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黒和 さんの投稿された作品が12件見つかりました。
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Forgot-11-Final
そのことが嬉しくて、また少し涙がこぼれ落ちた。そうして彼……私の物語は幕を閉じた。そういえば、今日はテストがあるのか他人事のように呟いてみる言葉にすれば、全てウソになってしまう気がするのだが、私の心は誰かと繋がっていてたとえ記憶からこぼれ落ちようと決して消えることはないのだ東の窓から差し込む朝日が 頬をサッと撫でる。窓を開けると、スズメの鳴く声と 夏の匂いが私を満たす また 今日という日が始まる
黒和 さん作 [451] -
Forgot-10
せっかく夢に出てきてくれたのに 今度こそ、「サヨナラ」が言えたのに 神サマがチャンスをくれたのに 時間が戻ったのにやがて、泣き止むと彼は思った。もう、記憶にはほとんど居ないのに、お母さんは夢に出てきてくれた。いつか読んだ漫画のキャラクターが死ぬ時、息子に向かって「心はいつもお前と共に」と言っていた。その言葉の意味が分かった気がする。お母さんは、もう、お母さんの事を忘れかけた、こんなオレ
黒和 さん作 [450] -
Forgot-9
彼は罪悪感を感じた。彼はそこまで、母親のことを忘れてしまったのだ。つまり、涙を流すに値しない存在、という訳だ。彼は絶望しながら、「お母さん…」と声に出して母親を呼んだ。すると不思議なことに、彼は悲しみが満ちてくるのを感じた。「お母さん……」もう一度呼んでみる。今度は悔しさも一緒に溢れてくる。彼は何度も母親を呼んだ。次第に悲しみが止まらなくなり、彼は声を押し殺して泣いた。
黒和 さん作 [411] -
Forgot-8
気がつくと、彼は自室のベッドに横たわっていた。現在午前5時、起きるにはまだ早い。結局、彼は別れを告げることは出来なかった。それで良かったのかもしれない。夢とはいえ、母親を傷つけるかもしれなかったからだ。それでも、彼は悔しくて仕方なかった。せっかく、やり直すチャンスが巡ってきたのに、と。それが悔しくて仕方ない。彼は、自分は泣くだろうと思った。亡くなった母親を悼み、別れを告げられなかった自分を不甲斐
黒和 さん作 [405] -
Forgot-7
いきなり、病院全体が揺れ始め、天井が崩れ落ちてきた。あまりに突然なので、脳の処理が追いつかない。彼はその場に這いつくばり、やり過ごそうとした。だが、揺れはいっこうに収まる気配はない。その間にも、天井は崩れ階段を塞いだ。母親と彼を繋ぐ、唯一の道。それが今、閉ざされていく。彼は絶叫し、母親を呼んだ。せっかく再び会えたのに、と。希望が塞がれていく中で、最後に彼は見た階段の上に立つ母親の姿。パジャマにス
黒和 さん作 [400] -
Forgot-6
彼の母親の病室は、ロビーを抜け長い廊下を渡り、階段を登った突き当たりだ。夢のクセに、気味が悪いほどリアルだ。スレ違う人間は、当時、母親と同じ病室に居た人達に、担当の医者だったりした。(これもその時に思い出した)緊張で心臓がバクバクいっている。果たして、自分のすることは正しいのだろうか?そこまで、しなければいけないことだろうか?そんな自問自答をしながら、彼は家族と共に、長い長い廊下を進んで行った。
黒和 さん作 [395] -
Forgot-5
月日は飛ぶように過ぎた。いや、実際にほとんど省かれていたのだが、彼はそのことに気付かない。前述した通り、普通は夢に疑問を抱かないのだ。亡くなった母親の存在に気付いただけでも、彼にとって奇跡に近い。そして彼は、あの日が近づいているのを感じた。ある時、突然母親は入院した。父親と医者は「検査入院だから、大丈夫だよ。」と言った。だが、彼は知っている。この半年ほど先の母親の運命を。そして、彼は決意した。母
黒和 さん作 [391] -
Forgot-4
彼は、幼い頃の自分に戻り、母方の祖母の家にいるのを感じた。古い家で、コタツに座っている兄はまだ5歳ほどに見える。ブラウン管のテレビには昔よくみたアニメが映っている。ああ、これは夢だ。懐かしいな。と、彼は思った。しかし、なぜ夢だと分かったのだろう?普段ならば、夢とは無意識のうちに作られ、そこに疑問など生まれない。どんなに理不尽であっても、どんなに不可能なことであっても、普通なら「夢」とは気付かない
黒和 さん作 [402] -
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「あれから9年も経つのか。」他人事のようにつぶやき、彼は線香に火をつけた。彼は受験生になっていた。既に母親のことも、写真がなければ顔さえ思い出せない。そんな自分に罪悪感を感じながらも、仏壇の前で手を合わせる。翌日にはテストがある。そのため彼は夜遅くまで勉強していた。彼の偏差値はクラスで中の下。現在の成績では、第一希望は難しいと言われている。明日のテストはどうしても落とせないのだ。夕飯を食べると、
黒和 さん作 [391] -
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トラウマを負った彼の記憶は、必死にそれを治そうとした。 具体的に言えば、母親のことを忘れようとしたのだ。楽しかった事も苦しかった事もそして実際に、全てではないが、彼は母親との記憶を忘れていった。他にどうしようもなかった、と言えば言い訳になる。しかし、人間というのは都合よく造られている。 病気のところは治せばいい。その原因ごと消してしまえ。 つまりは、トラウマの原因となる、記憶ごと消してしまえ、と
黒和 さん作 [567]
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