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紀夜 さんの投稿された作品が122件見つかりました。
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ノイズ‐NOISE‐第四章?
ウィルは目を見開いた。「なんだよこれ・・・!」「お兄ちゃん、早く逃げなきゃ・・・!!」街は、まるで戦場のようだった。建造物は崩れ、大量のほこりがまい、どこかで火事が起こっているのか、どす黒い煙がもくもくと立ち上っている。 瓦礫の下敷きになる人、避難所を求め走り回る人、たくさんの人の叫び声が次々と耳に飛び込んでくる。「うそだこんなの、うそだ・・・・!」「お兄ちゃん早く!!」マリアは必死でウィルの
紀夜 さん作 [392] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
サー―・・・・あの音だ。 オレから全てを奪った音。オレの大事なものを全て。 なんでだ?これは夢か??音が止まない。止め、止め!嫌だ、聴きたくない。止め、止め!!―――――・・・・・「・・ちゃ・!・・ん!」「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」少女の声が、まるで天からの光のようだった。ウィルは悪夢から覚めた。若干、クリスの音波のなごりが、エコーのように頭を締め付けていたが、もう起き上がれるよう
紀夜 さん作 [480] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
「あぁ。そうか。あなた、ノイザーだってことはわかってたけど、・・・音を操る力を持ってるんでしょう?ってことは、音に敏感でなければならない。それは逆に言えば、通常の人間なら気付かない激しいノイズを聞き取ってしまうってことよね・・・。ふふ。滑稽だわ。この私の羽音にまいってるのね・・・あのかわいい女の子は全然平気なのに。」「・・・めろ・・・っ」ウィルは消えそうな声を吐き出した。「なあに?」「飛ぶ・・・
紀夜 さん作 [343] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
未だ続く甲高い音波に苦しみながらなんとか見上げた視線にあったのは、上空に浮かぶ、クリスだった。「ハァイ♪こんにちは。ウィル♪」クリスは今の瞬間に移動していたのだ。まるで蜂のように、羽をふるわせながら空中で立っている。「ぐっ・・・ふっ・・・」ウィルはとうとう口から嘔吐物を吐いた。忌々しい音が頭から全身へと暴れまわり、ウィルの目をくらませる。「あら?これは意外ねえ。瞬間移動を見て驚いてもらおうと思
紀夜 さん作 [346] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
すでにもとの姿とはほど遠くなってしまったフィオナ、いや、自称クリスは血に染めたような紅い瞳でウィルを睨み付ける。睨み付ける、という表現とは少し違うかもしれない。そう思わせるのは、クリスの表情に浮かんだかすかな笑みによるものだろう。 恐怖と混乱で動けずにいるマリアをよそに、クリスは目蓋をおろした。その時。キィィン 甲高い音波が鋭い痛みと共にウィルの耳奥にまで響いた。 その波は脳にまで押し寄せ、ウ
紀夜 さん作 [332] -
夢の世界へと
一人の時間に今日を振り返ってみる最近ぱっとしないなぼんやり思うけど反省せずにふとんにもぐりこむ頑張らなくちゃ頑張らなくちゃ呪文のように唱えても魔法にかかるわけもなくそんな自分を憎んでくふと見上げるとこんなに広い空が僕の真上に覆いかぶさってた抱き締めるように飛んでみたいな夢や空想が僕の源だからすべて捨て去る覚悟で大きくジャンプした風が優しく体を持ち上げた窮屈な世の中にバイバイして僕は夢の世界へと飛
紀夜 さん作 [307] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
「外に出るのは久しぶり・・・・!」 おぞましい牙を口に何本もつけ、二本足で立ってはいるが、非常にバランスの悪い体格。羽はまるでトンボかバッタのようにうっすらと透明で筋張っている。「フィオナさん・・・?」「フィオナ?!あの女は今はいない。今ここにいるのは、私よ。」マリアは泣きだす。「どういうことだ?フィオナさんを取り込んで・・・いや、まさか、入れ替わったのか・・・?」 入れ替わる。それはフィオナの
紀夜 さん作 [324] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
泣きじゃくるマリアとは裏腹に、ウィルは冷たい顔をしてフィオナを見つめていた。「いや、もう手遅れだ・・・・・」 それはさなぎから成虫へとかいわれる蝶のようにゆっくりと、しかし美しさなどみじんも感じないグロテスクなそれは、フィオナの皮膚を、服を突き破り、全てを明らかにする。 フィオナのきれいな背中が見えた。かと思うと、あっという間にフィオナさえも飲み込もうとする成虫。「いや、見ないで・・・お願い
紀夜 さん作 [375] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
「フィオナさん、お願い、帰ってきて!また楽しく話そう!一緒に暮らそうよ!」マリアは涙をこらえながら必死に訴える。 ウィルは気付いた。マリアを見つめる彼女の目が、紅く染まっていることに。 「いいから二人とも逃げて!!!!」フィオナは大声で言った。力一杯言ったために、弱々しい足がよろけそうになる。グチグチッ フィオナの背中から不気味な音がした。「うっ。」腹を抱え込むように倒れる。その表情は苦しみに
紀夜 さん作 [351] -
ノイズ‐NOISE‐第四章?
そのころウィルは、フィオナが走り去った方向に行き、彼女を探していた。ウィルはなにがなんだかわからなかったが、あの様子じゃ、来るなと言われても、ほっとけるはずがない。 「フィオナさあん!」ウィルがそう言った時だった。 ガラガラッガシャンッ建造物と建造物の間から、さびれたゴミ入れが中身を吐き散らしながら倒れた。 ウィルは目を細める。 そこに立っていたのは、フィオナだった。 「よかった!
紀夜 さん作 [322]