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友愛数 さんの投稿された作品が88件見つかりました。
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いつかまた〜78〜
響との約束の時間まで、適当に時間を潰した。ソワソワして落ち着かないけど、響を想うと、堪える事ができた。響は、今日、ちさに別れを告げる。ごめんな、ちさ。俺らのワガママで、振り回してばっかりで。夕方。秋の足音が聞こえてきそうな夏の終わり。薄暗くなってきたその時、約束の時間が来た。僕は、公園へ戻った。まだ、二人の姿はない。ベンチに座ってしばらくして、辺りを見渡すと…いた。公園へ入ってきた二人を見つけた
友愛数 さん作 [121] -
いつかまた〜77〜
次の日曜日。僕はちさと歩いていた。「どこに行くの?」「ん。いいから、ついて来て」今日だけは時間を空けておいてくれ、と頼んでおいた僕は、ちさを連れて市内の公園へと向かった。そこで待っていたのは響。「行って」どうしてなのか分からなくて、不安げに僕を見るちさ。「後で迎えに来るから」僕の言葉に、1歩、2歩…響に近付いて、ちさはまた僕を見た。僕は、頷いた。ちさが響の元に着くのを見届けてから、僕はその場を立
友愛数 さん作 [202] -
いつかまた〜76〜
屋上にやって来た。柵に手をかけ、「なんだよ?まさか、ちさを諦めたとか言うんじゃないだろうな?まー、そっちの方が俺は助かるけどー」ふざけ半分に言う僕を見て響は、ふっ、と笑った。そして。「俺、日本離れるわ。制作も終わったし。やっと、金も貯まった」へ?「フランスへ行く」思いもよらなかった響からの告白だった。響は、全てにケリをつける…そのくらい清々しい顔で言った。「な…んで。学校は…?」「学校は辞める。
友愛数 さん作 [178] -
いつかまた〜75〜
できた。僕らが制作していた、6匹の猫達のコマ撮り物語。出会いから始まり、笑いや喧嘩や…この2年半の色んな想い出を詰め込んだ。6人揃って、提出に行く。「ご苦労さん。後で観ておくな。一段落したんなら、そろそろ、卒業課題に向けて皆準備しとけよ」先生が言った。「んっあーーーっ!終わったねーっ!って、すぐ卒業課題だけどーっ!」恋歌が背伸びしながら言った。確かに、この数ヵ月間、公私共に濃いものだった。最後に
友愛数 さん作 [69] -
いつかまた〜74〜
「ちさ、今日こそクローバー取りに行こう?」ずっと後回しにしていたラストシーン。完成間近となってた僕らの制作。そろそろ撮影に入らなきゃならない。ちさは、「う…、うん…」なんとも言えない微妙な返事。ちさが、僕と響の間に挟まれて、どうしていいか分からないでいるのは分かってた。僕と響は、しばらくちさの気持ちを無視して、突っ走ってきた。放課後。ちさと、クローバーとしろつめ草を、根っこから掘り出した。「これ
友愛数 さん作 [76] -
いつかまた〜73〜
それからというもの、響と僕の、【ちさ争奪戦】が始まった。昼休みになれば、どっちがちさに先に声をかけ、一緒にご飯を食べるか。見掛けりゃ、「俺も」と同席する。合同授業があれば、「寄って」いつも通路の向こう側に座ってた響が、ちさを挟んで同じ座席に座るようになった。ちさは、オロオロと、僕と響の間に挟まれてた。1度、恋歌に一喝された事があったな。こま撮りを進める中、ちさ猫の隣の所有権を地味に争っていた僕ら
友愛数 さん作 [82] -
いつかまた〜72〜
ちさとも、ちゃんと話しないとな…ちょっと気分が晴れたからって、都合いいけど……僕は昼休み前、ちさの教室に向かった。みんなが食堂や外へ向かう中、ちさは席についたままだった。机の上に出した弁当に手をかけて、ぼんやりしていた。「ちさ」僕に気付く。笑顔はない。それは、仕方ない…「昨日、響んとこに行ったんだって?」「あ…うん…ずっと学校来てなかったから…。お父さんに大きな仕事が入ったから、手伝ってたんだっ
友愛数 さん作 [79] -
いつかまた〜71〜
考えるって、何を?何をどう考えればいいんだよ…僕は完全に暗闇の中にいた…。それからも、脱け殻のような日々が続いた。ちさと約束してた、クローバー畑も、未だに取りに行く事はなかった。週末を開けて…。響が学校に来た。今度は響が僕の隣に座り、こう言った。「昨日、ちさがバイト先に来た」「……!…」「あの時の事、なんも言わねぇの。ただ、なんで学校来ないのか、みんなが心配してるって言いに来た」「………そっか…
友愛数 さん作 [216] -
いつかまた〜70〜
そんなある日。「ちょっとこっち来て」恋歌が僕を呼び出した。「……なんかおかしいでしょ。あんたとちさと響。何があったの?」「……………」「………言いたくないならそれでもいいけどさ…智と梨玖も心配してるよ?あたしだって」「……………」「……………」みんなに迷惑かけてるのは分かる。明らかに、みんなに気を遣わせている。1番望んでなかった事だ。僕の答えを待つ恋歌に、「……響……ちさの事好きだったんだよ」吐
友愛数 さん作 [183] -
いつかまた〜69〜
教室に戻ると、ちさは席に座り、呆然としていた。響の気持ちに気付いただろうと思う。僕は。「今日はやめとこうか…。また気持ちが落ち着いてから、取りに行こう」それが、どれだけ残酷な言葉だったか、知るのはもっと後になってからだった。トーマはいつも見守っていてくれる…。そんなちさの言葉が、脳裏の端の方へ追いやられてく。僕は自信がなくなっていた。それから。響は学校にも来なくなった。「響、どうしたんだろね?作
友愛数 さん作 [239]