トップページ >> 金太郎 さんの一覧
金太郎 さんの投稿された作品が133件見つかりました。
-
星の蒼さは 53
乳白色の朝霧が辺りを覆い、濃い靄は太陽の光すら拒絶する。あおかぜは現在“旧”ハワイ諸島周辺にある。ハワイ諸島。太陽兵器『The God Of Day』による被害は甚大で本島の殆どは消失しており、アスファルトにこびり付いた“元”人はその熱量の凄まじさを物語っているという。米軍基地も例外ではなく、展開していた空、海軍は全滅の憂き目にあい、合衆国海軍は前述の通り、太平洋における制海権を喪失してしまった
金太郎 さん作 [512] -
星の蒼さは 52
「行ったか」遥か彼方に飛び去っていくあおかぜを見ながら土田は呟いた。もう止められない。使命を終えた老骨は果てるのみ。「だろう?“光司”」ドアの前に、男は始めからそこにいた。毎晩枕元に現れ、自分を非難し、批判し、否定する。あの男が。『ええ、そうです』紅い口腔が蠢き、男は笑った。『飛び立ったんです。もう止められない。貴方にも、僕にも』「・・・」『世界は黄泉がえる。灰の山から黄泉がえる不死鳥の如く。更
金太郎 さん作 [454] -
星の蒼さは 51
「アキも一緒に!?」ハルは身を乗り出して狩野隊長に聞き直す。「ああ、彼の月軍機動兵器のパイロットだからな」うるさい!と、若山軍曹に拳骨をもらいながらもハルは喜びを隠せなかった。「単純な奴だね、全く‥‥‥」西沢もやれやれと笑う。艦内はハルに限らず浮かれていた。敵軍捕虜とは言え、可愛い女の子と同じ艦に乗るのだ。この艦の女と言えば、優しく、美しいものの鉄壁のガードを持つ滝川艦長か、「軍隊で男性と付き
金太郎 さん作 [487] -
星の蒼さは 50
「それで、何かわかったのかしら?」起動しないものの、修理が完了し、あおかぜに積み込まれていく“天使”を見ながら、滝川は基地の整備主任の河島に尋ねた。「わかったと言えばアレなんですがね」主任は酔っ払った赤ら顔で答えた。「・・・?」「全くの新規設計ですねェ」「新規?」「月軍のWWのデータは可変式から水陸両用まで一通り把握してるんですがね、こいつはどれにも当て嵌まらないんだね、これが」「それが?」「派
金太郎 さん作 [554] -
星の蒼さは 49
「アメリカへ?」「らしいぜ。幹部共が話してるのを聞いたんだからな」あおかぜ艦内はちょっとした騒ぎになっていた。噂は尾びれ背びれを付けて泳ぎ廻り、果てはこのまま宇宙にでる。といった憶測までも流れ始めていた。ここ、あおかぜ格納庫もその話題でモチキリであったのは言うまでもない。「どうやってアメリカへ?」若い整備士が煤だらけの顔を向ける。「太平洋横断か?」何気なく野口が答える。ガタッ。誰かが工具を取りこ
金太郎 さん作 [611] -
星の蒼さは 48
「准将の事、どう思う?」帰路。滝川は隣を歩く荒木に尋ねた。「太平洋横断ですか?最善でしょう」荒木は即座に答えた。「西周りも一つの手段ですが、中国、インドには月軍の大部隊が展開している上にいずれも『TheGodOfDay』の直撃を受けた現地部隊は崩壊状態。危険です。ヨーロッパでは友軍が戦いを有利に進めていますが、ジブラルタルの海上戦力が加わればどうなるか・・・」「違う。そうじゃないのよ」滝川は長く
金太郎 さん作 [472] -
星の蒼さは 47
「アメリカ!」寝耳に水も良い所だった。与えられた任務はそれだけのインパクトを持っていた。「左様。…“アンダーソン博士”を知っているか」「え?ええ、世界で初めてWWを開発した…」「そうだ」アメリカ軍が十数年前に初めて使用したWWは圧倒的な汎用性で瞬く間に世界中の軍隊の主力兵器の地位を獲得した。「それが……?」「その科学者が著したWWの全てを詰め込んだ一冊の書が、合衆国国立WW研究所に保管されて
金太郎 さん作 [473] -
星の蒼さは 46
「…名前を教えてもらおうか」「アキです」「アキ……?日系か?階級は何だ」「知りません」アキは緊張しながらも、荒木の質問にはっきりと答え続けた。「階級が無い?軍人ではないのか」「一応軍人です」「なら階級くらい!」「いい、荒木。御苦労」荒木を制して土田はアキに向かい合った。「お嬢さん。新WWは君が乗っていた物じゃな」「…」「怯えなくていい」「うん」こんな娘が“運命”の最も大きな歯車か。「あ、あの“子
金太郎 さん作 [488] -
星の蒼さは 45
「何を言いだすかと思えば…面白い娘だ」土田の口調は柔かだったが、その相貌は全く笑っていなかった。「敵の動きは余りにも迅速でした。近くの前線からの到着時間と全く計算が合いませんわ。最初から部隊の展開を完了していたとしか思えません。そして我々は『UnHappyNewYear』唯一の生き残り……」「何が言いたい?」「関東司令部の力を以てすれば簡単に“あの日”撃墜された死亡艦に仕立て上げられるという訳で
金太郎 さん作 [474] -
星の蒼さは 44
「御苦労だったな。恵美君。む、荒木も一緒か。ま、掛けたまえ」会議室に入るとすぐに聞き慣れた声が聞こえてきた。「大戦果じゃな。敵の新型兵器を落とす働き、大したもの…」「准将」滝川は遮った。どうしても聞きたい事がある。だが、まだ…「凄まじいスペックを有した兵器でした。単体でWWごと部下を五人も……とても地球軍で歯が立つ相手ではありません」「か、艦長!?」「言葉を謹め!」隣で荒木と基地の参謀が焦る。
金太郎 さん作 [527]