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まりこ さんの投稿された作品が62件見つかりました。

 
  • 子どもは家を選べない〜その31〜

    たいへん小柄だった結衣子が、小さな騎士に尊敬の念を持ち、関心を持つことは【小さな小さな恋】だったのだろう。 結衣子は、親元にいなくて不自由な思いをする時期に、集団生活に身をおき成長していく彼らが、通常、親元で甘やかされて育つ子ども達の数倍、規律や習慣を身につけていくのを頼もしく感じていた。自らも、物心ついた時から、扱いの難しい妹の世話をしたり、家族に入院をするものがいて、一人で家にいる煩い生活
    真理康子 さん作 [747]
  • 子どもは、家を選べない〜その30〜

    まだ三才以前の子どもが、規律の中で自分を律して成長していく姿は美しい。 ましてや、親や親族のいない世界で泣くということは、同時に泣いても事態というものは、さして変わってくれるものではないという『あきらめ』を、学習する。 結衣子は、何故かしら、施設の奥に通してもらえなかったが、諦めたり、自己主張を繰り広げながら、ルールを取得していく『小さな恋人』達に感銘しながら見守った。 やがて、職員に問いただ
    真理康子 さん作 [762]
  • 子どもは、家を選べない〜その29〜

    結衣子は、子ども心に、彼らがなんらかの理由で親元にいない子ども達だということを感じていた。 そして、誰一人、華美な服装をしていないことも感じ取っていた。 この施設にいる子ども達が、皆、一人で泣き、一人で自らの役割を果たしていく様を、結衣子は、何故かしら、胸の痛む想いで『見守』った。 親元にいないだけでも心細いのだから、泣いたり悲しんだら、人一倍、回りの大人が親身になるべきだ、一人で泣かせるなん
    真理康子 さん作 [734]
  • 真理康子

    その子は、いつも、泣いていた。 そのためか、結衣子は、あの子は、絶対どんぐりまなこにならないな…とはしなかったが、勝手に思い込んでいた。 『赤ちゃん』は、ベッドで泣いているものといった思い込みももっいたが、『彼』が泣いていても、寄り添って甘い言葉をかける大人がいるわけでもなく、ひとしきり泣いた後、『彼』は、自分の『仕事』をしていた。 何かしら、正座をして、布状のものをたたんでいるように見えた。
    真理康子 さん作 [872]
  • 子どもは、家を選べない〜その27〜

    結衣子の祖父は、戦時中に、代々見守ってきた神社を、国に委ねるという形で、神官の場に戻ろうとはしなかったが、時間があれば、縁の施設を訪ねて歩いた。 それは、母子寮であったり、孤児院であったり、乳児院であったりと、数にすれば、9つくらいの規模で、祖父は、職員と懇意な様を結衣子は感じていた。 ただ、他の親族からも、誰も同々させず、常に自分だけが連れられているので、子供である結衣子にとっては、退屈な時
    真理康子 さん作 [640]
  • 子どもは、家を選べない〜その26〜

    さて、大病の上に、家庭内に問題を抱え、友人に恵まれたとはいえ、もたれ掛かる伴侶を持つでもない結衣子が、かくも、折れずに、自らの仕事と育児を成し遂げ、社会貢献に身を投じることが出来たということは、ある種の奇跡なのであるが、一体、何をして、結衣子の心を支えたのだろうか?実は、それが、40年近く遥か遠い日の思い出である処に、人の心の強さというか、人の心の不思議さを垣間見るのである。
    真理康子 さん作 [735]
  • 子どもは、家を選べない〜その25〜

    霞は、立ち上げを決めるや否や、手作りのチラシを作ると、これ見よがしに、結衣子の家のポストに放り込んだ。 チラシを見ただけで、千鶴子や房子は、長年の言動に気づいて、家庭内での振る舞いを改めるのではないか…結衣子の良識ある父親を知っていて、結衣子を長く知る霞は、大変良識的な期待を抱いていた。ところが、現実には、そのチラシを見た千鶴子達は、『こんな、ひどい母娘なんて、作り話の中にしかいないな。作りす
    真理康子 さん作 [674]
  • 子どもは、家を選べない〜その24〜

    これを機に、ずっと、結衣子の業績を認め、なんとか、結衣子の名前に傷つけずに、房子と千鶴子の醜態を晒して、結衣子に実家と縁を切る助力のチャンスを待っていた、かつてのアングラ劇作家であり、団の主演女優、春川霞は、この一家の惨劇を舞台作品に纏めた。効果を狙って、房子と千鶴子は、醜悪な餓鬼をイメージした。醜い精神を形にするということは、ストレートに地獄絵図を当てはめると老若男女に伝わりやすい。霞は、大
    真理康子 さん作 [609]
  • 子どもは、家を、選べない〜その23〜

    自業自得とはいえ、房子の失言は、房子自身の精神疾患を浮き彫りにさせる結果となった。 結衣子の主治医は、姉に対する50余年に及ぶ房子の嫌がらせに対して、まず、家庭の中で指導が行われていなかった事を重要視した。 大抵の子供が、家庭や学校で人が嫌がる事をしないよう、又、自他のモノの識別等が必要であると、常識的に指導を受けているはずなのだが、例外を前にして、結衣子の長年の心痛に同情した。
    真理康子 さん作 [651]
  • 子どもは、家を、選べない〜その21〜

    そして、結衣子にとっても不自由になっていく過程に、千鶴子と房子が、現実に正気でなくなってきていたことがある。 人づてに、房子が、酔っぱらって、散々、世の中を呪うような醜態を方々 で晒していると聞いた。おそらく、綺麗な飲み方ではないだろう。房子が飲み屋から帰ってくると、異臭を放っていた。本人は、ぐだを巻いて周囲に迷惑をかけては眠りこけ、更なる迷惑をかけては平気で帰宅するが、店も、近くにいた人間も
    真理康子 さん作 [608]
 
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