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水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • ベースボール・ラプソディ No.40

     五回裏の攻撃は遠山、哲哉と凡打でたおれ、ランナーなしで大澤が打席にたつ。 身構える大澤は、前打席までと雰囲気が違っていた。 今までの試合では、自分が打たなければという気負いと、勝負をしてくれない相手への苛立ち、更にはホームランを期待する周りのプレッシャーなど、負の要因だけが彼を支配していた。 だが、これからは違う。 自分が敬遠されても、後には八雲いる。 さらには鉄壁の守りをほこる仲間達が、チー
    水無月密 さん作 [585]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.58

     政虎が武田との同盟を口にすると、あらかじめ知らされていた直江影綱以外の家臣達は、一斉に難色をしめしていた。 川中島でそれを蹴った信玄に、なぜにまた申し込む必要があるのかというのが、家臣達の心情だった。 さらに政虎が同盟条件の草案をのべると、席上の困惑は増大していた。 上杉家が武田家の風下にたつことに不満をもつ者、単に武田との同盟を毛嫌いする者、理由はそれぞれであったが、場は雑然としてまとまりを
    水無月密 さん作 [404]
  • ベースボール・ラプソディ No.39

     ベンチにもどる石塚は、今一度グランドに視線をむけた。 軽快にボールを回す橘華ナインの中、笑顔の八雲は誇らしげに仲間達を眺めていた。 いいチームだと、石塚は感じていた。 打力には課題があるものの、守備力だけをみればかなりのレベルである。 なにより橘華ナインは、野球を楽しんでプレーしている。 あるいは、この地区で難攻不落となった成覧の牙城を崩せるのは、このチームではないかとも、彼は考えていた。 士
    水無月密 さん作 [571]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.57

     春日山城に帰着した上杉政虎は、一つの書状をしたためていた。 それは武田信玄に宛てた、同盟を求める親書であった。 この同盟案を定めるに際し、政虎には珍しく家臣団を招集して意見を求めた。 本来なら、政虎は物事の決断に他の意見を必要としない性格であった。 重要な案件があれば一人堂に篭り、心を落ち着かせて良策を模索するのが、彼の常なのである。 これに対照的なのが武田信玄であった。 彼は家の方針を決める
    水無月密 さん作 [414]
  • ベースボール・ラプソディ No.38

     内外に投げ分け、ツーストライクまでは簡単にとれた。 だが石塚は、最後の一つを容易にはとらせてはくれない。 元々石塚は空振りの少ない選手であり、今試合においても未だ一つの空振りもしていなかった。 さらにいえば、石塚自身が橘華バッテリとの相性の良さを感じていた。 彼はこの試合、配球コースの読みがことごとく当たるのである。 その石塚が厄介がったのは、八雲の球威と制球力だった。 重い球を微妙に外してコ
    水無月密 さん作 [585]
  • ベースボール・ラプソディ No.37

     虚をつかれたヒットエンドランに、鈴工サイドは顔色を変えた。 だが、いざ八雲が打球をとばすと、一転して哲哉の方が顔色を変えていた。「うわっ!」 三塁を目前にしていた哲哉は、舞い上がった打球を目にして急停止した。 ヒットエンドランをやる場合、打者は打球を転がすのが鉄則である。 しかし八雲は、それに反して高々と打ち上げていた。 それを外野手がダイレクトで処理してしまえば、哲哉までアウトに成り兼ねない
    水無月密 さん作 [598]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.56

     ノアはいう。 ハクが極めたサイレントオーヴと、彼女が身につけたバーニングオーヴは表裏一体であり、それぞれが陰と陽に傾きやすいと。 そして、サイレントオーヴを極めた者が一度陰に傾けば、それは国の滅亡を意味するのだと。 何故ノアがシャンバラやハクの事を自分に話したのか、半次郎は理解した。 ハクと同じサイレントオーヴの使い手である自分が、同じ轍をふまぬように忠告してくれたのだと。 さらに半次郎は思う
    水無月密 さん作 [426]
  • ベースボール・ラプソディ No.36

     遠山は打席にはいると、端からバントの構えをとっていた。 一方、塁上の小早川は相手投手から警戒され、執拗な牽制をうけて大きなリードがとれずにいた。 その状況にあって、チーム一のバント巧者である遠山は、確実に送りバントをきめて小早川を二塁へ送り、次の哲哉につないだ。 三番の哲哉が打席にたつと、二塁上の小早川はリードをとって相手投手を挑発し始めた。 相手は盗塁させじと再び牽制をいれるが、小早川はリー
    水無月密 さん作 [574]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.55

    「シャンバラの狂気によって造られたミュータント、それがワタシの化け物じみた能力の正体だ。 ……ワタシは、人ではないのだ」 ノアは無表情にそう語った。 その口調はいつも通りに淡々としていたが、かえってそれが彼女の美しい容貌に、悲しみの影をおとして見えた。「……それほどの仕打ちをうけながら、なぜノア殿はシャンバラを見捨てなかったのですか? それほどの苛酷な運命をしいた祖国にすら情けをかけ、憐れんだか
    水無月密 さん作 [431]
  • ベースボール・ラプソディ No.35

     塁審が右手をあげ、アウトのコールを告げると、観客達は見応えのあるクロスプレーに歓声をあげていた。 その中で、誰よりもこのプレーを喜んでいたのが八雲だった。「さすが織田さん、頼りになりますなぁ」「守備は任せとけって」 力強くグラブをたたく織田。 八雲は自分の後ろを任せる仲間の存在を、頼もしく感じていた。 下馬評こそ低かったが、橘華高校の守備力はかなりのレベルにあった。 それは試合を重ねるごとに周
    水無月密 さん作 [630]
 
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