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水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • ベースボール・ラプソディ No.5

     翌朝、大澤が自宅を出ると、満面の笑顔で八雲が待ち構えていた。 深くため息をついた大澤はその存在を無視して学校に向かうが、八雲は気にせずその背中に語り続けた。 そして校門へたどり着くと、そこで大澤の忍耐力が臨界を向かえた。 振り返き様、八雲に左の拳を叩き込む大澤。 一見細身に見える彼だが、その筋力は常人離れしており、簡単に数メートル先まで殴り飛ばしていた。 痛々しく上半身を起こす八雲に、大澤はき
    水無月密 さん作 [547]
  • ベースボール・ラプソディ No.4

     翌日より大澤の勧誘を始めた八雲だが、そのしつこさは常軌を逸するものがあった。 さすがに授業中はおとなしくしていたが、休み時間になるたびに彼は大澤を追いかけまわしていた。 それは場所を選ばず、更衣室やトイレでもお構いなしだった。 最初は取り合いもしなかった大澤だったが、それが二日目にもなると、平常心ではいられなかったようだ。 その日の掃除時間、さっさと掃除を済ませてやってきた八雲は、教壇付近にい
    水無月密 さん作 [590]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.24

     永禄四年九月十日の川中島は、未明から深い霧が立ち込めていた。 昇り始めた日の光を濃霧に遮られる最悪の視界の中、行軍する武田信玄は一抹の不安を感じていた。 先日の軍議で重臣の飯富虎昌、馬場信房の両名から決戦すべしの提言をうけ、信玄は軍師の山本勘介が起てた啄木鳥の戦法を採用していた。 この作戦自体には何の不安も感じていなかったが、彼には他の要因で気掛かりな事があった。 それは前日に行った戦準備の炊
    水無月密 さん作 [379]
  • ベースボール・ラプソディ No.3

     不思議そうに八雲を見つめる哲哉。「そう思う根拠は?」「目だ」 即答する八雲に、哲哉は小首を傾げていたが、思いあたる事があると、笑みをうかべて頷いた。「そういえば大澤さんは野球の話をする時、無意識に目を逸らしていたな。確かに以前の誰かさんにそっくりだ」 そういって哲哉が笑うと、それに同調して八雲もカラカラと笑ういだした。「しかしなぁ、大澤さんを入れても八人だもんなぁ。あと一人、何とかしねーとなぁ
    水無月密 さん作 [575]
  • ベースボール・ラプソディ No.2

     それほどの大男に見据えられる哲哉だったが、臆することなく笑顔で用件を伝えた。「野球部への勧誘に来ました」 野球という言葉を耳にした途端、大澤は険しい表情で開口した。「失せろ、野球など、……二度とする気はない」 強く言い切る大澤。すると横で聞いていた八雲が、不思議そうな顔をして口を挟んできた。「あれ、大澤さんって野球嫌いなんですか?」 今度は大澤が不思議そうに八雲を見た。中学時代に名捕手として名
    水無月密 さん作 [703]
  • ベースボール・ラプソディ No.2

     それほどの大男に見据えられる哲哉だったが、臆することなく笑顔で用件を伝えた。「野球部への勧誘に来ました」 野球という言葉を耳にした途端、大澤は険しい表情で開口した。「失せろ、野球など、……二度とする気はない」 強く言い切る大澤。すると横で聞いていた八雲が、不思議そうな顔をして口を挟んできた。「あれ、大澤さんって野球嫌いなんですか?」 今度は大澤が不思議そうに八雲を見た。中学時代に名捕手として名
    水無月密 さん作 [442]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.23

    「この三年間、初代半次郎が私に託した遺志が何なのかが知りたくて、全国各地を巡りました。 そして戦乱に疲れた民衆の姿を目にした時、そこに捜し求めていた答えがあることに気付いたのです。 民は飢え、幼き子等は親を失い泣き崩れ、多く人が罪無く死んでいるのです。 彼等を救うには、上杉と武田が手を組んで戦国の世を終わらせるのが、最善の策なのです」 半次郎の心の叫びが辺りを支配ていした。上杉家の諸将達は、彼の
    水無月密 さん作 [458]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.22

     ならば策はあると、半次郎は考えた。「いずれ痺れを切らして武田は動くでしょう。 その際に武田は兵を二分し、一軍をもって上杉勢の背後を突き、もう一軍が八幡原でこちらが迫り出されてくるのを待って挟撃する。この策でくるはずです」 静かに頷いた政虎は、半次郎と同じ考えだった。 半次郎は更に続ける。「ならばこちらは武田の動きにあわせて先に千曲川を渡り、敵が合流する前に待ち伏せの一軍を叩く。これ以外、活路は
    水無月密 さん作 [430]
  • ベースボール・ラプソディ No.1

     雑然とした放課後の校舎。その廊下をドタドタと走る二人の少年。 ある者は迷惑そうに、またある者は奇異なる物を見るように、すれ違う生徒達は二人に視線を向けていたが、彼等は憚ることなく走り続けていた。「急ごう、ぐずぐずしてると大澤さんが帰ってしまうぞっ!」 左手を行く結城哲哉が促すと、連れの真壁八雲がおっとりと口を開いた。「なぁ、てっつぁんよぉ、その大澤さんってのは本当にそんな凄い人なのか?」「ああ
    水無月密 さん作 [746]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.21

     信州に流れる千曲川と犀川。この二つの川が出会う地が川中島である。 ここで四度目の会戦が行われたのは、1561年初秋の事だった。 この時の晴信は後世にも有名な信玄の号を使い、一方の景虎も関東管領に就任し、上杉政虎と改名していた。 一万三千の軍勢を率いて出陣した政虎は、信玄が信濃攻略の橋頭堡として築いた海津城を攻めず、そのまま妻女山に布陣していた。 遅れて到着した信玄も入城することなく茶臼山に二万
    水無月密 さん作 [464]
 
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