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はゆ さんの投稿された作品が4件見つかりました。
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抱きしめたい?
僕が、君を愛したのは必然で君を拾ったことも必然になるわけででも、そしたら君が背を向けたあの時も必然になるのかな―――…「旦那様、今日もいい天気ですね」庭の丸い白テーブルで本を読んでいた僕はふと顔を上げた。「お茶でも飲みませんか?」ティーポットとカップを持ってきて微笑む彼女がいた。「旦那様は、本がお好きなんですか?」どうして?とききかえしたら、彼女はむぅと頬を膨らませ「私と話す時はちゃんと私と向き
はゆ さん作 [165] -
抱きしめたい?
君を捨てた筈の閣下の部下が僕の屋敷を訪ねてきた時―――今更何の用だ、と、怒鳴りたかった。いくら彼女を傷つければ気が済むのだ、と。……カーキ色の軍服を着た男たちの都合のいい話を聞いている時だった。彼女が、とても不安そうな目で僕を見た。今思えばあれは同情だったのかもしれない。僕から離れていくことを罪に感じたのかもしれない。あんな繊細なガラスのような瞳は忘れられそうにない……僕は、(君にそんな目をさせ
はゆ さん作 [163] -
抱きしめたい?
「私は行きます。もう一度、閣下のもとで戦います。…決めたんです。あの人は……また私を必要としてくれたから」彼女は兵器だった。一度は壊れて捨てられた兵器だった。戦うことを忘れた兵器だった。…彼女はあの頃普通の女の子だった。*「それでいいの」愚かにも僕は彼女にそう言ってしまった。…それでいいに決まっていた。彼女にとって親であり、また敬愛すべき軍団長閣下は彼女の世界のすべてなのだから。「いいんです。…
はゆ さん作 [228] -
抱きしめたい
今でもたまに夢に出てくるあの後ろ姿に、胸が苦しくなる。僕はただそこに立っているだけで、君の肩から首のなめらかな曲線を眼に焼き付けていた風が、強く吹き付ける日だった。美しく吹かれる君の黒髪をかすりもせず、汽車のドアが閉まる。甲高い汽笛。ガラス越しの君が振り向いて、手を振った。笑いながら。僕もそれに応えて手を振った。君が笑っていたから僕も笑おうとしたんだけど、どんな表情をしていたのか実際のところは分
はゆ さん作 [671]
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