦那様はお出かけになりました。夜には帰るそうです。お嬢さん、連二郎さんに今のうち会ってらしたほうが…」妙の言葉に紅は頷く。幸い医者も健吾のいないうちに往診に来てくれ紅は安堵した。が、依然連二郎の意識は戻らず危険な状態にかわりなかった。「紅ちゃん、面倒は私が看て
岬 登夜 さん作 [252] -
夜に咲く華〜その23〜
健吾はすっかり変わっていた。人の良いお坊ちゃんから暴力的で狡猾な男に。「紅、すまなかったね。僕の留守中淋しい想いをさせて。これから大丈夫。悪い虫はみんな僕が退治するから」優しく紅の頭を撫でる。が紅は嫌悪した。「ねえ、鶴はどうしたの?」紅の問いに健吾は「あぁ、お義母さんかい?今頃沢山の男達と楽しくやっているよ」と冷たく微笑んだ。「ところで、離れには誰がいるんだい? 明かりがずっと点いていたけど?」
岬 登夜 さん作 [293] -
夜に咲く華〜その22〜
傷の確認に着物を開くと辺りは紅く染まった。「どうして…」医者が駆け付けみんなを部屋の外にだし傷の手当をする。連二郎の呻き声が襖越しに紅の耳に入る。「誰がいったい…」鶴と健吾の顔が浮かぶが連二郎が刺される理由がない。物取りか? いや、連二郎ほど強い男がこうも簡単に刺されるわけがない。ともかく助かって欲しい、紅は願った。かなりの時間医者は出てこなかった。襖が開いたとき紅は真っ先に医者に詰め寄った。「
岬 登夜 さん作 [280] -
夜に咲く華〜その21〜
ヤスから二人の住んでる場所を聞いて連二郎は小屋をでた。二人の住んでる場所はどぶ板通りのさらに奥にあった。「ここか…」小屋の前に立つと気配を感じたのか中から女の声がする。「開いてるよ」連二郎が小屋の中をのぞくと地べたにムシロをひいた粗末な中に女が一人裸同然で横たわっていた。「あんた、いい男だね。こんなところに女買いに来なくてもよってくるだろう」鶴は少し身体を起こして髪を整える仕草をする。「まあ、い
岬 登夜 さん作 [263]