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国部希 さんの投稿された作品が6件見つかりました。

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  • サンタの仮面を被る人 5

    「ジリリリリリリリ」 突然の出来事に、心臓が胸の皮膚を突き破って出てくるのではないかと思った。そして、体中が熱を失ったように冷えきってくる。 今の音はなんだ。何が起こったんだ。部屋の外側から、微かに誰かの走る音が聞こえる。逃げなければ――そう思えば思うほど、体がいうことを聞かずに固まった。まるで金縛りだ。 背後でバタンとドアが開き、泣きたくなった。一瞬のうちに頭によぎったのは、パトカーと刑務所。
    国部希 さん作 [171]
  • サンタの仮面を被る人 5

     レースのカーテンが邪魔して微かにしか見えないが、よほど綺麗好きな住人らしい。ほとんど物が置かれていない状態だ。 あるのは小さな丸い机と本棚だけ。まあ、暗くて他の物が見えないだけなのかもしれないが。 幸い人のいる気配はしない。もう一度あたりを確認して、靴を小脇に抱え、家の中に侵入した。 静かな部屋だ。窓の外から見た通り、本当に物が少ない。 おそらくこの部屋に金目の物は無いだろう。少しがっかりする
    国部希 さん作 [173]
  • サンタの仮面を被る人 4

     感覚が麻痺しているせいか、さほど悪いことをしているという気はなかった。むしろ、これだけ不幸な人間だから、少しくらい金を分け与えてもらっても罰は当たらないよな、という気持ちだった。 さっそく一階の窓を見て回る。もしも鍵をかけ忘れているところがあれば、そこから侵入してやろうと思ったのだ。 しかし、現実はそこまで甘くない。 ここも開いてない……ここも、ここも……。一周ぐるりと回ってみたがどこも開いて
    国部希 さん作 [182]
  • サンタの仮面を被る人 3

     そんなわけで、カバンに入った指輪とケーキは用をなさないものと化していた。彼女と出会って一年。このために必死で貯めた金だったのに、あまりにも虚しすぎる。 このままカバンをどこかへ置き去りにして、アパートに帰ってしまおうか。このうえなく投げ遣りな気分に襲われる。 酒を飲んで何もかも忘れてしまいたいのに、有り金は底をついていた。指輪を質屋に出そうとも考えたが、この時間ではもう店が閉まっている。 自分
    国部希 さん作 [186]
  • サンタの仮面を被る人 2

     それは数時間前のこと。「こんな日に、ごめんね」 俺はなんの脈略もなく付き合っていた彼女にふられた。 実に卑怯なふり方だった。 あなたのことが嫌いだから、とか他に好きな人が出来たから、という方がまだあっさりしている。 それなのに、彼女ときたら同意を求めるように、「私たち、もう駄目だと思わない?」 いや、思わない――そういって彼女を抱き締めたら、どうなっていただろう。 しかし、それをすることは出来
    国部希 さん作 [190]
  • サンタの仮面を被る人 1

     十二月二十四日――。 静かな夜だった。星が見えなければ月も見えない薄暗い路地には、冷たい風が吹き抜けている。 ため息をついて空を見上げると、雲がうっすらとかかっていた。 もうすぐ、雪がふる。いや、これは勘ではなく、家を出る直前にみた天気予報による情報だが。 空気も雪がふる直前のような、しんとしたにおいだ。 こんな空気を一人で味わうなんて、思ってもみなかった。  
    国部希 さん作 [269]
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