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コトミ さんの投稿された作品が15件見つかりました。
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迷想
病室を出た瞬間、私の足が止る。今思ったけど、自販機って何処…?よく周りも見ずにただ父の後を追って病室に来た私にとって、一人で飲み物を買いに行けと言うのは無理に等しい。仕方無く私はもう一度病室の中に戻る。「あれ。どうした舞衣。やけに早いな。」「いや…。自販機の場所が分かんなくて。」不思議そうに聞く父に対して、私は申し訳無さそうに答える。「自販機は無いけど、小さい店なら一階の出入口の所にあるよ。」「
コトミ さん作 [148] -
迷想
「実は今、雅危険な状態なの…。」「えっ………。」今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら、母は視線を落として話す。私はどう答えたらいいのか分からず、ただ言葉を詰まらせていた。「まっ、待って。どういう事?訳分かんないんだけど。雅が危険ってどういう事…?」「良いからひとまず落ち着け。飲み物でも買って来たらどうだ?」「で、でも…。」「戻って来たらゆっくり話す。…それで良いだろ…?」「…分かった…。」父か
コトミ さん作 [111] -
迷想
「池内美紀の夫と娘ですけども…。」五十嵐病院に着くやいなや、駆け足で受付に向い、早口で父は話す。「これを付けて、六階の二号室に向ってください。」私と父の分のバッチをカウンター越しに渡し、パソコンを眺めながら、受付の女の人が言う。「……。」今私はエレベーターの中で父と二人っきり。何も話す事が無く、気まずい空気がエレベーター内に流れる。早く…早く…。階数が書かれている場所を見ながら、私はそう願う。チ
コトミ さん作 [164] -
迷想
「じゃぁウチ、家ここだから。」自分の家を指差しながら、私はそう言う。「マジで!?近っ!!」今木さんが驚いた表情で言う。無理も無い。なんたって中学校から私の家までたったの徒歩五分ぐらいなのだから。「と言う事でじゃぁね。」そう言い、私は逃げる様に家の中に入って行く。私の家は五階建ての二階に住んで居る。「ただいま。」家のドアを開け、私は疲れた様な声を上げる。「お帰り。」リビングから母の声がする。「だぁ
コトミ さん作 [149] -
迷想
「ウチも一緒に帰る。」純が突然私の後ろから抱きつき、そう言う。「じゃぁ、皆で帰ろ。」私は笑顔でそう答える。「ねぇ、舞衣ちゃんと三上さんて小学校一緒なの?」下校中に今木さんが聞いて来る。「うん。そうだよ。ついでに言うと保育園も一緒なんだ。」純が嬉しそうに答える。私は聞き慣れない「舞衣ちゃん」と言う言葉に、内心ドキ×2する。…だって、今までそんな風に呼ばれた事無かったんだもん。「良いなぁ〜。ウチは途
コトミ さん作 [150] -
迷想
「早く廊下に並べ〜。」タイミング良く先生が教室に戻って来る。今木さんとの会話も中断され、私達は廊下に並ぶ。「これより、第三十二回、入学式を始めます。新入生、入場。」副校長先生の司会の元、ついに入学式が始まる。…やばい…すごい緊張…。ただ体育館の中に入っただけでも、カメラのフラッシュや、先輩達から向けられる目線が、変に私は意識してしまう。国歌斉唱…。新入生紹介…。校長祝辞…。来賓祝辞…。入学式はど
コトミ さん作 [218] -
迷想
「先に慎から教えて。」「じゃぁ、耳貸して。」そう言われ、私は慎に耳を傾ける。胸がドキドキする。「雪。」ただそれだけだった。慎はそれだけを言い、「お前の番。」と、せかすように言う。ショックだった…。もう両想いではない。それでも、私は言いたかった。…慎に、この想いを伝えたかった。「私は、慎が…慎が好き…だよ。」耳うちで言ったりはしない。ちゃんと目を見て、直に言った。それでも、慎からの返事は無く、その
コトミ さん作 [177] -
迷想
小五の十月の事だった。第二土曜日。この日は私にとって嬉しい日でもあった。スーパードッチボール大会…。私にとって初めての大会だった。女子は私を入れて四人。さすがに純は嫌がったため、無理に誘う事は無かった。その大会には、慎も一緒に出ていた。私はドキドキしっぱなしだった。結果は……。惜しくも初戦敗退だった……。でも、悔しくは無かった。自分なりにベストは尽くしたつもりだったからだ。その後は大会に出たメン
コトミ さん作 [157] -
迷想
慎の存在を初めて知ったのは、小五の時だった。小学校での二度目のクラス替え。そこで私と慎はクラスが一緒になった。「寺門慎です。ヨロシク。」自己紹介での時間、必要最低限の事を言い、慎は席に着く。その時私は、クール系男子だと思っていた。しかし同じ時間を過ごすようになると、そのイメージは簡単に崩れた。毎日のように交される男子の会話。その中に慎はいつも居た。そんな姿を見て、次第に私は慎に惹かれていった。仲
コトミ さん作 [158] -
迷想
「これから十分間の休憩に入る。さっき言った事、覚えとくんだぞ。」長い説明が終わり、先生が教室から出る。「ハァ〜…。やっと休憩だぁ…。」見知らぬ男子が口を開く。その言葉を合図に、周りが急にざわつく。「ねぇ×2。名前、なんて言うの?」後ろの席の女子が急に話掛けて来る。「池内舞衣だけど…。」私は軽く驚きながらも、自分の名前を名乗る。「ウチは今木零。宜しく。」そう言いながらおもむろに手を差し出す今木さん
コトミ さん作 [166]
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