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まりこ さんの投稿された作品が62件見つかりました。

 
  • 子どもは家を選べない〜その20〜

    房子には、深く考える能力がなかった。 姉の結衣子が心を込めるものは、羨ましいと思う気持ちと同時に、自分も欲しくなった。 苦労をして手に入れるということは考えず、くすねとることに喜びを感じた。母親譲りのさもしい感情は、富ある者を妬み、口汚く謗ることが楽しいと感じられた。 姉が自分を避けるとみるや、これでもかといった嫌がらせを続けた。 カウンセラーの結衣子には、それが関心を示していることは理解でき
    真理康子 さん作 [724]
  • 子どもは、家を選べない〜その19〜

    それでも、結衣子は、仲間や友人に恵まれ、翔を本当の意味で守っていくのは、親である自分であるという自負で、不幸を感じたことはなかった。 人は、暗いことを考えていれば醜くなり、その反対の場合には、やはり、それなりに反映するものがあった。 結衣子は、隣近所や親戚の者からも綺麗ですね。妹さんと歳が逆みたいですねと声をかけられることが多かった。 病気を患う以前の自分の姿にウェイトを占めて、その辺りは、社
    真理康子 さん作 [695]
  • 子どもは、家を選べない〜その18〜

    結衣子は、それとなく、翔の気持ちを察していた。 起きて階下に降りれば、食事の支度が出来ていて、家があり、そこそこの暮らしが出来ていれば、外であくせく働かなくても良いじゃあないかと思う若者が増えていることは知っていた。と、いうか、それではいけない、若者よ、汗を流して働こうと呼び掛ける側のカウンセリングをしてきた。随分、成果もあった。まさかの、息子の有り様に、やるせなさのなかにいた。自分に助けを求
    真理康子 さん作 [652]
  • 子どもは、家を選べない〜その18〜

    翔は、もう、何もかもが終わって欲しいと願っていた。 祖父が生きていた時は、祖父と叔母の房子がペアになり、それなりに、家族が五人揃って自分に好意的な大切な存在だった。 叔母の自分に対する過干渉も、今よりはマシだった。 一人っ子の翔にとって、家族はかけがえのない存在だったのが、祖父の死後、形がいびつになった。 祖父という、バリアがなくなり、叔母も祖母も過剰に自分に向かってきた。 自分に対して、良く
    真理康子 さん作 [697]
  • 子どもは家を選べない〜その17〜

    ここまで書いてきて、中傷の書き込も見つけたので、小説の分野から、問いかけを行います。 結衣子さんのモデルや、そこに出てくる家族は実際に、今、生きて、この世にあります。 これは、事実なのです。 ただ、昨今の日本社会は、隣の家で、このような事がおきていると、うっすら察していても、他人の家に入り込む事が躊躇されて、何かが起きてから、ああ、私、そんな気がしてたと口にするのが関の山です。 戦後の日本は、
    真理康子 さん作 [1,021]
  • 子どもは家を選べない〜その15〜

    一族にとって、千鶴子がこの家にいること自体、辛抱しがたいものがあった。 若い頃から、絶えず、異性問題で醜聞を流し、その相手は決まって近親者の知り合いだった。 幼い姪をして、「千鶴子おばちゃんは、私ら女の従姉妹には興味がないよ」と言わしめた。 房子には、一人も言い寄る相手はなかったが、結衣子に想いを寄せる相手には、ことあるごとに近寄り、男性と話す喜びを味わった。調子があがると、卑猥な話を口にした
    真理康子 さん作 [641]
  • 子どもは家を選べない〜その15〜

    千鶴子と房子は、気持ちの優しい結衣子等の父親が、ストレス〜来た胃の病でなくなったことを知っていた。 結衣子がストレスに弱い体質だということもわかっていた。 モノをかすめても少々不機嫌な表情を見せるだけで(二人には、それさえ快感だった)、通りすがりに聞こえよがしに嫌味を言ったり、本人には自分の姿が見えていないので滑稽なだけだが、結衣子の視界で首をすくめたり、手を掲げたりと、思いつくままに嫌がらせ
    真理康子 さん作 [646]
  • 子どもは家を選べない〜その14〜

    ただ、結衣子は、幼い頃から表彰をよく受けた。 親に恵まれない数に反比例して、何気ない遊びの中で描いた絵や、奏でた音を認めてくれる大人に多く出会えて、テレビがまだ一般家庭に普及しない頃からテレビ出演の機会を得た。 それを自慢して歩くのは、千鶴子には嬉しいことであり、実際、逢う人毎に、結衣子のテレビ出演は、千鶴子に声掛けがあった。
    真理康子 さん作 [561]
  • 子どもは家を選べない〜その14〜

    はじめは、物珍しさで気分を高揚させて子育てに臨んだ千鶴子だが、実際の家事や大変な部分は、千鶴子の父親を筆頭に、二人の妹や、たまに立ち寄る母親が担った。 結衣子が通常の子どもより優れていると周囲が言えば、その功績は、すべて、母親である自分のものだと千鶴子は誇った。 自分の連れ合いが、親兄弟の面倒をみているのも、自分のお蔭なんだと思うと、何から何まで誇らしかった。 そのうち、結衣子が皆に可愛がられ
    真理康子 さん作 [605]
  • 子どもは家を選べない〜その14〜

    千鶴子は、田舎での生活の中、周囲が自分の都会育ちをめずらしがっているのを感じると、また、異性に浅ましい感情を抱き、既に婚約者のいた結衣子の父親と上手く結婚に漕ぎ着けた。この、好青年が、裕福ではないが、没落した一族の面倒を見てくれることに気をよくした千鶴子の母親は、千鶴子の素行がバレないように、将来的なスキルをつけさせるという口実で、借金までして、千鶴子を又々都会の女学校に通わせた。もちろん、下
    真理康子 さん作 [596]
 
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