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睦月 さんの投稿された作品が64件見つかりました。
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東武心霊探偵事務所〜暗闇を生む花〜
武藤は杏飴をしゃぶりながら、境内の階段からお祭りを物思いに沈みながら、ぼんやり眺めていた。隣にはこの土地の神様たちが賑やかに酒宴をしているいつもならそれに交ざり、愉快に飲みあうのに、今日は違った。足元のラムネのビンをふと眺め、ため息をついた。(やっぱ引き受けるべきだったかな?)彼は昨日行ってきた、後輩の教え子のことを思い出していた。 回想。 やっぱり寒い。 大学に到着し、管理員らしき年配の男性に
睦月 さん作 [428] -
東部心霊探偵事務所番外編〜やさしい座敷わらし?〜
翁がいなくなったあとのわたしは、だんだんと薄汚れていった。翁からもらった髪飾りも煤けて、黒ずんで立派だった綾錦の着物も、きれいに櫛けずられた黒髪も油と垢で汚く汚れた。 草履を履いていた足はいつのまにか裸足で、傷だらけになった。 仲間からは「貧乏神」とあだ名をつけられた。 こんなみすぼらしい格好の座敷わらしはいないからだそうだ。わたしは甘んじてそれを受けた。それから何十年もたった。「やぁ、いいう
豆 さん作 [474] -
東部心霊探偵事務所番外編?〜やさしい座敷わらし〜
わたしはずっとここにいた 最初は若い一組の夫婦で、シアワセそうに畑を耕していた。 そして子供がうまれて賑やかになって、数年後、旦那様は、汚い緑っぽい野暮ったい服を着て、たすきを掛けて、万歳されながらいなくなった。 旦那様はもう二度とかえってこなくなった。 そのあと、奥様とお子様たちは、わたしから出ていった。次は年をとった男だった。やさしく、やさしく、やさしすぎるくらいにやさしい男で、わたしは彼を
豆 さん作 [433] -
東部心霊探偵事務所?
圭織は武藤の式神の一人だ本性は金色の毛並みの猫又で、人間になると金髪の美少年になる。 圭織はその麗しい容貌を目一杯変なふうに歪めて、その愛らしい桃色の唇から 「ばーかしんじゃえ。この髭面間抜けとーんまー」と受話器越しの武藤に思い付くかぎりの悪口を吐いていた。 似合わない。 あまりに愛らしく純真で舌ったらずそうな少年の唇からはっきりした口調でばーかだのなんだの言っている姿はいっそシュールだ。 「俺
豆 さん作 [625] -
東部心霊探偵事務所?
圭織は美しく妖艶な少年だ金を溶かして細く梳いたような髪に深いアッシュブルーの瞳。美しく整った中性的な顔立ちと、細く華奢な手足が危うさを醸し出す、極上の美少年だった。 ちなみに好きなものは女の子と鰤だったりする。 そして圭織は今、その麗しい容貌を最大限に変な顔に歪めながら、電話越しの主に「ばーかしんじゃえ」と桃色の唇からものすごく似合わない罵詈雑言を吐いてから、勢い良く黒電話の受話器を本体に叩き
豆 さん作 [473] -
東部心霊探偵事務所?
「…ちょっとうちに電話してくる」まだざわめく写真を握り締めたまま、すっ、と立ち上がると、武藤は昇降口まで歩いていった。 「なにすんのぉ?」 「うん、圭織くんにちょっと速達してもらおうかなって思って。」 「ふーん?なにを?」「ホーンブック。」「…むとーさん、もしかしてあれ?」 眉間に皺を寄せる室戸。 「うん、あれね。」 武藤はにっこり返す。 「まじでか!?」「まじでよ?」「勘弁してくれ!」
豆 さん作 [498] -
東部心霊探偵事務所?
「え!?ちょ、写真!」 「うわーはい」室戸はちょっとまだ情けない顔で写真を渡す。それを奪うようにひったくると、武藤は霊視した。 だが見えない。もう少しだけ力を強めてじっとのぞくと、やっと一部が、虫が這うようにじわじわと改正されていくのがわかった。だんだんと、改正されていく武藤は呆然として室戸を見つめた。室戸はちょっと苦笑した。「むとーさん、体に埋め込んだ式の図式の組み換えってヤバイよね。本人の体
豆 さん作 [510] -
東部心霊探偵事務所?
「えーどこがぁ?組み合わせとかけっこうしっかりしてるじゃん。」 「組み合わせだけならね」「…どーゆー意味?」 うん、と武藤は頷いて、鞄から紙とペンを取り出した「図式はね、組み合わせだけじゃ駄目なんだ。既存のものだけ組み合わせても、駄目。それを発動させる時期の計算、組み式や宝石の配置、あとは呪文の小節の数っていう、いたって数学的なものなんだ。それが全部揃ったとき、完璧な発動が出来るんだ」しゃっ、
豆 さん作 [531] -
東部心霊探偵事務所?
ちょっとしたあとに、武藤はため息をついた。 そうだ、自分は馬鹿な後輩を救うためではなく、呪咀の種を解除するために、母校である大学にいくのだ。それを忘れてはならない。「うん、そう。」 ぶすくれていた顔を止めて仕事の顔をつくる。古賀は異性、同性種族問わず、魅了できる能力を持っている。ふつうの女の子がそれに対抗する術は、まずない。室戸が、背中の文字の写った写真を指ではじいた。 「だよなー魅了
豆 さん作 [494] -
亜紗子の心霊日記〜東部心霊探偵事務所番外編?〜
亜紗子は顔をちょっと歪めながら苦笑した。 ふと脇にあった冷房のリモコンを見ると、気温はドライで8度。半端でない。「…いいです、ここで平気です」「うーん、そう?あ、でもなんかあったんじゃないのかい?」 「えー…はい…。いや、そうですけど、うん。」 用事はあったが、入れないというよりも入りたくないこんな極寒地に入ったら凍死する。ただでさえ冷え性なのに。 躊躇するように弱々しく言葉を紡ごうとする
豆 さん作 [446]