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ハル さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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愉快なかんじょうろん(1)
例えば、そう。 カエデちゃんの話をしよう。 ■□■□■□■□ 現代に生きる女子高生。JK。カエデちゃん。 カエデちゃんは大人しくてマイペースでサブカル好きな女子である。クラスでは目立つ存在ではないけど、それでもカエデちゃんは皆から好かれていた。もともと嫌われる要素がない子だったのだ。 しかしながら カエデちゃんには誰にも言えない秘密があった。 彼女は同性愛者。レズ、ビアンだった。 しかもカエデち
ハル さん作 [368] -
ランドマーク/涙枯れるなんて誰が言ったの?
君はどれほど泣いたのか、俺には分からない。でも君はいっぱい泣いたんだろ。とにかく、それだけは分かる。 俺は今日も帰ってきた。部屋の中には小さな電気の光がぼんやりと充満している。君は今日もベッドの上で静かに寝息をたてていた。君は、今日もいっぱい泣いたんだな。寝顔をみたら分かる。 君は、寝る前にいっぱい泣いたんだ。いっぱい泣いて、泣いて、そんで、疲れて寝てしまったんだ。今日も。 俺は、そんな君の寝顔
ハル さん作 [409] -
ランドマーク/ネコが死んだ
「お前はとっても気持ち悪い人間だ」 「偉そうな事ばっかり言って。口では何とでも言えるんです。そんなにカッコつけてばっかりのお前は、とっても気持ち悪い」「吐き気がするね」 ネコが死んだ。 「お前が言ってる事なんて、ちっぽけなもんなんだ。だって、ほんとに追い詰められたら、そんな事で言ってる暇もないし、余裕もない」「結局お前は、そうやって。そんな。そんな自分が大好きで仕方ないんだ」「あーあー。ナルシス
ハル さん作 [378] -
ランドマーク/日常の街角
人の赤ん坊がコンビニの駐車場の隅に捨てられた。 コンビニにやってくるネコが赤ん坊の側を通る。コンビニから出てきたネコが赤ん坊の側を通る。 あるネコは「可愛い」と言って頭を撫でる。あるネコはコンビニで買った食料(大概、サカナや鳥肉だ)をちぎって与える。 あるネコは汚物をみたかのように避けて通る。 あるネコは、そこにいる赤ん坊に気付かずに、帰ってゆく。 赤ん坊は、ネコ達から与えられた食料で、生き延び
ハル さん作 [300] -
ランドマーク/君の顔
君は自分の顔を描く。今日も鏡の中の自分と睨めっこして、スケッチブックに鉛筆を走らせる。今日はいつもより順調だ。って思う。何となく、このまま最後まで描けそうな気がする。って思う。 思うよ。だけど、だけどね。途中で、やっぱり考える。今日も。振り返る。君は君の顔を描きながら、君の今日を思う。 今日も、学校楽しくなかった。って思う。全、然。楽しくなかった。って思う。 鉛筆を走らせながら、考える。 なんで
ハル さん作 [337] -
東京タワー
僕は大都会の街に飛び込んで、喧騒の中から君を見つけた。僕は君を見つけて、君と二人で桜並木を見つけた。 僕は君を見つけて、君と二人で東京タワーを見つけた。僕は君を見つけて、君と二人で君の乗るバスを見つけた。 君はバスに乗り込んで、君は手を振った。僕も手を振った。 僕は見送った。 僕は見送った。 僕は見送って また大都会に取り残された。ありがとうも、ごめんねも、さよならも うまく言えずに取り残された
ハル さん作 [360] -
ランドマーク/黒いネコ
人間はそれを「平日」と呼んでいるのだけど、君はそんなこと知らない。君には平日も休日も祝日も盆も正月もない。そんなこと、君は知らない。 人間はそれを「昼休み」と呼んでるんだけどね、君はもちろん、そんなこと知らない。君には時間なんてない。 君は歩いている。線路に添って続いている塀の上を、君は四本足で歩いている。 人間達は今、「平日」で「昼休み」で、そんで…。今日は快晴だった。陽気が街全体を包
ハル さん作 [358]
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