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ゆうこ さんの投稿された作品が102件見つかりました。

 
  • 少女と麒麟と青い空 5

    先の言葉を促すようにキリンを見ても、彼は何も言ってくれない。「…ごめんなさい。一人で逝く勇気がないなら、自殺する資格なんてないのにね。自分でも解らないの。なんで…いて欲しいのか」そうよ。そもそも、孤独を知ったから死のうと思った。今も孤独に違いはない。でも、キリンが去るのを見るのは…耐えられないほど痛い気がする。「ここまで付き合ったなら、最後まで…そういうことでしょ」吐き捨てるように言うキリン。苛
    ゆうこ さん作 [587]
  • 愛すべき二人

    見知らぬ人の会話。盗み聞きする人…私。真面目そうなサラリーマンと、人の良さそうなおじさん(多分上司)の会話。「あの、昨日お貸ししたあれですが…」「ああ、あれね。うん。なかなか面白かった」「あ、よかったです、いやホッとしました…ああいったものには好みがありますしね」「ああ、そうだな…なかには下品なものもある。だがあれは、上品だ」「ですよね〜!じゃあまたお貸ししますよ、おとぼけ課長」かりあげくんもい
    ゆうこ さん作 [684]
  • 少女と麒麟と青い空 4

    30分くらい歩き続けて少しお腹がすいたな、なんて思った時にキリンは止まった。「着いたよ、トリさん」眼の前にそびえ立つ立派なマンション。赤い煉瓦のような外観はどっしりしていて、なかなか豪華。…確かにぱっと見ただけでも15階以上はありそうだ。人が通り抜けるのに便乗してすかさず門を抜ける…オートロックの意味のなさを考える時ではないながらも、複雑だった。「ねぇキリン…さん。どうしてここなの?」二人きりの
    ゆうこ さん作 [610]
  • 少女と麒麟と青い空 3

    手を取って、冷たさに驚いて、引っ張りあげられて、足が地面について…ガクッと膝が折れた。コンクリートに尻餅ついて、眼を見開いた。私…本当は怖かった?はっきり言って、恥ずかしかった。腰が抜けた。私の「覚悟」の甘さに、赤面してもしたりない。私はキリンを見上げる勇気もないまま、じっとコンクリートの染みを見つめた。まるでそれが重要であるかのように。「死ぬってさ、ある意味テンションが必要なんだよね…」人事み
    ゆうこ さん作 [628]
  • 少女と麒麟と青い空 2

    少年は、何もない所から突然現れたようだった。もちろん私は廻りに注意を払っていたわけではないから、そんな筈ないのは解っているけど。「ちょっと話さない?俺、キリン」私は思わず笑ってしまった。キリン、黄色くて斑点のある首の長い動物。目の前の少年は、色が白くて、ひょろっとしていて…特にキリンらしいところはない。「キリンですか…じゃあ私はトリです。今、飛ぶ所だから」少年…キリンは笑った。優しい目をしていた
    ゆうこ さん作 [655]
  • 少女と麒麟と青い空 1

    人に嫌われるのが怖かった。私はそんな、普通の女の子だった。誰だって人に嫌われるのは嫌だろう。だから、我慢した。嫌だと思う事も、いいと思う事も、基準は「友達がどう思うか」それだ。 そればっか。そんな毎日の中で、いきなりそれは起こった。教科書がない。上履きがない。…誰も、口を聞いてくれない。イジメ…?信じられなかった。小学校でも中学でもあったことなかったのに…。私は一人になった。それまで群れていた友
    ゆうこ さん作 [801]
  • 25時から始まる

    私が死んだら泣いてくれますか?里沙からメールが来たのは、深夜の25時。里沙は、どちらかといえば地味な少女だった。中学一年の時に、初めて声をかけられたのだ。万里子さんですよね?私と、お友達になってもらえないですか?実際、妙な子だと思った…敬語だし。陰気な黒髪と対象的な、熱に浮されたような憧れを秘めた両目。私は頷いていた。そうするより仕方ないような強い「押し」が、彼女にはあった。里沙は、それから私の
    ゆうこ さん作 [537]
  • 音がする

    音がする。軋むような、引っかくような嫌な音が。私は寝られない。横にいる妻にはやはり聞こえていないのか。朝になり、私は妻に聞く「昨日、例の音がしたがきいたか?」「聞いてないわ。あなたったら疲れているのよ」答えは同じだ。疲れている。気のせい。あげくには精神病じゃないかしら…。おかしい。いやおかしいのは私なのか…?その考えは何より恐ろしい。青ざめた私を見て、妻の唇にうっすらと笑みが浮かんだのは…気のせ
    ゆうこ さん作 [1,073]
  • 桜と僕と…

    桜が嫌いだった。うす紅色の花が雪みたいに降りそそいで僕のアパートに入り込むから。安アパートに一人暮らしの僕は、それでもまめに布団なんか干したり。そんな時でも桜は、お構いなしに飛んでくるから…帰って来たら家中花の絨毯で。掃除、バイト、洗濯、料理、バイト、掃除って具合に、「掃除」の割合が増えてしまう。目下自腹で編み戸を検討するけど…布団、干せなくなるしね。だから、桜が嫌いだ。そんなとき、僕は布団につ
    ゆうこ さん作 [509]
  • あなたへ

    あたしは、愛していた…あの人を、誰よりも。それこそ死ぬほど。あの人は、あたしの想いに戸惑っているみたいだった。怪訝な顔であたしを見つめ返し、首を傾げる。まるで何を見ているのかわからないみたいに。そんなこと決まってる。あたしはあの人の全てを見ていたい。仕事をしている貴方。電話をする時、長くて細い指先が書類を叩く。嫌なことがあると眉をひそめ、嬉しいことがあると子供みたいに微笑む。ああ、あなたが好き。
    ゆうこ さん作 [839]
 
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