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真希 さんの投稿された作品が44件見つかりました。
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過ぎゆく時の中で〜vol.5
小旅行にも対応できる程度の黒いバッグは、中身が詰まっているのか、パンパンに膨らんでいた。言われるまま、両開きのチャックを恐る恐る引いてみると、そこには…。百万円ずつくくられた札束が、一億円以上あるだろうか俺は膝の震えが止まらなかった。(全てあなたに、差し上げてもいいわ)婦人はそう言うと歩み寄ってきた。事の重大さに実感がもてず、ただボーとしてしまっているだけの俺に(ただ私を満足させるのが条件よ)あ
真希 さん作 [471] -
過ぎゆく時の中で〜vol.4
声のする先へ薄暗い奥部屋へと向かった。(さぁ、ここえ)言葉の主は、ゆったりとしたレザー張りのソファーに腰かけている。年のころ40代前半だろうか?黒く大きな帽子からは、レースが垂れさがり、顔を覆ってよく見えずノースリーブの腕から指先まで黒いレースが肌の露出を妨げていた。まるで外国の葬儀に出席するような出で立ちだった。(そこへ座りなさい)そう言うと、対面した椅子を指さした。俺は、この密室での非現実的
真希 さん作 [485] -
ただ、あなたが好き…
彼が好きだった…どんな事をされても、彼だけを見てきた。食事が不味いと殴られ、電話をしている彼に近付き殴られ、寝ている時でさえ殴られた…それでも、彼を思い続けた。「そんな男やめなよ。」友達は、口を揃えて同じセリフを繰り返す。いいの…私は彼が好きなの…殺したいほど…そんな彼が、新しい女を作って家を出た。私に何も言わずに。ただ、愕然とするだけ…彼が私に残したもの…そう。体の、あちこちに出来たアザだけ。
真希 さん作 [908] -
過ぎゆく時の中で〜vol・3
事務所から指名を受けた俺が、向かった先は億単位の立派な家屋が建ち並ぶ高級住宅街だった。立派な観音扉が自動に開くと、玄関まで誘導する大理石が数メートルあり、日本庭園が一望できる広さだった。恐る恐る、お手伝いさんらしき人に案内され、長い長い廊下の先に銀の鉄扉が見えた。「ここは奥様が交友関係の方と使用するお部屋です。」そう言うとお手伝いさんは、扉を真っ直ぐに見据えた。素材を生かした和風住宅とは似つかな
真希 さん作 [623] -
過ぎゆく時の中で〜vol・2
体を酷使した結果だった…胃や肝臓の機能が著しく低下し、検査の結果1ヶ月の療養を要するとの展開だった。客の酒をあけてナンボの商売なのに、これではホストとして致命傷だ。こうして、不本意にも幕を閉じたのだった…リセットを余儀なくされ、苦しくもベッドでの生活をする日々の中で、あるスポーツ新聞の産業広告を見つけたのだ。(出張ホスト求む!)ホストはホストでも、勝手が違う事は想像がついていた。全ては半信半疑だ
真希 さん作 [608] -
過ぎてゆく時の中で〜vol.1
過去を振り返る事は、基本的に好きではない…が、しかし今から話すドラマを通じて、皆さんが過ぎてゆく時の中で、大切な物は何か?を感じてもらえたら幸いです―\rこの世に生を受け、男という性別を与えられた俺が、異性に対して夢中になった時期の話だ…ひょんな事から、童貞を近隣に住む20歳の女性に奪われた。中学生の俺は、手も足も出せず電光石火に過ぎた行為に愕然としていた…男として生きていく為に、性体験が自分を
真希 さん作 [721] -
雨の中の殺人4
中井さんは、いったい何を言いたかったのか。それについては、すぐに検討がついた…優しい彼氏。ヒロには二面性があった…いつもは、優しく何か失敗しても、励ましてくれる心の広い彼だ。私は、それが彼なのだと信じた。いや、信じたかった―\r彼と付き合って3ヵ月になろうとしている時だった。その日は、風が強く雨は激しく降り、台風が東京を覆っていたと記憶している。傘をさし、彼との待ち合わせにいつも使っている小さな
須賀 さん作 [485] -
涙―4
それから、母は体調を壊してしまった。体調の良い日は、起きれるが体調が悪い日は寝て過ごす日が続いた。祐介とは、時間を作って公園など近くのありふれた所で過ごす様になった。「お母さん、早く良くなればいいね。」近くでしか会えない事を、私が謝る前に気を使って言ってくれたのが、すごく嬉しかった。母は、肺炎を起こし入院する事になった…私は毎日、病院で過ごす様になり、祐介と会う時間も少なくなってきた頃。祐介と、
まきまき さん作 [396] -
涙―3
彼に、デートをしようと誘った。少し困った顔をする祐介を、強引に明日、デートをすると約束させた。出会って、約5ヶ月―\r彼を好きになった。笑顔が大好きだった。約束の日の、約束の時間に祐介はきちんと来てくれた。「来てくれて、ありがとう」私は、最高の笑顔でお礼を言えた。彼も笑ってくれた。その日、彼は笑っていてくれた。私も彼の、おかげで笑っていられた。「祐介が好き」押しつぶされそうな胸で、やっと言えた…
まきまき さん作 [541] -
涙―2
私は、それから毎日のようにコンビニに寄った。彼の笑顔が見たくて…兄が死んでから、私はいつ笑ったのだろう。母の笑った顔も思い出せなくなっていた。そんな私に、彼の笑顔はとても暖かかった。「いつも寄ってくれるね。家、近いの?」彼が声をかけてくれた。「はい、すぐ近くですから。」最初は、こんな会話だった。彼は、19歳。長身の笑うと可愛い爽やかな人。それから、私が彼女はいるの?と聞くと悲しそうな顔で、いない
まきまき さん作 [488]