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紀夜 さんの投稿された作品が122件見つかりました。
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サンニン
俺は小さな嘘を考えた。誰も傷つくことのない嘘を。「それ名案。」ゆうぱちも納得の様子だった。 次の日俺はカオルに嘘をついた。「そっかあ、ゆうぱちも強化部入ったからなあ。夏休み大変なんだなあ。しかたねえな、残念やけど・・」カオルはそう言った。いつもの騒がしいキャラは忘れて、物静かに言った。(許してくれカオル。たまにはお前抜きで一服したいんだ。お前抜きで・・・) なんでこんな嫌ってんのかな、俺は。 少
紀夜 さん作 [367] -
ノイズ-NOISE-第二章?
ボォンッ!!ガスかなにかが爆発したのだろう。炎の中に入った3人の消防士たちは危うく吹き飛ばされそうになった。「これはもう・・・助かってないんじゃ・・・」1人の新人の消防士から弱音がこぼれた。「弱音を吐くなジュード!まだわからない!行けるとこまで進むぞ!」そう言って先陣をきったのは体格のいい中年の消防士だ。「ひえぇ・・・たくましすぎる・・デレクさん・・」ますます弱腰になるジュードの肩をもう1人の消
紀夜 さん作 [389] -
サンニン
俺はいつか言ったとおりのシャイ男で、引っ込み思案で、基本無口で、なかなか他人に本音を見せない人間だ。いつかこの性格がもっとオープンになることを切に願っている。この性格のせいで、仲のいい友達はあまりいないのだ。 高校生にまでなると、その気持ちはつのるばかりだった。「今のさ、俺たちをだれかが見てたらなんて言うだろうな。」「“あいつらホモか?”じゃねえの?」「やっぱりそう思うか?俺ら気持
兄さん さん作 [381] -
ノイズ-NOISE-第二章?
「くうき・・・・?」不審者の男は首をかしげた。 ウィルの眼光が開く。「・・・!?」男は、異変に気付いた。さっきまで、気にもしていなかった呼吸が、徐々にしづらくなっているのだ。気のせいではない。刻々と薄れていく空気を乱れた呼吸で吸おうとするが、頑張れば頑張るほど、苦しみはましていった。「そう、“空気だ”。極端に言えば、俺たち人間の今を生きていくための生命維持装置のようなものだ、空気ってのは。わかる
紀夜 さん作 [411] -
ノイズ-NOISE-第二章?
そのころ、立ち尽くすメレディスとハリソン警部の前に、やっと到着した消防団が現れた。 「こりゃひどい・・・」消防士の一人がつぶやいた。 燃え盛る炎に包まれた病院は、“手遅れ”としか言いようがない姿だった。 ごうごうと揺らめく赤と黄の光を唖然とした顔で受け止めることしかできなかった。「なにつったってんのよ!」怒りを涙ながらにぶつけるメレディス。「中に人がいるのよ!!ウィルが、ウィルが中に!!」消防
紀夜 さん作 [427] -
サンニン
「いや、そういう事じゃないんだ。じゃ逆に言うとさ、なんで生きモンは産まれるんだ?どうせ死ぬんだぞ?!」「あ〜前も確か同じこと言ってたなヒロヤ。でもホント、なんのために命吹き込まれるんだろうな俺たちは。どうせ死ぬってのにな。」「神様は不思議だー。なに考えてんだか。なんか意味があると思うんだよな。俺たちに命をちょっとだけ与える理由があると思うんだけど。」「たぶん俺らの考える範疇をこえる、すごい次元の
兄さん さん作 [413] -
サンニン
「おっ、おまえの愛しの林田さん前方に発見!」遠い席からやってきたカオルがそそのかす。「ばか声がでけぇ!!」思わず怒鳴ってしまい、教室中が静まり返ってしまった。「あれ〜?誰にも聞こえないような声で俺しゃべったのになあ〜。」カオルの目つきがやらしくなった。「だあっ!!うるさいっ」 さて、なんの変化もない高校生ライフに、ある事件がおきた。 いや、俺が起こしたのだ。親友として、やってはならないことをやっ
兄さん さん作 [399] -
サンニン
『なんか、ヒロヤんちらしいな。』『そうかな?』ゆうぱちはまた軽く笑うと、深呼吸をゆっくりとした。『ヒロヤはヒロヤが正しいと思うことをする。俺も俺の正しいと思うことをする。そういうことだな。』顔は見えずとも、笑顔をしているのがわかった。『ああ。これは、仕方ねぇことだ。』 そう言った数ヶ月後、俺たちはそれぞれの高校に入学したのだ。 幸いなことにカオルと俺は同じクラスだった
兄さん さん作 [378] -
サンニン
だが、それがどうしたというんだ?『俺と一緒に瓜志高校行かないか?』 そういうことか。俺は納得した。瓜志高校の方が進学を希望するのにあっている、とゆうぱちはよく言っていた。地元よりも、ずっと。『いや、俺は地元の高校に通うよ。』俺は、ゆうぱちと同じ高校に行きたい。同じ青春を共に生きたい。一緒に笑いたい。そう強く思っていた。けど、『親父がさ、地元行けって言うんだよ。やっぱ親父の母校だし、だから行って
兄さん さん作 [348] -
サンニン
俺たちは硬い表情でゆうぱちに注目していた。だけど、肝心の本人はうつろな目で水平線の向こうを見つめているのだった。『マジかよ。俺ら3人が離ればなれなんて考えられねえ!』 カオルが嘆いた。俺も言葉には出さなかったものの、同じ気持ちだった。ゆうぱちと離ればなれになる?いつも一緒にいる親友がいなくなる生活なんて想像もできなかった。ただ、わかっていたのは、途方も無い不安感が付きまとうであろうということだ
兄さん さん作 [361]