トップページ >> シンヤ・G さんの一覧
シンヤ・G さんの投稿された作品が21件見つかりました。
-
何不自由ない時代 16
独りで飲んでいる女性。見た目で判断したが、性転換した男性や女性も混ざっているだろう。性別も判断出来ないのに一人一人の人間性など皆目見当がつかない。一つだけ言えるのは、皆楽しそうな事だ。バーと言えばこの酒だろうとの勝手なイメージから、バーボンのロックを頼んだ。意外な事に、多くの客がタバコをバカバカ吸っている。500年前の禁煙ブームは一過性だったのだろうか。肺を壊しても大丈夫なバックボーンが確立して
シンヤ・G さん作 [856] -
何不自由ない時代 15
サラダを食べた。ドレッシングが要らないのではないかと思えるほど一つ一つの野菜の味が濃い。どんな栽培法なのだろうか。通りがかった女性店員にそれを尋ねてみた。無農薬でミネラルたっぷりの培地で栽培しているらしい。土では栽培していないようだ。野菜はそのままでも充分美味しいが、ドレッシングをかけると美味しさが引き立つ。上手く出来ているもんだ。麦焼酎を飲んでみた。アルコールが粘膜に染み込んでいく。アルコール
シンヤ・G さん作 [456] -
何不自由ない時代 14
この時代は何らかの理由で人々は国を支えるような労働をしなくなったようだ。だから昼間から酒を飲んでも許されるのだろう。何とも素晴らしい時代だ。皆がローマ帝国の貴族だな。もしかするとここはあの世なのかも知れないと思ったが、それは完全な妄想だ。僕は確かに現実を生きている。僕も昼間から酒を飲んでみるか。洒落た居酒屋に入り、一名である事を告げると空席へ案内された。椅子が二つしか無い。まさに僕みたいな客用の
シンヤ・G さん作 [456] -
何不自由ない時代 13
何故そんな事を思ったのかと言うと、ドアが本当にロックされているのか怪しかったからだ。試しに手をドアに押し当ててドアをスライドさせようとしたがびくともしなかった。一安心してエレベータ ホールに向かった。エレベータ ドアの脇にはタッチパネルが備え付けられていて、このビルの詳細な構成を見る事が出来た。10階までは商業スペースになっている。ありとあらゆる店が存在していた。8階の“飲食店街”へ行く事にした
シンヤ・G さん作 [472] -
何不自由ない時代12
開いた。広くも狭くも無いちょうど良い間隔の玄関が有り、右側に作り付けのげた箱が有る。正面には廊下が伸びていて、廊下の左右には幾つかドアが有り、突き当たりにもドアが有った。廊下を進みながら左右のドアを開けていくと風呂場や便所や寝室や台所が有った。突き当たりのドアを開けると10畳以上はある居間だった。居間の向こうはベランダだ。申し分ない構成になっている。これで家賃無料とは、一体どんな政策が施行されて
シンヤ・G さん作 [430] -
何不自由ない時代11
いつ動き出したのだろうか。タッチパネルに映し出されている階数がみるみるカウントアップしている。上昇を始める際のGを感じなかったし、無音だ。500年前の知識で推理してみる。このエレベーターはリニア駆動なのだろうか。程なくして22階に到着した。ドアが開き、ロビーが姿を見せた。1階のロビーよりも小さいが、かと言って全く窮屈では無い。窮屈ではないと言うと消極的だが、充分広々としている。天井まで4メートル
シンヤ・G さん作 [454] -
何不自由ない時代10
役所のサイトにアクセスして住宅入居の申し込みページに飛んだ。どの地域の住宅にするかを選ばなくてはならない。今いる地点から最も近い住宅にしよう。住宅が決まり、キーコードのダウンロードが始まった。キーコードがインストールされたこの携帯通信器が鍵になるらしい。キーコードのダウンロードが終わったので住宅へ向けて歩き出した。たった20メートル先に住宅が入っているビルが有った。さっきから視界に入っていたビル
シンヤ・G さん作 [458] -
何不自由ない時代9
それから僕が低温睡眠に入る経緯などを話しているうちに、上空からかすかにかん高い噴射音がしてきた。見上げると飛行機がホバリングしている。 何かが降りてきた。ロープにつかまった人だ。恐らく配達員だろう。地上に降り立った配達員を見て驚いた。人ではなく人型をした機械だったのだ。 「ご注文の品物です。お受け取り下さい」 機械配達員がそう言った。少し電子的だが、流暢な日本語だった。その上に動作も人間的だ。
シンヤ・G さん作 [393] -
何不自由ない時代8
おそらく街から猥雑さを排除しているのだろう。まぁ、大した事では無い。 道行く人に家電量販店はどこにあるのか尋ねてみよう。中年の男性が近付いてきた。 「あの、お忙しいところ大変申し訳ありません。ちょっとお尋ねしたいんですが」 しまった。思わず日本語で尋ねてしまった。 「何でしょうか」 おっと、日本語で返ってきたぞ。どうやら日本語も公用語のようだ。それにしても男性はにこにことして優しそうだ。
シンヤ・G さん作 [453] -
何不自由ない時代7
病院を出てしばらく歩いたところで「しまった!」と思った。住居の確保をし忘れたのだ。今更インターネットをする為だけに病院へは戻れない。いや、戻ってもいいが、何だかあつかましいと思ったので戻らない事にした。インターネットは病院でしか出来ないというものでは無いだろうし。 自分の計算力の弱さに多少は憤慨したが、いつまでも引きずるほどのものではなかった。 さっきから歩きながら感じていたが、街が非常に綺麗
シンヤ・G さん作 [403]