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水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • ベースボール・ラプソディ No.45

     八雲のいう全力の意味が、哲哉には解らなかった。 百四十五キロのストレートは既に投げ、四隅にコントロールされていたにもかかわらず、石塚は空振りをしなかった。 だが、哲哉はふと思う。 要求すれば正確にコントロールされた百四十五キロちょうどの直球を投げてくる八雲には、まだ余力があるのではと。「…一つ聞くが、お前、百四十五キロがマックスじゃないのか?」「頑張りゃあと三キロ位だせるぞ」 あっけらかんとし
    水無月密 さん作 [789]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.63

     幻術使いの動きを視覚でおうことは、不可能に等しい。 そう判断したノアは五感に頼らず、オーヴを己の間合いに張り巡らした。 その刹那、ノアのライジング・オーヴが金色に輝き始める。 オーヴの語源は光の玉であり、極めた者がそれに包まれることからその呼び名がついた。 その光に包まれた今、ノアの戦闘能力は最大限に解放されたことを意味していた。 研ぎ澄まされ、金色の輝きをましていくオーヴ。 その中心で、巣を
    水無月密 さん作 [671]
  • ベースボール・ラプソディ No.44

    「さて、どうするかな。 一番楽で確実なのは敬遠策だけど、お前にそんな気はないんだろ?」 石塚との対戦を前に、意思の疎通をはかりにきた哲哉は、八雲の胸中を見透かして微笑んだ。「……大澤さんが野球部に入ってくれた時に決めたんだ、勝負から逃げるための敬遠は絶対にしないってな。 それをしたらオレは、あの人と一緒に野球する資格を失っちまう」 苦笑いした八雲は、おもむろに空を見上げた。 見上げた空は抜けるよ
    水無月密 さん作 [780]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.62

     常軌を逸した段蔵の動きに、ノアと半次郎は警戒を強めていた。 だがその姿は、二人の眼前で蜃気楼の如く、周囲の風景と同化して消えていった。 それを目の当たりにしたことで、ノアはこの男の能力に大方の目星がついた。「幻術使いの飛び加藤、それがあの人の異名です」 消えた段蔵を警戒しながら、半次郎がそうつげた。「…やはり幻術使いか。 半次郎、直ぐさまこの場から退避しろ。 ヤツのオーヴはサイレント系の中でも
    水無月密 さん作 [677]
  • ベースボール・ラプソディ No.43

     自嘲する哲哉。 彼は思案に詰まると、気付けば何時も八雲に問い掛けていた。 その理由が、今わかったのである。「どんな時でも、大切な事は見失なわないな、お前は。 そうだよな、仲間が信じられなくて、チームプレーが出来るわけないよな」 八雲のまっすぐな性格は、精巧な羅針盤のように道理を指し示す。 だからこの男は、人を引き付けて止まないのだと、哲哉は感じていた。 各自、自分の持ち場に戻る橘華内野陣。 主
    水無月密 さん作 [860]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.61

     即座に殺気へ反応した半次郎は、躊躇なく攻撃を仕掛けた。 振り下ろされた剣先でオーヴが弾け、衝撃が真空をうみ、地を切り裂きながら殺気の主を急襲する。 不敵な笑みをうかべる黒装束姿のその男は、衝撃波など意に介していないかの如く半次郎達へと歩み続けていた。 そして衝撃波は男の身体を突き抜け、後方の大樹を薙ぎ倒して消滅した。 半次郎とノアには、衝撃波が男を切り裂いたように見えた。 だが、男の歩みは止ま
    水無月密 さん作 [684]
  • ベースボール・ラプソディ No.42

     罰が悪そうに八雲から目をそらす大澤。 その姿に笑みをもらす哲哉は、大澤よりも早くパーフェクトピッチングに気付いていた。 だが、その事実をつたえたところでプレッシャーになるだけと判断し、黙していた。 八雲は端から興味がなかったようで、気にも留めてなかった。 試合後、その事について哲哉が問うと、「そんなもんやったって何か貰える訳じゃないから、興味ねぇよ」 と、軽くあしらっていた。「で、どうする? 
    水無月密 さん作 [790]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.60

     半次郎は洞口の前に歩み寄り、静かに剣を抜き放った。「貴女に恩返しできる機会は、これが最期なのかもしれない。 だから、この通路は私に閉じさせてください」 やや右斜めの上段に構える半次郎。 ノアはそれを、少しさがった位置で見守っていた。 小さな洞窟は見た目に反し、塞ぐのが難しい。 大きな洞窟ならば、広い空間を維持する反動として、洞壁に強い圧力がかかっている。 その圧力が集中する一点を突き崩せば、洞
    水無月密 さん作 [520]
  • ベースボール・ラプソディ No.41

     鈴宮工業対橘華高校の試合は、七点差のまま七回に突入していた。 大きく開いた得点差と、いまだ一人のランナーも許していない八雲の投球内容に、勝敗の帰趨は既に決したと観客達はみていた。 だが、当事者達はそう感じてはいなかった。 七点差をつけられた鈴工サイドは、とにかく一点をとることに集中し、勝負を棄てようとはしなかった。 その闘志をひしひしと感じているマウンド上の八雲は、鈴工ナインの心意気に真っ向か
    水無月密 さん作 [670]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.59

     富士の山麓にひろがる原生林の群れ。 山頂から見る、木々のそよぐ風景が波立つみなものようであることから、何時からか樹海と呼ばれるようになった。 その薄暗く靄の漂う樹海の中に、半次郎とノアの姿はあった。 木々の立ち並ぶ悪路を進むノアは、確かな足取りで目的地に向かっていた。 その背中を追う半次郎は、妙な胸騒ぎを覚えていた。 理由はわからない。 鬱蒼と繁る木々達が不安にさせるのか、それとも徐々に近づく
    水無月密 さん作 [478]
 
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