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帰人 さんの投稿された作品が12件見つかりました。
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鉄槌ホーネット
ひとつ、閃光が夜空にスッと輝いた。角砂糖が転がって、人々はそれを災いだと叫び、惑い、そして最期には破綻していった。神々が悪根に鉄槌を下すかの如く、鉄の皮膚で覆われた野獣を解き放ち、人々から思い出と将来を奪った。世界から色が無くなり、ただ闇だけが横行する漆黒の中で人々は、何が始まったかも理解出来ずにこの「何か」が終わることを切に願った。それを見た哲学者達は馬鹿馬鹿しいと人々を罵り、さげすみ、淘汰し
帰人 さん作 [141] -
戦争バーンアウト
少年は泣いた 空を見上げると、鉄の豪雨が降っていたから。少年は憎んだ 綺麗な空を汚した奴らを。綺麗な空を汚した兵器を。 聖書には敵をも愛せと書いている。イエスが言ったからといって、それがこの世の理(ことわり)とは限らない。イエスでさえ「神」ではないのだから。不確定要素を並べても、答えは曖昧なものしか生まれず。ただ無散していくだけだった。なぜ人はこうまでして生きようとする?殺しあってまで求める世界
帰人 さん作 [135] -
我が儘オーバーハート
タバコを吸えばあいつに近づける気がして、いつしか私は吸っていた。でも追い付けないんだ。あいつはどんどん離れて行っちゃう。…私は歯がゆかった。私の事を気にもとめないあいつにも、あいつに追い付けない私にも。…分かってるよ…。あいつの真似なんかして、対等にならない事なんて。 憧れて、強がって、意地はって、頑張って…。これまでの私の我が儘な思い出は、あいつに気づかれずに終わるのかな…? …そんなの…ちょ
帰人 さん作 [136] -
色彩スリップアウト
グラスに入ったピアスをみながら、私はもう大人なんだとふと思う。 成長の証だといい聞かせ、私は自分の体をイジメ抜いた。白線の引かれたレーンに手を伸ばし、誰かが勝手に決めたゴールをただ一直線に…。あの頃は、周りの全てが疎ましかった。ただ私と、ゴールまでの距離があれば他には要らないと思っていた。そんな私に色を教えてくれたあなた。白黒の世界に色とりどりの絵の具で、私や周りに色を付けてくれた。あなたは私に
帰人 さん作 [152] -
春風プロテクト
山の天辺、野原の上の、菊の葉っぱの露の上。嘘ぶく春風通り過ぎ、夢は現(うつつ)と消えさりて、蝶は彼方を探します。リスもトカゲもミミズもトリも、彼方を探しにくるでしょう。積もった雪の間から私は芽を出し、謳歌する。 彼方は私のそれを見て微笑(わら)ってくれたら幸いです。
帰人 さん作 [129] -
神罰タイムアウト
壊れかけた砂時計がただ黙々と時を落とす。 悲しいくらい無情に、怖いくらい残酷に。落ち続ける砂粒を止める術(すべ)を持たない人間は、ただ己を守るためだけに武装した。やがて醜い争いが起こり、世界の八割が滅んだ。死に逝く人々全員がまだ見えぬ平和を願い、生き残った仲間に敵を殺せと叫んだ。それでも砂時計は止まらない。止まりはしない。気まぐれな神が砂時計をひっくり返すまで、人間は殺しあわなければならない。一
帰人 さん作 [193] -
ことり
あの少女は耐えていた。しわくちゃになったベットの上で、笑いながら絵本を読んでいた。 ねぇ?なぜあなたはそんなに笑顔でいられるの?明日が怖くないの?そんなことを聞いてもただ悪戯っぽく笑ってる。あの少女は自分の未来が知らないのだろうか?悟っていてあんな無垢な笑顔が作れるのだろうか?…私には無理だ。この世から去る日が急激に近づいているのを感じる。みんなが言う「明日」がやって来るのだろうか。そう思うと不
帰人 さん作 [162] -
日常ホールアウト
希望を持っていた春。希望を燃やしてた夏。諦めを知った秋。限界を噛み締めた冬。春夏秋冬時は過ぎ。 一年の砂時計はまた繰り返される。私は、生きている?私は、生かされてる?…私は……死んでいる?分からないよ…。日常をこなすのに一生懸命で、自分が生きている事を忘れてしまったのかな…。それともあの交差点の雑踏の中に″答え゛を置き去りにしたままなのかな。色んな人達に、踏まれて蹴られて唾をかけられ、汚れて凹ん
帰人 さん作 [170] -
願望テールライト
あなたの嘘に汚されていく。 意識も遠くなるくらいに。 こんなあたしを誰が愛すの? 流すものは涙じゃなくて…。 漆黒に染まった私の血… …ねぇ。見たことのない世界を私に見せて。
帰人 さん作 [156] -
青空ハイライト
普通の人は人間が空なんか飛べないなんて知っている。…でも私は空を飛べると思ってた。笑っちゃう?でも本気で信じてた。本気を出せば、こんなつまらない日常とオサラバ出来るって。でも違った。18年もこの世界に生きていると、色々なモノが私の羽根にくっついてた。誰かが作った固定観念。世の中の常識。限界という言葉。18年という長い時は、私が持っていたはずの大きな翼を腐らせてしまっていた。諦めと現実の両方が左右
帰人 さん作 [149]
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