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睦月 さんの投稿された作品が64件見つかりました。

 
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    「変な夢?」やっとのことで布団から起き上がり、身仕度を終えたゆかりは、朝食の席で夢のことをなんとなく切り出してみた。それに反応を示したのは、従姉の田村茉莉花。首の高い白い長袖ニットにジーンズのミニスカート。その下はカラータイツ。アクセサリーはピアス以外一切ないが、こざっぱりとしていて嫌味がない。顔立ちも優しげで、すごく綺麗な顔立ちをしている。背中まで伸ばされた髪を、今日は項の低いところで纏めてい
    睦月 さん作 [478]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    「勘助。」穏やかで重厚な声に、わたしは顔をあげた。眼全には敬ってやまない、大事な大切なお館様。 軍議の最中だというのに、声をかけられただけでこんなにシアワセで、満たされた気持ちになる。 「はい、お館様。」「…越後の龍を、そなたどう見る?」扇子をぱちん、と片手で閉じて遊びながら、不敵に微笑む髭の入道を、わたしは見つめながら想った。 わたしはこの方に仕えられてシアワセだ。 一生、ついてゆこう、と。心
    睦月 さん作 [434]
  • 現代戦国時代〜山本勘助編〜

    わたしがうまれたとき、すでに左目がつぶれていて、右足に麻痺があった。障害は先天性のもので、おまけに原因は一切不明。そのせいで親戚中から母は責められた。嫁ぎ先は今時珍しい古くさい考えの塊だったらしく、いわば嫁とは、後継ぎを産む、小間使いみたいなものだという認識があり、健康なコドモを産むのが当たり前、だから、わたしみたいなのがうまれたとき、母親の遺伝子のせいだ、母親の妊娠中の食生活のせいだ、母親の、
    睦月 さん作 [440]
  • 月草濡れる頃

    昭和二十年、八月八日。 その日は彼の沖縄へと向けて特効しにいく日であった坂爪昭三郎は、ひとり中庭の訓練所が見渡せる、ヒマラヤ杉の前にいた。 室内では、同僚が何人かいるはずなのに、物音ひとつない。ただ、夏の麗しいまでの空と蝉の煩さだけが、日本で見るものかと、彼は考えていた。 昭三郎は死を前にして、なぜだかひどく落ち着き払っていた。死にたくなんてないのが本音だが、でも、心は水面のように平坦で曇りない
    睦月 さん作 [422]
  • 月草露に濡れて。自己紹介

    佐藤夏美(17)…読書好きな高校三年生。父方の血のせいで、軽いトリップ体質に。夜の間だけ昭和二十年に飛べる。 坂爪昭三郎(21)…陸軍一等軍曹。大柄で寡黙だが優しい性格。夜な夜な敷地内にあらわれる夏美と惹かれあう。特攻隊員。 合田マサヨ(20)…昭三郎の婚約者。七月七日に祝言をあげる予定。最近フィアンセの行動がおかしいことに気付く。 これは不思議な力をほんの少しだけ受け継いだ現代の少女と戦争末期
    睦月 さん作 [501]
  • 東部心霊探偵事務所〜闇を生む花〜

    そして、はっきりとできないと桜杯に告げ、逃げるようにホテルへと駆け込んだ荒い息のまま、体を投げ出すようにベッドにぶつけ、涙の出ない嗚咽を漏らした彩乃。 彩乃。 ぼくの妻。 「間違い、ありません。妻のものです」ああ、と武藤は夢の中出ため息をついた。 これは夢だという自覚もあるし、なにより十七年前の自分が、警察に連れられて遺体安置所で、池のほとりで浮かんでいたという肘から先がない左手を抱き締めていた
    睦月 さん作 [488]
  • 東武心霊探偵事務所〜闇を生む花〜

    彩乃。 優しくて美しい、僕の妻。彼女はやさしい。やさしすぎるほどにやさしい。だけどもなんで? どうして、僕を見てくれないの?  ぼくを透かして、だれを見ているの?武藤はゆっくりと顔をあげた。その表情は桜杯がみたことないような、情けなくて何かに追い詰められた頼りない表情をしていた。 「せんぱ…」「…ごめん桜杯くん。」かたり、とコップをコースターに置いた。 「今回はちょっと僕無理かも。」桜杯は一瞬何
    睦月 さん作 [605]
  • 東武心霊探偵事務所〜闇をうむ花の、種子〜

    朝、彼女は結婚記念日を楽しみにしていた。優しく、美しい妻だった。怒るということはしなかったが、たまにむくれる白い桃のような頬が少女のように見せた玄関で「秀さんの好きなものたくさん作るわね」と笑顔で言っていた。だから、彼女が大好きな芍薬の花を手に帰宅した。だが帰ってみれば、いきなり服従をかけられ、見上げると彩乃は違う男に抱き締められていた。抱きしめていた男。古賀が勝ち誇った、歪んだ笑みを唇に浮かべ
    睦月 さん作 [451]
  • 東武心霊探偵事務所〜闇を生む花〜3

    「これが、先日撮った彼女の図式です。」ソファーに座り、武藤はこっそり魔術で温めた麦茶を啜った。 飴色の木製テーブルの上に置かれた写真数枚。ゆっくりと武藤は眉を寄せて、それから何か重大なことに気付いたように、勢い良く写真に齧りついた。 「これ」「はい、確かにただの術式でした。ほんの二、三日前まで。…それがある日、起きたらこうなっていたそうで…。」写真の少女ー夏目ーの背中には、大輪の芍薬の花が、何輪
    睦月 さん作 [545]
  • 東武心霊探偵事務所〜闇を生む花〜2

    武藤はこの真夏なのに極寒の部屋に入りたくなかったが、「まぁ立ち話もなんですし」という桜杯のセリフと腕を引っ張る力に負けて入室した。 わぁ。寒い。なんだろう、冷蔵庫かなぁここ。 あ、節々がぎしぎしいう。そんなふうに逃避行する思考の中、桜杯が笑顔で、 「今日はちょっと暑いですねー、クーラーもう少し下げますか?」と呑気に空調のリモコンを取り出す。武藤はなんとなく『あ、これは危ない』という野生の勘が働い
    睦月 さん作 [422]
 
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