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くろつき さんの投稿された作品が93件見つかりました。
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BURNING!10
左を見れば体よりも大きなコンクリートのかたまりを片手で運ぶ道路工事の作業員。右手のカフェのウェイトレスは、大量のカップや皿をフワフワと宙に浮かせて運んでいる。上を見れば、郵便配達員が空を飛び、遅刻しそうなサラリーマンが瞬間移動を繰り返している。これが“九州特区”の日常の風景だ。全ては20年ほど前に遡る。当時、日本には“バカなマッドサイエンティスト”がいた。本名は授業で習った気もするが忘れた。だが
くろつき さん作 [332] -
BURNING!9
ふと脇に目をやると、真新しい表札のカード。管理人が書いて入れてくれたのか「風見」の文字。それだけでここが自分の家であるという実感がでてきた。「よしっ!行こう!」自分に気合いを入れると彼女は歩きだした。こうして、「ハリケーン・プリンセス(嵐の戦姫)」、風見 鳥花(かざみ とりか)は、新たな出会いの待つ、新しい“世界”へと、旅立った。「今なん分!?」後ろの水葉に聞く。「えと、25分!」「くっ!ギリか
くろつき さん作 [339] -
BURNING!8
着替を終え、さっぱりしたところで彼女は空腹を覚えた。そういえば昨夜からなにも食べていない事を思い出した。冷蔵庫を開けてみるが、昨日ここまでの道中に買ったミネラルウォーターしか入っていなかった。買い出しもしていないのだから当然だろう。「途中でなにか買うか…。」とりあえずミネラルウォーターを取り出して飲みながら、山積みの段ボールの中から制服を引っ張りだす。残念ながら新しい学校の制服は間に合わなかった
くろつき さん作 [313] -
BURNING!7
ストレッチを終える頃にはかなりの汗をかいていた。寝間着がわりのTシャツとショーツが肌に張り付いて気持ちが悪い。シャワーを浴びて着替えることにする。この部屋は二階の角部屋で、隣も下の階も空き部屋のため、早朝であっても気兼なく浴室が使えるのが嬉しい。このマンションの浴室は結構広い。このマンションを選んだ理由のひとつでもある。脱衣所に入り着衣を脱ぎ捨て、浴室の扉を開けようとした時、脱衣所の奥にある洗面
くろつき さん作 [322] -
BURNING!6
(いや…これも“慣れ”ってやつかもしれないな…。)実家では毎日5時起床が決まりだった。幼い頃からの習慣は、なかなか抜けないものらしい。(もう…関係ないのに…。)恐らくあの家に戻ることはもうないだろう。あんな事があった家には…。「んっっ…。」嫌な事を思い出しかけ、気持ちを切り替えるため、大きく伸びをする。「っ…はぁ…さて、どうするかな?」ずいぶんと早く起きてしまった。かといって二度寝する気分でもな
くろつき さん作 [326] -
BURNING!5
今のは手品でもなんでもない。私の《能力》であり、《九州特区》が生まれ私が“ここ”にいる理由でもある。「あ〜〜っ!!」突然、水葉が大声をあげた。いつも冷静な彼女にしては珍しい。「真紅っ!時間っ!」時計を見ると8時20分をまわる所だった。学校まで自転車で10分。ギリギリの時間だった。「っっ!」慌てて鞄を抱えると水葉と一緒に玄関を飛び出した。「いってきまーすっ!」こうして、「BURNINGガール」と、
くろつき さん作 [344] -
BURNING!4
「へぇ…。」気のない返事を返しながらその“転校生”の事を思うと複雑な気分になる。“ここ”に来るということは、それなりに辛い思いをしている…ということだからだ。そう、今テレビで言った《九州特区》とは真紅達のいるこの場所のことなのだ。《九州特区》は…。「ぅはよ〜…」その時、眠たげな声とともに現れたのは、父の暁(あきら)だった。ボサボサの頭に無精髭、ヨレヨレのTシャツに短パンと情けない姿だが、実は売れ
くろつき さん作 [317] -
BURNING!3
テーブルにつくとあかねが慌ただしく朝食を運んできた。「ほらほら、早く食べちゃいなさい。水葉ちゃんはもう済ませちゃったわよ!」私は出されたトーストにかぶりついた。水葉は“ある事情”により、うちから歩いて二分ほどのマンションに一人暮らしをしているのだが、あかねの強い勧めにより朝・夕食は家で食べているのだ。玉子焼きを口に放り込みサラダを詰め込むとオレンジジュースで流し込む。「真紅…体に悪いし行儀も悪い
くろつき さん作 [349] -
BURNING!
時計を見るとちょうど8時になるところだ。はっきり言って遅刻寸前。慌ててベッドから飛び出す。「なんでもっと早く起こしてくれないのよ〜っ!」壁のハンガーから制服を引ったくり、パジャマを脱ぎ捨てる姿を見て、あかりは「ハァ〜。」と大きな溜め息をつくと、「明日からフライパンにしようかしら…?」などと、物騒な事をつぶやきながら部屋を出ていった。着替え終わると階段を駆け降り、洗面所で手早く身支度を整える。こう
くろつき さん作 [363] -
BURNING!
ぱこーーんっ!!彼女の朝は、いつものように甲高い小気味よい音と、頭部に走る衝撃と激しい痛みで始まった。「っっっ…た〜いっ!」思わず飛び起き頭を抱える。「あら、また曲がっちゃったわ。安物はダメねぇ。」その声に顔をあげると、母であるあかねが困ったような顔で立っていた。その手には柄が見事に曲線を描いた「おたま」(料理に使うアレだ)が握られている。「やっぱり高くてもいいもののほうがいいのかしら?でも真紅
くろつき さん作 [425]