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深山暁 さんの投稿された作品が37件見つかりました。
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君に送る言葉?
浅岡への気持ちを自覚はしたが、僕は何も出来ないだろう。このハンカチだけが、僕と浅岡を繋いでいる。これを返してしまえば、また元のように普通の教師と生徒の関係だ。「何やってんだか…。」もう26歳だというのに、8歳も年下のしかも生徒に片思いなんて。そういえば、片思いなんて高校以来だな。仰向けにソファに寝そべったままタバコを吹かす。大学に入ってすぐに沢子に告白されて付き合い始めた。沢子には、こんな気持ち
深山暁 さん作 [274] -
召喚天使?
―朝だ。僕は、いつの間に寝ていたんだろう?はっと辺りを見回す。変わった事はない。「やっぱ、昨日のは夢だったんだ。」やけにリアルだったな…。あんな、悪そうな奴が天使になって出て来るなんて。そんな事を考えながら、階段を降りる。「おはよう。」母さんが朝食を作ってくれていた。「…はよ。」欠伸をしながら答えた時に、僕は有り得ないものを目にした。「オッス!」昨日の天使だ。しかも、人の家で朝食まで食べている。
沢森奈々 さん作 [280] -
君に送る言葉?
家に帰ってすぐにソファに倒れこんだ。「生徒なんて対象外…か。」天井を見つめながら呟く。目を閉じると、浅岡の姿ばかり浮かぶ。きれいな長い髪、優しい笑顔、照れて俯いた横顔。僕は…好きになってしまったのだろうか…。いや、本当は気付いていた気がする。浅岡に惹かれている自分に。僕は見ないふりをしていただけだ。もう、認めるしかない。僕は…浅岡が好きだ。
深山暁 さん作 [241] -
君に送る言葉?
「ちょっと顔色も悪いですよ?今日はもう帰った方が…。」早山先生に言われ、素直にそうしようと思った。とにかく、一人になりたかった。一人で、考えたかった。自分のこの気持ちについて…。
深山暁 さん作 [237] -
君に送る言葉?
「直人先生!」入ってきた人物が、驚いたように言った。「なんだ。早山先生…。」僕は、少しがっかりした。…がっかりした?何で…。「なんだ。って言う事はないでしょ。」早山先生は笑って言った。早山先生とは、年が近い事もあってお互い相談し合ったりできる友人のような関係だ。「直人先生、それ。」早山先生が、僕の口元を指差した。「え?」「タバコ。」そう言われて、自分がタバコをくわえていることを思い出した。「ぼけ
深山暁 さん作 [287] -
永遠の空?
僕の名前は〈とわ〉。〈永遠〉て書いて〈とわ〉って読む。僕は…ロボットです。隆幸に造られました。見た目は12歳くらいです。造られてからは5年が経ちました。その間に、隆幸は、僕にたくさんの事を教えてくれました。僕は隆幸が大好きです。隆幸はいつも、微かにタバコの匂いがする手で、僕の頭をなでてくれます。どうして人間の手は、こんなにもあったかいんだろう…。僕はいつもそう思います。まだ、家からは出た事ないけ
深山暁 さん作 [303] -
君に送る言葉?
―放課後。僕はまた、社会科教員室でぼんやりとタバコを吸っていた。思い浮かぶのは、さっきの、僕を真っ直ぐ見つめる瀬崎の顔。そして、恥ずかしそうに俯いた浅岡の顔。沢子の事は、もうあまり思い出さなくなって来た。あの痛みも喪失感も、浅岡の言葉がやわらかく消してくれた。まだ、隆の事を考えたくはなかったけど…。浅岡のハンカチを取り出して、ため息をつく。結局、返せなかったな…。―コンコン。ノックの音がした。…
深山暁 さん作 [279] -
召喚天使?
「で、結局どんな事ができるわけ?」やってはいけない事がたくさんありすぎて、どんな願いならいいのかがわからない。「だから、この契約に引っ掛からないことだよ!」「…例えば?」「あぁ?例えば?」この柄の悪さ全開の口調は何とかならないんだろうか…。「例えばか…。誰かの願いなんか聞いた事ねぇからわかんねえ。」あっさりと言われた。本当に天使なんだろうか。僕の頭には、そんな事ばかり浮かぶ。「おい!てめぇ!人が
沢森奈々 さん作 [473] -
君に送る言葉?
「先生、浅岡の事見てましたよね?」「え、いや…見て…ないよ。」「本当ですか?」瀬崎が疑わしそうな目で僕を見つめてくる。でも、なんでそこまで真剣になるのかわからない。「…本当だよ。」すると、瀬崎が笑って言った。「そうですよね。…よかった。」その言葉で、なぜ瀬崎があんなにも真剣だったのかがわかった。「お前、浅岡が好きなのか?」思わず口にしてしまった。瀬崎は、一瞬、頬を染めた。しかし、真っ直ぐ僕を見て
深山暁 さん作 [327] -
君に送る言葉?
(よかった。)浅岡がそう呟いた気がして、僕は目を逸らせなくなった。すると、浅岡の方がちょっと恥ずかしそうに俯いた。「先生!」突然呼ばれて、我に帰ると、生徒全員がこっちを見ていた。「な、なんだ?」慌てて返事をすると、僕を呼んだ男子生徒が呆れた顔をした。「チャイム鳴りましたけど…。」僕がぼぅっとしている間に鳴っていたらしい。「悪い。じゃあ、終わろう。」素直に謝ったのに、「しっかりしてくださいよ!」そ
深山暁 さん作 [290]