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アズ さんの投稿された作品が8件見つかりました。

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  • 出目金と蛇?

    あの、あ、随分お困りのようで、ですね、できらば、が、お力になりたいのは山々なんです。はい。でもですね、いきなりかくまってくれと言われても、あの、見ての通り自分は屋台の金魚売りなんです。だから、その、具体的にどう力になっていいのか。俺はしどろもどろになりながらも、ま、状況からすれば当然とも言える言葉をもごもごと吐いた。正面から見る彼女は、なんつーかバカみたいに美人だった。心臓が暴れてアルコールが血
    アズ さん作 [283]
  • 出目金と蛇?

    遠くから神輿をかつぐ声が聞こえてきた。にょーらい!にょーらい!待ってましたとばかりに本部席から祭りの進行が大音響で炸裂する。始まりました尾戸祭!今年の一番は三ノ宮神輿であります!二百年以上の歴史ある角台締八角神輿をかつぐのは鍛冶屋町自治会のみなさんです!皆様ご覧くださいましぃぃー!この祭りでしか聞けない不思議な掛け声。にょーらい!にょーらい!神輿が人混みをモーゼのように割りながらこちらに向かって
    アズ さん作 [267]
  • 出目金と蛇?

    午前中はテキ屋の連中や祭りの関係者などがばらばらといた通りも、昼過ぎになって親子連れや若いグループなどが何組も歩きだし、やっとお祭りらしい「活気」と呼べる雰囲気が出てきた。金魚すくいは最近あまり景気が良くない、動物愛護とかエコという流れの中でどうもイメージが悪いらしい、単に魚が嫌という子供も随分いる。隣の屋台では前歯の無いおっさんが相変わらずイカを焼いていた、あのイカうまいのか?足下では電動のポ
    あず さん作 [279]
  • 出目金と蛇?

    地球が暑くなっているのは多くの人が感じていることだろう。南極では氷河が轟音と共に溶け崩れ、山脈では凍土がシトシトと情けなく縮んでいき、大地は割れ、海が沸く。彼は屋台で商売をしている、金魚すくい一筋で10年、そろそろ中堅と呼ばれる年齢になってきた。昼前に屋台を組み上げて、昼飯を食った後に開店した。水を張られた2mほどの水槽には赤や銀、そして黒い金魚が所在なさげにひれをうごかしている。となりではイカ
    あず さん作 [273]
  • 出目金と蛇

    尾戸町の祭りは神輿が主役だ、昼間に合計八台の神輿がわっしょいわっしょいと何度も通りを行き来する。祭りの日を待ちわびたはっぴ姿の男達は、一年分のうさをここぞとばかり晴らす気なのか、酒と狂気に目を血走らせ、神の乗る輿を激しく上下に揺らし、歩行者天国となった本町通りの二車線道路で足を踏み鳴らすのである。そして、この祭りのクライマックスは朝渡りと呼ばれる。本町通りに対して垂直に流れる琵琶湖を模して作られ
    あず さん作 [280]
  • レンゲの丘?

    丘から見下ろす風景は瑞々しい春の息吹に満ちていた。新鮮な風を命がけで吸い込もうとする深い緑が土を食いつくさんとする勢いで地面を覆い尽くしている。種としてこの季節を待ち、水と温もりに包まれて生まれた彼らは、生命を得た喜びをその全身で表しているようだ。
    あず さん作 [265]
  • レンゲの丘で

    春の温かい雨が優しく頬をなぜ僕は目を覚ました。ちぎれた雲の隙間から春の日差しが手を差し伸べて、まるで慈しむように草原の丘へ温もりを伝えていた。僕はいつの間にか眠っていたようだ。顔の上を軽い羽音を響かせたミツバチが通り過ぎていく。蓮華の花に潜り込む彼らは、まるで母の胸から乳を吸う赤子のようだ。顔を上げると西の山に厚い雲がかかっていた、夜にはこの辺りの草を大粒の雨が濡らすだろう。さて、行かなきゃ。僕
    あず さん作 [274]
  • 裸の海草

    どっぷりと湯船に浸かって一日の疲れを癒していると、玄関先で何やら声がする。ひぃじきぃーいらんかぁ!んめぞぉ!近所のバアさんがひじきを持ってきたのだ。仮にそのままの姿でバスタブから飛び出して全裸で応対したら大声を出されかねないし、あんまり驚かすと善良な老婆にお迎えが来てしまうので、失礼とは思いながら風呂場の窓から大声で礼を言った。すんませぇん!いただきますぅ!風の強い夕暮れだった。
    あず さん作 [356]
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