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睦月 さんの投稿された作品が64件見つかりました。

 
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    平田はなにがなんだか分からなかった。 いきなり立ち上がった友人の下腹部から、長い鈍色の刃物が突き出たからだ。 なんの前触れもなく、いきなりすっと飛び出た刃物。言葉なく、平田はゆかりを呆然と見つめていた。 「あぁ、外してしまった」至極残念そうな声がした。年輪のみえる、男の声。 ずるりと頭身が引き抜かれゆかりが倒れた。 倒れたゆかりの背後から、「…まえ、ばし…?」前橋が、眉根を寄せながらゆかりを見下
    睦月 さん作 [553]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    皮の剥げた古いソファに座らされ、ゆかりと平田は居心地悪そうに体を、気付かれない程度にゆすった。 前橋はお茶を煎れてくると言って、備え付けの電熱ヒーターのあるところまで行ってしまった。 部屋を一回、ぐるりと見渡す。いつもどうりの乱雑とした室内。黄ばんで変色したコピー用紙をホチキスで纏めた束や、曼陀羅のタペストリー。なぜタペストリーが床にでかでかと敷かれているのかは不明だ。棚は備え付けと新しく作った
    睦月 さん作 [378]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    ざっくりと切られて、血のにじみ出た腕。 脇には腹部から血を流して顔面を蒼白にしたゆかりが横たわっていた。 平田は何も考えず、素早くゆかりの体を拾い上げ、研究室から飛び出した。 くたり、と力なく垂れ下がった頭を胸に押しつけて、ゆれないようにしながら、平田は歯噛みした。(畜生、なんだってんだ)ことの起こりは5分前だった。 「失礼します」ゆかりと平田は前橋巧の研究室の扉をノックした。 「入ってくれたま
    睦月 さん作 [369]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    前橋卓巳はその口髭をたっぷりとたくわえた口元をさすった。 目の前には桐の木の箱に入った古くさい、いや今ではぼろぼろと言っても過言なほどではない、ひとつの貝殻で出来た眼帯がひとつ、後生大事そうに真綿に包まれていた。それを懐かしそうに指で撫で、口元に笑みを浮かべた「勘助。」その呼び名にはいささかの侮蔑と憎しみ、そしてたくさんの懐かしさがにじみ出てくるようだった。一瞬、彼の姿と、墨染の法衣姿の体格のよ
    睦月 さん作 [888]
  • 超年下彼氏3

    「真由子」現実に引き戻される声。 低くも高くもない声はまだ声変わり前だからだ。私はおびえたように前を見つめる。 前には翔くんの顔。 目は切れ長で、少しだけ黒目が大きい。鼻は高い。顔のラインがすっきりとしていて、顎が少女のように滑らかだ。 体は細身で、手足が細く、若木のようにしなやかに長い。これで長距離走れるんだからすごいなぁと嘆息する。だからかもしれない。「わたしも」気がついたら口にしていた「わ
    睦月 さん作 [408]
  • 超年下彼氏2

    彼とは幼なじみ。 私が5歳か6歳くらいのころ、近所のお姉ちゃんが赤ちゃんをつれて帰ってきたことだけは記憶している。だから、おしめも変えたこともあるし、ミルクも飲ませた思い出もある。 それから彼はすくすくかっこよく成長していき、ついに彼が小学校6年生の柔らかな初春の昼下がり「真由子が好きだ」と告白された。 私には当時彼氏がいたから断った。 「俺、諦めないから」彼はぐっと涙をこらえた声で呟いた。 「
    睦月 さん作 [421]
  • 超年下彼氏

    「俺おまえんこと好きだ」やけに大人びた声で、二度目の告白をされたのは高校二年生の秋。風のにおいに稲穂特有の青臭さと、秋のゆるやかになりはじめた太陽の温さの残る夕焼け。 場所は前から不良の溜り場と噂の神社の参道という最悪なシチュエーションなのに、嬉しくて切なくて胸がときめいた。どんなときでもどんな場所でも好きな人に告白されれば嬉しい。 だけど わたしも。とすぐに言えなかった。 夕日に照らされて幼い
    睦月 さん作 [406]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    「…あの部屋か…。」急に平田は遠い目をした。本当にいきなりだったからゆかりはちょっと驚いた。「どしたよ、平田。」「…うん、なんか悪夢がよみがえってきてさ…。」彼は過去二度ほど、変人部屋(スプーキールーム)に足を踏み入れたことがありそのたびに泣きそうな顔で「二度といくもんか!」と叫んでいた。何があった平田。自分は足の踏み場を探すことと変な品物を見たくらいだったのだが、彼は予想外の出来事に出会ってし
    睦月 さん作 [446]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    ゆかりの通う大学は、そこそこ地元では名の通ったところだった。 地元の名士が作ったこの大学は、私立のくせに広大な敷地と、十分すぎる施設設備、親切な教職員のいる、人気の大学であった。ゆかりはそこの経済学部に在席していた。「戦国武将ゆかりの品?」ゆかりは同じゼミの平田健吾から変なことを聞いた。「そーなんだよ。今日なんでか知らないけど、それがうちの学校に来るんだと」珍しい、とゆかりは呟いた「歴史学とか考
    睦月 さん作 [436]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    「んでも、それだけじゃない気がする…。」生々しい、あの感情。今さっき、自分が受けたかのようなあの感動、あの忠誠。そして、強い憧れにも、焦燥感にも似たなんとも言えない気持ち。夢にしてはリアルすぎる。ぼんやりしだしたゆかりに「ゆかちゃん、最近レポートで忙しいって言ってたじゃないか。…ちょっと疲れてるんだよ」そう、叔父の尚孝は苦笑した。 そうかなぁ、と呟くと、ゆかりはかぶの浅漬けをひとくち齧った。今日
    睦月 さん作 [399]
 
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