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水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • ベースボール・ラプソディ No.14

     薄暗い早朝のグランド。 その中にひたすらバットを振りつづける、大きな人影が一つ。「よくもこの鈍った体で、あいつの速球に反応できたもんだ」 悲鳴をあげる掌を見つめ、大澤は喜々として呟いた。 前日の興奮覚めやらぬ彼は、騒ぐ血を押さえきれずにこの場にきていた。「あれ、大澤さんもきていたんですか」 不意に声をかけられ、乱れる息もそのままに大澤は振り返った。 そこには哲哉を先頭に、今日から彼の仲間になる
    水無月密 さん作 [534]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.34

     すれ違い様、雷槌のような二撃を政虎が馬上からはなち、これを信玄が刀で受け止めた。 距離をおき、激しく睨み合う信玄と政虎。 初めて相見える両雄であったが、互いが瞬時に確信していた。 それが、自分の宿敵である事を。「貴様、それでも人の親かっ!」「大将自身が敵陣深く乗り込む愚か者が、何を偉そうにいうかっ!」 何故ここまで憎しみ合うのか、当人達にもわからなかった。 あるいは、生まれながらに定められた、
    水無月密 さん作 [438]
  • ベースボール・ラプソディ No.13

     遠ざかっていく大澤の背を見送った八雲は、笑みをうかべて哲哉に語りかけた。「これであと一人だなっ!」「それもお前と大澤さんのおかげで、解決しそうだよ」 首を傾げる八雲をそのままに、哲哉は三塁方向にむかって叫んだ。「お前はどうするんだ、しゅうっ!」 哲哉が呼びかけた先では、先程から勝負を観戦していた黒ジャージの少年が、好意的な視線を哲哉達にむけていた。「俺も明日からでいいかな?」「ああ、歓迎するよ
    水無月密 さん作 [526]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.33

     真紅の兜が二つに割れ、地に転がった。 だが、信玄は絶命していなかった。 彼の額を切り裂く寸前、半次郎が刀を止めてしまったからだ。 小刻みに震え、脱力してその場に跪く半次郎。 彼は思い出してしまった。 初めて兵法書の一節を覚えた時、頭をなでてくれた父の手の温もりと、優しい笑顔を。 その温もりと優しさがほしくて、幼少の半次郎は孫子を必死に覚えた。 そして全てを諳じるまでになった時、皮肉にもそれが信
    水無月密 さん作 [449]
  • ベースボール・ラプソディ No.12

     相対する大澤は、バットを握る手に力が増していた。 レベルの上がった投球フォームを目の当たりにし、眠っていたスラッガーとしての嗅覚が、瞬時にその危険性を嗅ぎとっていたのだ。 大澤の反応をよそに、八雲のしなやかで力強い投球動作は、流れるように続いていた。 そして右腕が振り抜かれた時、無機質なボールは命を吹き込まれ、大気を切り裂きながら白い軌跡を描き始めた。 速度に換算すれば、確実に百四十キロを越え
    水無月密 さん作 [546]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.32

     ゆっくりと刀を振り上げる半次郎。 標的である信玄は、おもむろに語り始めた。「……お前を追い出した後、義信はわしを責めおった。我が弟に何の非があったのかとな。あやつが後を継げば、お前の話しにも耳を傾けるであろう。 だから、決して義信とは争うでないぞ」 その内容に詐りはなく、兄弟で争わないことの代償として自分の命をくれてやろうと、信玄は考えていた。 兄である太郎義信の名を耳にし、半次郎は幼少の頃の
    水無月密 さん作 [425]
  • ベースボール・ラプソディ No.11

    「そう心配するなって、確かに大澤さんは凄いバッターだけど、負けやしないさ。 何たってオレのストレートは小次郎の折り紙付きだからな」 そういって哲哉の肩をたたくと、八雲は屈託のない笑顔をみせた。「…わかったよ、俺もお前を信じる」「おう、だから次は全力でいくぜ」「えっ、…まさかお前、今のは全力じゃなかったのか?」 如実に驚く哲哉に、八雲は怪訝な顔をした。「無理して投げんなっていったのは、アンタでしょ
    水無月密 さん作 [504]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.31

     南雲はそれを面白いと受け取り、挑発にのった。 半次郎はこちらが突くよりも早く一撃をみまうつもりなのだろうが、甘い考えだと南雲は判断していた。 たとえ先に一撃いれたとしても、突きの勢いを殺せなければ相打ちに終わるだけであり、信玄護衛が目的の南雲にとって、相打ちは勝ちに等しい結果なのである。 そして、なにより彼はこの構えからの突きに、絶対の自信を持っていた。 一蹴りのもと、半次郎の間合いに飛び込ん
    水無月密 さん作 [428]
  • 月下美人

    青く輝く奇跡の星二つの顔をもつ地球その星に寄り添い永久に回りつづける月いつからか彼女は心惹かれていた水と緑にあふれ美しく煌めく彼にだから彼女は光をくれる暗く沈んだ夜の彼を励ますように優しく照らしてくれるしかしその光も恋い焦がれた昼の彼にはとどかないまばゆいばかりの光に掻き消されてしまうからしかし彼は知っていた彼女の儚い想いをだから彼は感謝する彼女の優しい月光にそして彼は考えた彼女に感謝の気持ちを
    ヒソカ さん作 [466]
  • ベースボール・ラプソディ No.10

     その願いは、幸運にも聞き入れられた。 打球は推進力の低下とともに左に曲がり始め、フェンス手前でファールゾーンへときれていった。 二球目と同じ外角勝負を選んだ哲哉だったが、彼が辛辣だったのはボール半個分外にはずして要求したことである。 それを大澤が強引に打ちにいったため、打球に微妙な横回転がかかり、この結果を呼び込んでいた。 安堵のため息をつく哲哉。だが、勝負はまだ終わってはいない。「タイムお願
    水無月密 さん作 [554]
 
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