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莉絵さんの投稿された作品が8件見つかりました。

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  • 空から見てる 4

    「一人でこんな山奥に住んでいて、寂しくないですか?」これを聞いた後で、しまった、と俺は思った。サエさんは一瞬目を見開いたあと、眉をひそめた。さっきまであんなに穏やかだった顔が、不快に歪んだ。「ウチは、好きで一人になったんじゃない。」サエさんは低い声で言った。「すみません、俺、無神経でした。ごめんなさい。」「…いいの。一番ひどいのは、あたしの両親だから。ほんとにずっと、帰って来ないのよ。ウチを一人き
    莉絵さん作 [298]
  • 空から見てる 3

    濃厚な甘味、けれどしつこくない。爽やかな林檎の香りに、思わず鼻で大きく呼吸をして香りが抜けていくのを楽しんだ。「美味しい?ウチが作った林檎ジュース。」「美味しい…美味し過ぎるよ。」俺の口から本音が溢れた。するとサエさんは、日に焼けた紅い顔を、またさらに赤らめて「ふふっ」と嬉しそうに笑った。サエさんはすぐ顔が赤くなるみたいだ。林檎を作ってる内に、赤色が映ってしまったみたいだ、と思うと、なんだか可笑し
    莉絵さん作 [296]
  • 空から見てる 2

    「お兄さんはどうしてこんな田舎に来たの?」30近い俺が、『お兄さん』なんて呼ばれて、少し嬉しかったが顔には出さなかった。「あ…名前、円藤です。円藤、裕司。これ名刺です、どうぞ。」「そう、円藤さん。ありがと。至って平凡な感じの名前ね、ふふっ」「そんな…ほっといて下さいよ。確かに顔も平凡ですが。」「言って無いよ、そんなこと。」「まぁこんなんでも僕は県立大学の講師をしてまして…」「へぇ、先生なの。通りで
    莉絵さん作 [294]
  • 空から見てる

    「サエ」さんは田舎の山奥に住んでいる22歳の女性だ。少しくせのある黒髪を一つに束ねている。初めて顔を合わせた時に、あんまり肌が紅いんで、熱でもあるのかと思って聞いたら、「日焼けです。ウチ、ずっと外にいるから。でも、どんなに焼けても黒くならんですよ。その分、赤くなってヒリヒリするの。」「あぁ分かります、僕も同じタイプです、多分。…外でずっと何をしているんですか?」「ウチ、林檎作ってるんだよ。」「へぇ
    莉絵さん作 [296]
  • UNDER SOUL〜第2話〜

    UNDER SOUL〜第2話〜そう俺はあることに気付いた。「あの一番角の席の人、俺が転校してきてから、まだ一度も来てねえみたいだけど…不登校なの?」俺は何の気なしに聞いただけだったのだが。「え…?あ、あぁ…あいつは……」明らかに、友人達の顔つきが曇るのが見てとれた。「まぁ不登校…だな」「うん、多分もう来ねぇんじゃないかな」「べ、別に…どーだっていいじゃん、なぁ」「そーだよ」互いに引きつった顔で
    梨恵 さん作 [400]
  • UNDER SOUL〜第1話〜

    UNDER SOUL〜第1話〜この学校に転入してきて、今日早くも一ヶ月が経とうとしていた。少し見慣れてきた町並みをチャリで登校。閑静な住宅街と、田舎の商店街と、大きな河原の道を抜けた先にあるK高校は、なんとも平和な校風で、学力も普通、部活もそこそこ、アホないじめもない。転校してくる身としては、とても馴染みやすい学校だった。珍しいものを見るような、転校生に向けられるあの独特な視線は、一ヶ月も経て
    梨恵 さん作 [418]
  • UNDER SOUL〜第0話〜

    UNDER SOUL〜第0話〜『人の心は酷く汚いの』彼女は、吐き捨てるようにそう言った。青く尖った唇で。その冷めた顔つきが脳裏に焼き付いて離れない。…とてもじゃないが今夜は眠れそうになかった。彼女の、その言葉はきっと限りなく真実に近いのだろう。彼女の存在は恐ろしい。そして何より『危険』な存在だと思った。全然馬鹿で社会のしくみもよくわからない二流高校に通う『俺』ですら、そう感じたのだから、相当の
    梨恵 さん作 [421]
  • 『はい、トモダチならたくさんいます』

    ひそひそくすくすカタチだけ笑顔をつくる皮膚はこんなにもピリピリと痛む教室の隅でまた冷たい笑いが生まれる優しいあの子は騙されて可愛いあの子は妬まれて賢いあの子は謙遜され素直なあの子は利用され強い者に脅え弱い者を虐める教室は世界の縮図だ、なんて偉そうな先生みたいな思考を抱えてもう飽々した木の香りのする机に突っ伏した『今』を取り巻く狭くて小さなそれでも絶対的な『世界』家族先生友達恋人信じる先は裏切り愛
    梨恵 さん作 [410]
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