トップページ >> あこ さんの一覧
あこ さんの投稿された作品が35件見つかりました。
-
サンタの手袋?
僕はその差し出されたビール瓶を力無く受け取った。半分程残ったその黄色い、炭酸水を一気に飲み干す。ユイコは満足そうな笑みを浮かべている。僕は喉が渇いていたのだ。からからに。慣れない大声を出したからか?それともこの状態に対する緊張が、僕を渇かせていたのか。挑発的な目で見つめるユイコを無視して、冷蔵庫からウィスキーの小瓶を出して、そのまま口をつける。酔ってしまいたかった。酔って、眠って、目が覚めたら少
あこ さん作 [221] -
サンタの手袋?
「私、ユイコ。こんな格好してるけど、女子高生じゃないよ。あ、そんなの分かるってか。」ユイコと名乗った女はセーラー服のリボンを外して手で弄びながら言った。「こんなん、何処がいいんだか、分からないけど。みーんな喜ぶんだ。ナースだとかスッチーだとか?結局男は変態で、スケベで足が出てりゃあ何でもいいのかな。何だろう、禁断な感じ?がいいのか?私にはよく分からないよ。サンタさんは分かる?」ユイコはぺらぺらと
あこ さん作 [289] -
サンタの手袋?
「ショックだなぁ〜あんなに意気投合したのに。ま、よくあることだよね。気にしないで。」僕は出まかせに言った。「ガムテープ……そういうのが好きなの?お兄さん。」「あ〜………うん?」僕は半ば自棄になりながら答える。女は暫く何かを考えているようで、斜め上の方を見つめていた。「じゃあ、仕切り直しね。」そう言って、上目使いで僕を見つめた。そして目深に被ったウィンドブレーカーを脱がせようと手を伸ばす。咄嗟に女
あこ さん作 [240] -
サンタの手袋?
僕は女にマスクをつけ、トランクから降ろし、眼を覚まさせないように抱えるようにして部屋まで運んだ。幸い、女は起きる気配がない。女を部屋の中央に存在を主張するかのように置かれたベッドに乱暴に寝かせた。軽い寝返りを打つだけで、やはり幸せそうに眠ったままだ。女の髪や服から、香水と煙草の匂いが混ざったような、よくわからない匂いがした。とりあえずガムテープを剥がそう、そう思い、女の口元に手を伸ばした時だった
あこ さん作 [227] -
がくさい 第三場 〜遠藤ユミコの話〜
私は強い者が弱い者を馬鹿にするのが耐えられない。所詮、人間なんて大差ないのに、必死に自分より劣った人を見つけて、自分の劣ったところを隠して。安心する。そんな構図は汚い。でも、馬鹿にされてる人間も嫌い。相手に隙を与えてしまってるんだ。だから私はこういう時、苛々してしまう。クラスの強がってる奴らにも、弱者を受け入れてしまう奴にも。瀬戸ちゃんは私のそういう性格を知ってるから、素早く後藤くんのフォローに
あこ さん作 [166] -
がくさい 第二場 〜遠藤ユミコの話〜
教室に戻ると瀬戸ちゃんが駆け寄ってきた。「本、返して貰えた?」「あ、忘れてた。」純粋に忘れていた。先生に言いたいことを言って、満足しきってしまっていたから。「え〜何しにいったの。」瀬戸ちゃんは小さな口で笑った。「ないしょ。」私はわざとぼかすような言い方をした。まさか瀬戸ちゃんに言える筈のない気持ちを隠すために。他の人にどう思われようが構いっこないが、彼女にだけは、知られたくない。「え〜〜」と言っ
あこ さん作 [184] -
サンタの手袋 ?
僕は当てもなく車を走らせた。人のいない方を目指しながら。気付くと車は海沿いの道に出ていた。煙草の煙りを逃がす為に開け放たれた窓から、潮の香りが鼻をつく。コンビニの横のパーキングを横目に見ながら、海に直接繋がる道を探した。残念ながらそんなものはなく、黒く、淀んだ海を目の前にしながら、仕方なくその場を去った。結局車は、高速沿いにあるラブホテルでとめざるをえなかった。駐車場から部屋に直でいけるところ。
あこ さん作 [325] -
サンタの手袋 ?
煙草を吸うのに、手袋が邪魔で、外した。白い、なんの変哲もない手袋。これをみて…サンタなのか?いや、こんな手袋してるやつなら大勢いる。確かに僕はニットキャップを被り、その上からさらにウィンドブレーカーのフードを被り、白い…袋をもっていた。白い袋………まさか、見られたのか…僕は当てもなく車を走らせながら、先程の取引のことを考える。
あこ さん作 [183] -
サンタの手袋 ?
僕は女に拳銃を突き付けたまま、左手で女の肩を掴む。「願いごと…聞いてくれないのかぁ〜。それとも、焦らしてる?」女の息が熱い。この女、酔ってるのか?女の息は熱く、アルコールの臭いがした。「バカヤロー!!!」女はいきなり叫んだ。酔っ払い相手じゃ脅しも効かない。慌てて女の口を抑える。仕方なく僕は女の腰を持ち、担ぎあげた。女は見かけよりも更に、体重という概念そのものが消失してしまったかのように軽かった。
あこ さん作 [187] -
サンタの手袋 ?
思わず周りを確かめる。もしかしたら、僕ではない誰かに話しかけたのかもしれない。誰もいない。女の目も、疑いようなく僕に向いている。間違いない。でも何だってこんな時間に制服を着た奴がいる?サンタって何だ?何で僕に話し掛ける?疑問ばかり沸いて来る頭を横に振り、右足を勢いよく蹴りあげた。走るしかない。覚悟を決めて、女の方に向かって走り出した。気の毒だが、顔を見られた以上、放って置けない。一発殴って、気絶
あこ さん作 [199]