携帯小説!(PC版)

トップページ >> 水無月密 さんの一覧

水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • 流狼−時の彷徨い人−No.30

     凄まじい闘気が、南雲から放出されていた。 その爆風のような気が容赦なく襲いかかるが、それでも半次郎の気は揺るがない。 一方の南雲は、自分の闘気と対等に渡り合う存在に歓喜していた。 気の勢いそのままに襲いかかる南雲は、上段から凄まじい斬撃を打ち落ろした。 辛うじて受け止めた半次郎に、間髪いれず左脇腹への一撃が襲う。 これを後方に跳ねてかわした半次郎は、着地と同時に地を蹴り、南雲の右肩目掛けて突き
    水無月密 さん作 [493]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.29

     その見事な剣技に、南雲一蔵は刮目していた。「お館様、御子息は天賦の才を見事に開花されましたな。 この分では残りの者達も、そう長くはもちますまい」 信玄は南雲を見た。「おぬしでも、三郎は止められぬか?」「三郎様は妙な闘気の使い方をされる。純粋な剣の勝負ではどうなるか、拙者にもわかりませぬ。 …ですが、あの優し過ぎる剣技では、命のやり取りはできますまい」 死闘であれば勝てると、南雲は踏んでいた。 
    水無月密 さん作 [453]
  • ベースボール・ラプソディ No.9

     哲哉は驚きを隠せずにいた。 八雲の投げた球は百三十キロ台の球速がある。 それをコーナーいっぱいについているにも拘わらず、二年以上のブランクがある大澤は、たった二球で合わせてきた。 この男の非凡さを、哲哉はあらためて痛感させられていた。 カウントはツーナッシング。明らかに守り手が有利な情況であるが、守備についている者でそう感じている者は誰もいなかった。 大澤が放出する目に見えぬプレッシャーを、皆
    水無月密 さん作 [581]
  • ベースボール・ラプソディ No.8

    「随分と長い相談だったな」 ようやく守備についた哲哉に、大澤はおもむろに語りかけた。「それだけの価値がある相手ですからね」「その割には、内野の守りが二人しかいないじゃないか」 二塁手が一塁手を、遊撃手が三塁手の守備をカバーする変則守備を目にし、少し皮肉って大澤は笑みをうかべた。「あいにくと、部員が七人しかいないものですからね。大澤さんには外野を重視した方が、得策だと思ったんですよ。 それより、そ
    水無月密 さん作 [571]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.28

     抜刀した半次郎を、近衛兵が一斉に取り囲んだ。 彼等はえりすぐりの兵士であり、発する気から能力の高さを察することができた。 中でも信玄の傍らから離れず護衛している男からは、尋常ではない力を感じていた。 半次郎はこの男を知っている。武田家の中で一ニを争う剣の使い手、南雲一蔵である。 これだけの敵を相手にし、窮地に立たされた半次郎だったが、彼の気には僅かな揺らぎもなかった。 信玄を切ると決めた時点で
    水無月密 さん作 [423]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.27

     武田本陣は上杉方が大攻勢を仕掛けたこともあり、防御が薄くなっていた。 それもあって、半次郎は難無く敵本営の奥深くまで、足を踏み入れることができていた。 馬上から信玄を見つめる半次郎。 かつて自分に刺客を差し向け、抹殺しようとした男だったが、不思議と憎しみは感じていなかった。 もっとも、親しみも感じてはいなかったが。 床机に腰掛ける信玄も、敵陣深くにたった一騎でやってきた若武者に興味をもち、視線
    水無月密 さん作 [450]
  • ベースボール・ラプソディ No.7

     放課後、大澤は約束通りグランドに姿をあらわした。 制服の上着を脱いだだけの姿でバッターボックスに立つ大澤は、軽く素振りをして体をほぐしていた。 その空を切り裂く音はとてもブランクがあるとは思えず、マウンド上で八雲と打ち合わせる哲哉は、不快感を顕にしていた。「大澤さんを引っ張り出したまでは褒めてやるが、この勝負は余計だったな」「不愉快なやつだな、はなっから勝ち目がないような事いうな」「条件が不利
    水無月密 さん作 [563]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.26

     折れた刀を見つめる政虎。 構造上、日本刀は根元が脆くなっている。 だが、これほどたやすく切断する者を見たことはなく、政虎はその実力を認めざるを得なかった。「お前の剣は、どこか後藤半次郎の太刀筋に似ているな」 政虎はそういって微笑んだ。「あの日以来、私はずっと半次郎殿の背中を追い続けています」 少し悲しげに微笑みかえす半次郎。「必ず生きて戻ってくると約束できるか?」 政虎の問いに、半次郎はまっす
    水無月密 さん作 [433]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.25

     政虎の傍らで戦況を見つめる半次郎は、苦悶の表情を浮かべていた。 味方の損害はさほど出ていなかったが、武田側には多くの死傷者が出始めていた。 戦とは勝敗に関わらず、多くの人命が失われるである。 そして半次郎は思う。戦う理由に正義はあっても、戦自体に正義は存在しないのだと。「政虎様、この乱戦の中なら、敵の陣中へ容易に侵入できましょう。 今から私が信玄のもとにいって、同盟の件を認めさせてまいります」
    水無月密 さん作 [413]
  • ベースボール・ラプソディ No.6

     それを目の当たりにした八雲は直感した。今を逃せば、この人は野球への道を永遠に閉ざしてしまうだろうと。 そう思った刹那、八雲は形振り構わずに叫んでいた。「繰り返させるもんかっ、大澤さんが敬遠されるなら、オレがその後で打って相手に後悔させてやるさ。だから、過去に縛られてちゃ駄目だっ!」 八雲のまっすぐな想いに、大澤は立ちくらむほどの衝撃を受けていた。 その言葉は、かつて仲間の奮起を信じ、孤独な闘い
    水無月密 さん作 [565]
 
サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス