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まりこ さんの投稿された作品が62件見つかりました。
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子どもは家を選べない〜その7〜
児童虐待は、一種類ではない。 子どもに対して無関心なネグレクト、外から傷を追わす仲間には性的虐待も含まれる。 もっとも厄介なのは、精神的な苦痛を与え続けることであって、外傷と、危害を加える側の良心の呵責が少ないために、周りも加害者側も、それが虐待であるとは気付かないケースが多い。まさに、一軒の家の中の密室性がそれらに拍車をかけた。 幼い子どもなどは、その苦痛から逃れるために、卑怯な生きざま
真理康子 さん作 [825] -
子どもは家を選べない〜その7〜
結衣子の病は、重かった。 ただ、過剰なストレスを与えない限り、その症状は、軽くて済んだ。だが、あまりにも、自分勝手な千鶴子の言い分と、ナイーブな親友が傷つくことの悲しみを思うと、輝かしい、地域の名門高校への進学が囁かれ、心ひそかに、そういった期待に添おうと日夜励んできた健気な少女には、耐え難い苦しみとなり、以前からあった脳腫瘍を刺激した。 毎月のMRIなど存在しなかった世界では、結衣子は、た
真理康子 さん作 [787] -
子どもは家を選べない〜その7〜
千鶴子は、焦っていた。 なぜ、結衣子は、からだを壊さない? ずいぶん、遠い昔、不倫がうまくいき、つい、誰かに自慢したくなった。 相手は、結衣子の親友の父親である。 近いうちに、二人の生活を築ける目処もついた。 本来、舞台で歌を歌いたいような千鶴子にとって、この嬉しい秘め事を黙り続けるのは億劫だった。 ちょうど、そこに、不倫だと聞けば、嘆き悲しみそうな、親から見ても、清廉潔白そのものの実娘がいた
真理康子 さん作 [1,364] -
子どもは家選べない〜その6〜
今回、結衣子が服を買うには訳があった。 結衣子は、情けない家族に心の中で決別してきたことを行動に移す予定だった。 実の親と妹と縁を切ることは、人に、心の有り様等を語る立場の人間は、あまりしようとはしないだろうが、結衣子は、あえて、彼女達との別離を選んだ。 それにしても、60年に近い日々を、ずいぶん、くだらない感情に付き合わせたものである。
真理康子 さん作 [981] -
真理康子
梅が、香った。 結衣子は、ゆっくりと坂道を登った。 今日の仕事を終えたら、一着、服を見に行くことにしていた。 贅沢でもなんでもなく、結衣子は、時たま、外出用の衣類を買った。 若い頃より、自分で働いた賃金の一部を、おしゃれに使った。 それは、ずいぶんささやかな金額でも、結衣子にとっては、自力を振り返る良い機会であった。一人息子の衣類も、モノの良いものを選んだ。 若い頃、買った服は、千鶴子と房子が
真理康子 さん作 [1,208] -
子どもは家を選べない〜その5〜
裕福な家に生まれ、夢うつつであるからなのか、千鶴子は、恋をしている自分に酔う女であった。 小学生の頃、結衣子は、母親の不倫に怒った父親が、母親をしかりつけ、泣きながら飛び出したのを、追わされたことがある。 千鶴子は、悲劇の主人公であった。 電話ボックスに飛び込むと、泣きながら誰かに電話をしている。近寄ると、劇の中にいるような千鶴子の泣き声が聞こえた。「いいの!」まさに、なりきりプリマドンナの様
真理康子 さん作 [801] -
子どもは家を選べない〜その5〜
房子は、本当に、頭が弱い。 結衣子は、そう、あわれんでいた。 自分は、生まれた時から、祖父が側にいてくれて、やっていいことと悪いことは、厳しく教えてくれた。 祖父は、母親、千鶴子の父親であった。 千鶴子は、裕福な生まれでありながら、心が貧しく、異性への関心が人一倍強い、祖父母の口をして【出来損ない】そのものであった。
真理康子 さん作 [1,111] -
子どもは家を選べない〜その4〜
結衣子は、ふと、思う。 自分は、この母と妹に出会うことによって、何か、大切なことをしなければいけないのではないか? それは、幼少時に、かわいい、かわいいと呼ばれて育った記憶から、病により無くしてしまった美貌へのコンプレックスから立ち直る、一つの方法でもあった。 他に、自身を献身的に夢中にさせることで、姑息な関わりに陥ることを免れようと足掻いた。 幸い、福祉面には、常に人手が足らず、受け入れて役
真理康子 さん作 [1,371] -
子どもは家を選べない〜その3〜
結衣子が、親や妹に関心を薄く出来たのは、おそらく、自らの病で、顔立ちや体型など目に見える部分と共に、進路自体を確保できなかった喪失感を、自らの手で修復するのに手間どったからである。幼少時は、何があっても、常に明るい方に導いてくれる祖父がいた。 この祖父によって、あらゆる不幸を、他人のせいにして、それをどうこうしてくれなどとは言わないように育っていた。 祖父なきあとの財産である。 ただ、やはり、
真理康子 さん作 [1,066] -
子どもは家を選べない〜その3〜
結衣子は、自分の家族でありながら、房子達の神経を、疑っていた。 病と決めつけ、その奇異な行為を取り上げようとはしなかった。 例えば、結衣子が、来客用の二重のトイレットペーパーを仕事場のトイレに据え付けておくとする。 母親の愚かな振る舞いは、真夜中にトイレに入って、その表面の紙を体に巻き付け、カシャカシャ音を立てて結衣子のそばを通って、自室に持ち込み、平然と、自分の買い物のような顔をするといった
真理康子 さん作 [1,397]