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籬 規那 さんの投稿された作品が47件見つかりました。
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Mind Adventure 14
宿屋に戻ると、ディルしか居なかった。「………もう時間か……?」欠伸を噛み殺しながら尋ねられて、改めて時計を見る。「あ、あれ……」この歳にもなって、時計を見間違えたらしい。尋常ならざほどに衝撃を受けた。訓練中の人が変わったような祖母が、もしこの場いたなら、アッパーカットの一つや二つで済むなら万々歳というところだ。祖母。旅のきっかけ。私をほっぽりだした"酷い母親"の代わりに私をここまで育て上げてくれ
籬 規那 さん作 [510] -
狂乱 後編
声がしていてはいけないあなたの存在が誰の目にも触れるようでは日記をとじる。だってもう、その必要はないんだ。あなたを見つめて、思い出し……これは、これで幸せだった。だけれど私達は新たな門出を迎えるんだ。お互いの為に。彼女の赤く、美しく、なまめかしいほどに甘美な。血液を。内側を、そして用意してあった材料を使ってひ と つ に な る趣味で魔術を学んでいてよかった。さあ。魔法陣
籬 規那 さん作 [472] -
狂乱 中編
2月18日あなたの眠った顔は美しかった。滑らかな肌、艶やかな髪……。あなたのその安らかな表情を見ていて気付いたんだ。あなたの時間を、安らぎを保つ方法を。ただし、準備がいる。待っていてくれ。今に私達は一つになるからね。2月19日遂に計画を実行に移す時が来た。鍵はある。後は簡単だ夜が待ち遠しい。2月20日どうしてあなたはそんなに美しい?流れ出す血の色もあなたをつき動かしていたこの心臓まで。そして優し
籬 規那 さん作 [415] -
Mind Adventure 13
笛みたいな声で鳥が鳴いている。――こんなに人が沢山いるなんて……視界に必ず4、5人分は人の影が映る。「寂れたところだなあ。旨いもんとかあるといーんだけどなぁ……」ジンがぼそっと呟く。「……………」えー……うわあぁ異文化って恐いなあ。しみじみ(?)とそんな事を思ってしまう。村にいた時は、なるだけ人を避けて生きてきた。祖母が妖術や武術の指導をしてくれていたが、自主的でない鍛練は当然夜ばかりだった。思
籬 規那 さん作 [621] -
Mind Adventure 12
幾度かの野宿を経て、今日の昼には港に到着するだろうという時。妖需はぶっちゃけ困っていた。「………」「………」「〜〜♪♪」ていうかどうなの。口笛吹けないからってひゅーひゅー歌うのって。ジンさん。お願いだから。ちょっと落ち着け?メシアのあの一言で……あれから、誰ひとりしゃべろうとしない。それどころか目も合わない。皆地面を凝視している。なんていうか……気まずいんじゃなくて……そう、照れ臭いんですけど!
籬 規那 さん作 [455] -
終わりのない人生
もしもトワがキミと友達ならキミはどう生きる?尽きない時間終わりの訪れない季節の中で何を描こう何を唄おう罪な 望みを諌めることは無意味血濡れの僕を神は 拒みはしず赦すことなくただ ただ 見下ろす変わりゆく世界中においてきぼりにされながら何を語ろう何を慈しめばいいそのとき 僕は在りすぎることは全くないのと同じ事を知った
籬 規那 さん作 [459] -
狂乱 前編
2月7日僕は君の物だ僕は君の為に居るだからどうか君は僕の物だ君は僕と一緒にそうずっと、ずっと二人で、永劫の時を。ずっと。ずっとずっと。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと永遠は、僕らの味方だ (中略)2月17日あの人はまた、溜息をついていた。「歳をとるのは嫌ね」貴女は笑っていたけれどそうだ私達
籬 規那 さん作 [596] -
Mind Adventure 11
やはり何か裏があって地上にきていたのだろうか。フィレーネの魔力の痕跡を辿りながら行くと、小さな湖に出た。超音波のような音が辺りにか細く響いている。以前祖母から聞いた事がある。独立した文明を持つ亜人は、当然言語も伝達方法たも住む場所によって独特で、亜人と何かトラブルがあれば、ささやかな動き、ほんの雑音にも気をつけないといけない、と。――ィィイィイン……音を頼りに草を掻き分けて進む。(見つけた……)
籬 規那 さん作 [462] -
阿鼻叫喚
今も 惑い躊躇う その足で永劫の時の元どう 歩こう泥のような深みに似た暗い眠りにずぶり 沈み恐れをなして叫び 喘ぎ狂いなさい重さを帯びて濡れ 朽ちる躯に今も堕ちる蔭 と 瑩自分が特別でないといつまでも認めず茨を引きずり何処へその唇が紡ぐは重低音の鎮魂歌諦めた日には濁った瞳で天上の星に蔑まれ空の祝杯 翳す遠い目をして消え行くのは
籬 規那 さん作 [365] -
Mind Adventure 7
水泡が動く音に混じって、甲高い金属を引っ掻くような音が響く。『待って………』後ろから、聞き慣れた【声】が追ってくるのがわかる。止まるわけには、いかない。少しでも、遠くへ。少しでも、あなたを、留めておく。『待ちなさい……っ!』頭に直接響くような声に、焦りが滲んだ。恐らく、少女に気付いたのだろう。海の色が深さを増す。どれほど深く潜ったのだろう。人間のこの娘にどこまで耐えられるのだろう。水を飲まないよ
籬 規那 さん作 [495]